JEZKW8e_4gM
  • 教員紹介
  • 学科長 : 稲垣 昌宣広島市出身。九州大学薬学部卒業、同大学院薬学研究科修士課程修了後、湧永製薬に入社。その後、九州大学薬学部助手、同大学院薬学研究院助教、その間に博士(薬学)を取得。2008年専任講師として本学に着任。2015~16年オハイオ州立大学薬学部客員研究員(安田女子大学長期海外研修)。専門は天然物化学、趣味は古典落語鑑賞。

天然物化学:自然界からの宝探し

医薬品の約8割が自然界に由来するといわれ、多くの薬の元となる化合物が、植物、動物、微生物から得られています。例えば、アオカビからは抗生物質のペニシリン、巻貝のイモガイからは鎮痛薬のジコノタイド、花壇で目にするニチニチソウからは抗がん剤のビンクリスチンが発見されました。これらは自然界から「医薬品の種」を探索する天然物化学における歴史的にも重要な例です。単離された化合物は医薬品候補として有効性試験、安全性試験、臨床試験、安定性試験などの厳しい試験と評価を受け、実際に薬となるのは最初に得られた化合物の数万分の一程度ともいわれますが、それでも可能性を求めて自然からの宝物を探しています。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 薬学は、医薬品の開発と患者さんへの適切な使用を研究する分野であり、人々の健康維持と病気治療への貢献に重要な役割を果たしています。高校で習った化学や生物学の基本的な知識をさらに応用、発展させて、新たな医薬品の創出や既存薬の効能向上を目指す研究が行われます。また、薬の開発から製造、患者さんへの提供、市販後の安全対策に至るまでの広範囲にわたる知識を身につけることができます。6年制の安田女子大学薬学部薬学科は薬剤師を目指す学科です。実験や実習を通じ、薬剤師として必要な実践的なスキルも習得していきますが、これらの知識と技能は、医療人として病院や薬局などの業務に直接活用され、人々の生活の質の向上に貢献します。未来の医療を支える一員となるべく、薬学の分野に挑戦しませんか?皆さんの好奇心と情熱が、多くの人々の健康維持に貢献することを楽しみにしています。
  • 赤木 玲子岡山大学医学部薬学科卒業。岡山大学大学院医学研究科(生理系生化学専攻)修了。医学博士を取得後、岡山県立大学保健福祉学部准教授、ロックフェラー大学客員准教授を経て現職に。米国留学中に遺伝病研究に出会い、現在は遺伝子発現と疾病との関係について研究に取り組んでいる。

ストレス応答機構の遺伝子レベルでの解明と治療薬の開発

薬剤師として医療に携わるためには、その基礎として生命科学を理解することは重要です。あらゆる生物において、細胞は遺伝子に書き込まれた情報をもとに生体にとって必要な物質を作り、有害物質を除去しています。このような生命活動の仕組みを遺伝子レベルで解明することで、「健康とは何か」を深く理解することができます。例えば、酸素を使ってエネルギーを産生する生物は「酸化ストレス」に曝されており、それに対する防御機構を備えていますが、その破綻により種々な疾病に至ります。遺伝子化学分野では、生体に備わる「ストレス応答」の仕組みを究明することを目的として研究しており、疾病の予防・治療に貢献したいと考えています。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 生物学的に見て男性と女性は、得意なことも考え方も異なると云われています。だからこそ、女性が女性の目線で重点的に薬学を学べることは、女子大ならではの利点だと思います。チーム医療では、各専門スタッフと連携するときに、お互いの立場を理解した発言ができ、また、人が人をケアする医療の現場では、女性特有の病気に悩む患者様に安心感を与えられるのも女性薬剤師に期待されるところでしょう。今後ますます高度化する医療現場が求める理想の薬剤師は、単に薬に詳しい人ではなく、チーム医療スタッフの一人として、問題を発見し、解決へ導くことができる専門家です。そのためには、真実を追求し、疑問を持って自身で見極めていく問題解決能力を養う必要があります。大学での学びを通じて、常に真実を求める、研究マインドを磨いていきましょう。
  • 木村 康浩

    広島大学医学部総合薬学科卒業、広島大学大学院医学系研究科博士課程前期修了。広島大学病院薬剤部に勤務し、その間博士(薬学)取得。米国留学後、広島大学大学院医歯薬保健学研究科准教授・広島大学病院薬剤部副部長(兼任)を経て現職。

医薬品の適正使用、有効性・安全性評価に関する研究

大学病院勤務時には医療現場で起こる問題点を解決するための臨床研究に重点を置いた研究を行っていました。一例を挙げると、パーキンソン病治療の際、治療初期の段階から薬物の効果が十分に得られる症例と全く効果が得られない症例が存在します。その原因を明確にし、より効果的な薬物療法を提供することを目的にした研究です。個別化医療(テーラーメイド医療)の必要性を強く示唆する結果となり、患者個々に対する薬物治療に貢献できたものと考えています。現在は患者の血液サンプルを用いた臨床研究を行うには困難な環境にありますが、薬物の臨床効果に影響を及ぼす因子を国内外の文献などから検索し、より安全かつ効果的な薬物療法を構築することを目的とした “ドライな” 研究を進めています。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 薬剤師の仕事と聞いてどのようなものを連想するでしょうか。処方箋通りに薬を準備して患者さんに渡す仕事と考えている人もいると思います。これが薬剤師の仕事なら、なにも6年もの間膨大な時間をかけて授業や実習を受ける必要は全くありません。薬剤師という医療職は人の生命を守るための医薬品(中には用法用量を守らないと本当に危ないものも数多く存在します)を適正に扱い、また他の医療者に薬の専門家として提言し、時には指示を与え、共に医療に立ち向かう重大な責任を持った職業なのです。そのような薬剤師であるためには薬学という自然科学全般を網羅した学問体系を学ぶ必要があります。我々教員一同は化学、物理、生物をはじめこれらに関連した非常に多くの講義や実習を学生に対し提供し、有機的に結合させ医療に貢献できる人材育成を目標に頑張っています。薬剤師はやりがいのある職業です。一緒に目指しましょう。
  • 中西 博

    九州大学薬学部卒業、同大学薬学研究科博士課程を中退し九州大学歯学部助手、薬学博士(九州大学)。テネシー大学医療科学センター研究員、九州大学大学院歯学研究院准教授、加齢口腔科学分野(老化生物学)教授を経て、2009年より口腔機能分子科学分野(薬理学)教授。この間、副研究院長、研究院長(学部長兼任)。2018年より安田女子大学勤務。2021年より学部長補佐。現在は歯周病によるアルツハイマー病型認知症の増悪メカニズムに関する基礎研究と、口腔ケアに関する臨床研究に取り組んでいます。

慢性炎症は万病のもと、炎症はなぜ慢性化するのか?

慢性炎症は糖尿病などの生活習慣病、関節リウマチやアトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患、ガンならびに認知症などさまざまな病気の発症・進展に関わることが分かってきています。なかなか治らず、つらい症状が続く炎症状態を慢性炎症とよんでいます。しかし、比較的早く収まる急性炎症と何が違うのか、なぜ炎症が慢性化するのか、実はよく分かっていません。炎症慢性化のメカニズムを突き止めることで、健康長寿社会の実現に貢献したいという思いがあります。現在、脳内のグリア細胞の一種で、卵黄嚢中の原始的マクロファージに由来するミクログリアに着目し、アルツハイマー型認知症の原因の一つと考えられる脳炎症慢性化のメカニズム解明に取り組んでいます。これまで、カテプシンBなど脳炎症の慢性化に関わるミクログリアの複数の分子を突き止めてきました。最近、主要な歯周病菌であるジンジバリス菌の病原因子がミクログリアを活性化して炎症反応を引き起こすことを発見し、歯周病がアルツハイマー型認知症の増悪因子になることを発信しています。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 現在使用されている医薬品の種類も増え、薬剤師国家試験に向けて約1000種類の薬を知る必要がある時代となっています。薬学部では、この膨大な数の薬について色々な学科目を通じて学んでいくことになります。薬学生の勉強は大変ですが、薬剤師資格は一度取れば一生ものとなります。薬剤師資格を活用できる職業は、病院薬剤師、調剤薬局薬剤師、行政薬剤師(厚労省、保健所、県庁、衛生研究所など)、麻薬取締官ならびに製薬会社医薬情報担当者(MR)など数多くあります。今のところ卒後研修は義務化されていませんので、卒業後にすぐに薬剤師として働く必要はありません。一般企業を経験した後、薬剤師として働くこともできます。大学院に進学して博士号を取得し、大学教員や研究機関の研究者を目指す道もあります。このように職能を活かせる職場が多いことが薬剤師資格を取得することの最大のメリットです。
    高校生の皆さん、本学のオープンキャンパスに参加して薬学教育や薬剤師の仕事、さらには薬学研究についてもっと学んでみませんか。
  • 西 博行京都大学工学部工業化学科卒業。京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、直ちに田辺製薬に入社し、分析化学研究所配属。一貫して医薬品開発業務に従事。その間、薬学博士(京都大学)を取得。田辺三菱製薬CMC研究所分析研究部長を経て現職。現在は分離分析法、特にUHPLC法による迅速分析法の開発研究と教育に取り組んでいる。

医薬品開発・医薬品の品質評価法の開発

医薬品は品質が命です。病気になった時に何の疑いもなく医薬品を用いますが、その有効性と安全性が担保されているのは、その品質が保証されているからです。それを実証・確認するのが医薬品の試験法。抗体医薬、核酸医薬など、様々な医薬品が開発されていますが、それぞれの医薬品にマッチする適切な品質評価法の開発は、その医薬品の有効性と安全性を保障する最後の砦となります。現在は、医薬品の品質評価法として汎用されている液体クロマトグラフィー(HPLC)、特に、高性能で迅速分析が可能となったコアシェル型充填剤を用いるUHPLC(ultra-HPLC)法による医薬品試験法の開発研究に取り組んでいます。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 大学では、1年次2年次に開講される薬品分析化学Ⅰ、Ⅱおよび薬品機器分析学を担当しています。医薬品の品質を担保する評価試験法の代表的なものとして、日本薬局方収載医薬品の試験法があります。そこに用いられている化学平衡論に基づく各種容量分析や先端の機器分析法による医薬品の品質評価法を学んでもらいます。
    近年、低分子合成医薬品に加えバイオ医薬など、様々な医薬品が開発されていますが、医薬品の物性値や構造、また製造法を考えることで、その医薬品に対して適切な品質評価法を設定できるようになってください。薬学部を目指す皆さんは、将来薬剤師、医薬品の専門家として医療に携わってくることになりますが、医薬品に関する様々な情報提供や適正使用に加え、品質を語れる、柔しく剛い(Warm HeartでCool Head)薬剤師になってもらうことが私の夢です。
  • 森本 金次郎大阪市立大学理学部生物学科修士課程、京都大学ウイルス研究所博士課程、京都大学薬学部微生物学教室助手、米国トーマス・ジェファーソン大学助手、国立感染症研究所ウイルス第一部室長を経て、現職。薬学博士。30年以上ウイルスの研究(特に、狂犬病ウイルス)に従事。

レクチンの多様な生物活性の解析-抗ウイルス薬・抗腫瘍薬の開発

毎年流行がみられるインフルエンザやノロウイルス下痢症、エボラウイルスやマーズコロナウイルスなどの新興ウイルス感染症、このようなウイルスに対する薬、すなわち抗ウイルス剤や抗がん剤の開発を目指した研究をしています。特に紅藻、藍藻や細菌より精製した糖結合タンパク質(レクチン)の生物学的性状(ウイルス感染阻止効果・腫瘍増殖抑制効果等)を解析することで、抗ウイルス剤や抗がん剤としての有用活用を目指しています。

  • メッセージを閉じる メッセージを見る
  • 免疫学、ウイルスに関する講義を行っています。毎年流行がみられるインフルエンザやノロウイルス下痢症、エボラウイルスやマーズという新興ウイルス感染症、多くの人を悩ましている花粉症、アトピーなどのアレルギー。これらの発症には体の免疫機構が重要な役割を果たしています。ウイルスや免疫のしくみを理解することでこれらの疾患の発症メカニズムを理解することができます。また、日々社会で報道されている様々な時事ニュースもより深く理解できるようになります。毎日の生活の中で、いろんな事に興味をもち、日々の物事に積極的に頭を使いましょう。人間の頭脳は限りない可能性をもっています。無駄にせず、活用しましょう。素晴らし未来が広がっています。

教員・研究テーマ

  • 氏名職名研究テーマ学位
  • 大塚 英昭教授(学部長)天然物有機化学博士(薬学)
  • 稲垣 昌宣教授(学科長)天然物化学、分析化学博士(薬学)
  • 赤木 玲子教授生化学、分子生物学、病態生化学、分子薬理学博士(医学)
  • 大山 義彦教授有機化学、生体分子構造化学博士(理学)
  • 木村 康浩教授医療薬学、臨床薬剤学博士(薬学)
  • 形部 宏文教授臨床薬剤学、日本薬局方学士(薬学)
  • 瀬山 敏雄教授健康科学、病理学博士(医学)
  • 高野 幹久教授生物薬剤学、薬物動態学、医療薬剤学博士(薬学)
  • 髙畑 英信教授医療薬学、病院薬学、医療経済博士(薬科学)
  • 徳村 彰教授衛生薬学、脂質生化学、食品機能学博士(農学)
  • 中西 博教授ミクログリアの生理的・病態的役割に関する薬理学的研究博士(薬学)
  • 二五田 基文教授臨床薬剤学、薬事関係法規、薬剤管理学学士(薬学)
  • 西 博行教授生体分析化学、薬品分析化学博士(薬学)
  • 西村 基弘教授微生物機能の開発とその利用に関する基礎的研究博士(薬学)
  • 藤原 佐枝子教授予防医学、疫学、骨粗鬆症博士(医学)
  • 松野 研司教授創薬化学研究(抗がん剤など)、有機合成化学研究博士(薬学)
  • 松本 俊治教授医療薬学、臨床薬剤学、医薬品情報学学士(薬学)
  • 的場 康幸教授タンパク質の三次元構造に基づく創薬研究博士(薬学)
  • 森本 金次郎教授免疫学、病態生理学博士(薬学)
  • 加藤 貴史准教授生化学、細胞生物学、病理学、腫瘍生物学、実験動物学博士(医学)
  • 北澤 健生准教授生物薬剤学(薬物動態学)、物理薬剤学(製剤学)博士(薬学)
  • 久保 貴紀准教授核酸化学、生体機能化学博士(工学)
  • 近藤 慎一准教授細胞生物学、神経科学、薬理学博士(バイオサイエンス)
  • 佐藤 雄一郎准教授生化学、糖鎖生物学博士(学術)
  • 小田 康祐講師ウイルス構造生物学、蛋白質化学、分子生物学博士(医薬学)
  • 川上 晋講師天然物(植物、動物等)由来の有用化合物の探索博士(薬学)
  • 川畑 公平講師脂質栄養学、毒性学博士(薬科学)
  • 田中 亜路講師細胞生化学、癌生物学、栄養学博士(農学)
  • 谷 雅子講師保険薬局実務学士(薬学)
  • 野中 さおり講師生化学、分子生物学、免疫学博士(医薬学)
  • 羽鳥 勇太講師生化学、分子生物学、細胞生物学博士(理学)
  • 平野 真講師生化学、ケミカルバイオロジー、糖鎖生物学、腎臓生理学博士(薬学)
  • 辻󠄀 大輔助教生化学、分子細胞生物学、病態生化学、生物工学博士(薬学)
  • 布目 陽子助教分光分析科学、代謝物解析博士(工学)
  • 村上 千穂助教微生物学、分子生物学、酵素科学博士(理学)
  • 大月 佑也助手衛生薬学、薬物代謝学、肝毒性学博士(薬学)