最終更新日:2024.04.09
管理組合・理事会 

マンションの管理組合とは?理事会の役員に選ばれた際のポイントを解説

マンション管理組合とは?選ばれた際の注意点を解説

分譲マンションを購入した場合、物件の所有者(区分所有者)は「管理組合」の組合員となり、他の組合員と共同でマンションを管理していく当事者となります。

また、管理組合には区分所有者の中から選任された理事で構成される「理事会」が組織されます。理事会では理事長や副理事長、会計などの役職が設けられており、理事に選ばれた人は理事会に参加し各役割を務めることになります。

今回は、マンション管理組合の基礎知識や目的、役員の選び方、役割など、分譲マンションを購入したときにぜひ知っておいていただきたい情報をまとめました。

マンションの管理組合とは、物件の資産価値を維持・向上するために設置される団体のこと

マンション管理組合とは?選ばれた際の注意点を解説

マンションの管理組合とは、マンションの購入者=区分所有者によって構成される団体のことです。
分譲マンションを購入した時点で、区分所有者はマンション管理組合を構成する一員となり、同じ区分所有者たちと共同でマンション管理に携わる当事者となります。

「マンションの管理は管理会社がやってくれるもの」とお考えの方もいらっしゃいますが、管理会社はあくまでも管理組合から管理業務を委託されているのであって、マンションを維持管理していく当事者ではありません。当事者はあくまでも管理組合であることを覚えておきましょう。

また、マンション管理に関する法的な項目は「建物の区分所有等に関する法律(通称:区分所有法)」によって定められていますが、具体的な管理方法や細かな規則はマンションごとに異なります。分譲マンションを購入したら、当該マンションの管理規約に目を通しておくことも大切です。

マンション管理組合の役割と目的

マンション管理組合の主な目的は、建物や敷地などを適切に管理し良好な住環境を整えることです。

分譲マンションのエリアは、区分所有者が単独で所有する「専有部分(主に住戸部分)」と、エントランスや廊下、エレベーターなどの区分所有者全員で共有する「共用部分」の2つで構成されています。

「専有部分」は基本的に区分所有者が管理をしますが、全員が利用する「共用部分」を管理する人がいないと、清掃が行き届かなかったり、設備不良を起こしたりする可能性があります。共用部分の管理が不十分だと住民が不便を強いられるのはもちろん、見た目や印象も変わりマンションの資産価値の低下にもつながります。管理組合はすべての住人が安全かつ快適に過ごせるよう、「共用部分」を中心にマンションを適切に管理する役割を担っています。

マンション管理組合の設立は義務?

区分所有法では「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と定めています。

条文の前半にある通り、管理組合の設立は法律で義務付けられており、複数の区分所有者が集まった時点で当然に構成されます。そして区分所有者は、区分所有者である限り、つまりマンションを所有する限り、管理組合の組合員となり共同でマンションを維持管理していく義務があります。
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役員の選ばれ方は?活動頻度は?マンションの管理組合に関する基礎知識

マンション管理組合とは?選ばれた際の注意点を解説

管理組合では、マンションの維持管理を推進するため代表者で「理事会」を組織し、管理状況について情報共有したり、問題を話し合ったりする場を設けます。開催の頻度に決まりはありませんが、月に1回~数か月に1回程度で設定している場合が多いようです。

マンションの区分所有者は例外なく管理組合の一員(組合員)となりますが、理事会に参加するのは理事に選ばれた人のみです。

では理事はどのような基準で選ばれるのでしょうか。

理事は主に3つの方法で選ばれる

理事の選び方はマンションごとに異なりますが、主に「立候補」「推薦」「持ち回り(輪番制)」のうち、いずれかの方法で選出するのが一般的です。

まずは立候補者や推薦者が役員候補に選ばれますが、候補者が定員に満たない場合や、組合員で公平に役割を分担するため、全戸持ち回りで理事になる輪番制を採用しているケースも多くあります。

理事会での役職とその役割

理事会での代表的な役職としては「理事長」「副理事長」「会計」などがあります。

「理事長」は、管理組合の代表として理事会や総会の招集・議事進行のほか、理事会での調整役や、管理会社をはじめとする外部業者との窓口なども務めます。ただし、すべての権限を有しているわけではなく、何か物事を進めるためにはその都度理事会で協議したり、管理組合の最高意思決定機関である総会で承認を受ける必要があります。

そして、理事長の補佐役として活動するのが「副理事長」の役割です。理事長の職務をサポートするほか、場合によっては臨時の理事長代行として、その職務を行うこともあります。

一方の「会計」は、区分所有者が毎月積み立てている管理費等の出納・保管・運用・支出等の会計業務を行う役職です。具体的には現金や通帳の管理、収支の管理、滞納者への督促、会計資料の作成などがあげられます。専門的な知識も要しますので、管理会社と委託契約を結んでいる場合、おそらくこの会計業務の大半は管理会社が行っているケースが多いでしょう。その場合、会計担当理事は管理会社から提出された会計関係の書類に目を通し、収支の状況を把握する役割を担います。また、集まりの際の飲み物代など少額の小口現金を運用している場合、その管理と帳簿への記入などは会計担当理事の仕事となります。自主管理の場合には全て自分たちで行う必要がありますので、会計担当理事の役割は、一層重要になります。

そして、これら役職者が適正に業務を遂行しているか、財産管理が適切に行われているかを監査する「監事」という役職もあります。監事は中立的な立場にいるため管理組合の役職ではありますが理事ではありません。そのため、理事会の決議に参加することはありませんが、監査結果を報告したり、必要に応じて意見を述べたりします。監査の結果、不正があると判断した場合は臨時総会を招集する権限も有しています。

理事会の活動頻度

多くのマンションでは月に1回~数か月に1回のペースで理事会を開催し、情報共有、問題点の確認などを行います。開催頻度は管理組合によって異なりますのでマンションの管理規約などで確認しましょう。

管理会社が入り、管理業務の一部を委託している場合には、共用部分の清掃や点検、会計管理など日常業務の多くの部分を管理会社が担ってくれています。そのため、役員に選ばれたからといって毎日業務に追われる心配はありません。ただし、冒頭でもお伝えした通り、マンションを維持管理していく当事者はあくまでも管理組合です。管理会社は委託された業務を行い、その内容を理事会で報告します。このとき、必要に応じて理事会にアドバイスや提案を行いますが、情報の提供を受けた上でどのような決断を下すのかは管理組合の裁量に委ねられます。管理会社が勝手に修繕計画を立てたり、業者に発注したりすることはできませんので、最終的な決断は理事会での協議や区分所有者も出席する総会などで行われます。管理組合の代表でもある理事は管理会社からの報告にはしっかり目を通し、自身でもマンションの状況はきちんと把握するように努めましょう。わからないこと、不安に思うことがある場合は、積極的に管理会社にアドバイスを求めましょう。

また、自主管理の場合には、自分達で対応が必要な分野が増えますので組合の運営の仕方や役割の分担には一層の工夫が求められます。マンション管理組合の業務は多岐にわたるため、専門知識を要する分野は外部の専門家も活用するなど状況を冷静に判断し、マンションがしっかり維持管理できるような体制づくりが必要です。
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管理組合の運営でよくおこるトラブルと解決策は?

居室内の天井から水漏れが…。濡れて壊れたパソコンは誰が弁償してくれる?

ご自宅で漏水が発生した場合、戸建てであれば自ら修理業者を呼んで直してもらえば解決です。
しかし、マンションの場合は漏水の原因となっている箇所が「共用部分」なのか「専有部分」なのかによって、責任の所在がかわってきます。

そのため上階に居住者がいる場合、まずは管理会社や管理組合を通じて連絡し、漏水の原因となる異常が居室内で発生していないか確認してもらうことになると思います。また、目視ではわかりずらい構造上の問題や配管の破損などが原因の場合、業者が入らないと特定が難しい場合もあります。

調査の結果、外壁のひび割れなど「共用部分」に原因があれば管理組合が、上階の住人の不注意で水を溢れさせてしまったなど「専有部分」に原因があれば部屋の所有者(区分所有者)に損害賠償を請求することになります。

このままでは、いずれ修繕積立金が足りなくなりそう…。

分譲マンションを所有している方が管理費とともに毎月支払っているのが修繕積立金です。大規模修繕工事や突発的な修繕工事など共用部の維持管理に使用されますが、その金額は長期修繕計画に基づき決定されています。
修繕積立金について
詳しく知りたい方はこちら >

修繕積立金が足りないということは、何らかの理由で本来必要となる額と現在の積立金額との間に乖離が発生してしまっているということですが、放置しておくといざ修繕が必要となった際に、お金が足りずに工事ができないといったことにもなりかねません。新築の場合、販売価格が安く見えるよう修繕積立金が低めに抑えられている場合もあります。また、長期修繕計画が長らく見直しされておらず、物価やメンテナンス費用の上昇が反映されていない場合も注意が必要です。いずれにせよ早めに長期修繕計画を見直し、修繕積立金についても適正な金額へ見直しが必要です。

組合員にしてみれば、毎月の支払い額が上がることになりますので、後ろ向きな意見も出てくるかもしれません。しかし、先延ばしにしても、必ずどこかで向き合わなければいけないタイミングがでてきます。しかも後倒しにすればするほど、増額の幅は増えていきますので、負担がより一層重くなります。

まずは、長期修繕計画を見直した上で、適正な修繕積立金額を算出し、なぜ金額の見直しが必要なのが、具体的な根拠や数字を示しながら、丁寧に説明を重ねることが大切です。また組合員だけで議論を重ねるのではなく、マンション管理士など外部の専門家の力を借り、第三者的な視点から関わってもらうことも、合意形成を促す上で有効です。

役員をきかっけに自身のマンションを知ろう!

管理組合の役員に選ばれると「自分に務まるだろうか…」と不安になってしまいがちですが、自身の住環境と資産を守る活動の一環ととらえぜひ前向きにとらえてみてください。お話を伺うと理事になったことをきっかけに自身のマンションの維持管理に興味を持ち、積極的に関わるようになったという方もいらっしゃいます。

良好な管理ができているということは、マンションを維持していくための強固な土台であり、何にも代えがたい価値になります。何度も言いますが、マンションを維持管理する当事者は管理組合の皆様です。当事者が積極的に関わり、より良い住環境を整え、資産価値の維持向上に努めましょう。

マンション管理組合についてよくある質問

管理組合と管理会社は何が違うの?
管理組合はマンションの区分所有者で構成される団体なのに対し、管理会社はマンションの管理業務を請け負う外部の会社になります。管理組合は物件を適切に管理していく役割を担うとお話させていただきましたが、その業務範囲は日常的な清掃や点検、会計業務など多岐にわたります。そのため、多くのマンションでは管理会社に管理業務の一部を委託しサポートしてもらっています。また、管理会社を置くことは義務ではありませんので、自分たちで管理業務を行う「自主管理」と呼ばれる形態を選択するマンションもあります。
「定期総会」と「臨時総会」の違いは?
区分所有法では、毎年1回新会計年度開始以後2ヶ月以内に総会を招集することが義務付けられています。この毎年開催される総会を「定期総会」や「通常総会」と呼びます。対して、「臨時総会」は総会での決議を要する事案が発生した際、必要に応じて都度開催される総会のことです。
理事に選ばれても断れるの?
断れないことはありませんが、基本的には引き受けるようにしましょう。多くのマンションでは役員の担当に輪番制を採用しています。マンションは共同生活ですので、こうした役割も公平に担っていくことが自然です。体調不良など、やむをえない事情でどうしても引き受けることが難しい場合は、その旨をきちんとお伝えしましょう。その代わり、環境が整った際には進んで役員を引き受けるなど、お互いが今後も気持ちよく生活していけるように、他の組合員の方への配慮を忘れないようにしましょう。

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