夏休みは子どもと一緒に山登り!関東周辺のおすすめ5コース

高い山でも、比較的登りやすい場所もある(写真=ジュンパク さん の登山記録より
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この夏、親子登山にチャレンジ!

夏休みシーズンまっただなかの8月。山の日やお盆休みもあり、海に山に旅行に、いろいろと計画を立てている方も多いことだろう。夏休みの時期は、子どもを連れて山に出掛けるよい機会。山頂から眺める絶景、山で一緒に食べるごはんや下山後の観光など、親子ともによい経験となり、思い出に残る夏となるはずだ。そこで今回、関東周辺で親子登山におすすめのコースを選んでみた。

条件としては、比較的なだらか、ロープウェイなどが利用できる、登山開始地点の標高が高いなどを考慮に入れたが、本記事で紹介する以外にもいろいろな山が候補に上がるかと思う。子どもの年齢や登山経験値を第一に考え、それに合ったコースを選びたい。

ここで、子どもを連れて山に登る際の注意ポイントをいくつか挙げておこう。
・子どものペースに合わせよう。大人の1.5倍以上の想定で
・夏は熱中症に充分注意。日射対策とこまめな水分補給を
・目的は子どもも楽しめること。無理して歩き通さなくてもいい
・夏の午後は天気が変わりやすい。早い出発を

本記事に記載の所要時間は大人の標準タイムなので、実際はそれよりも時間がかかると想定しよう。また年齢が低い場合や普段歩き慣れていない場合、歩行距離10kmのコースは少々長いので、コースを短くアレンジしてもよいだろう。さらに、できればリーダーとなる親が登ったことのある山だと安心。

なお、山と溪谷オンラインの登山地図&計画マネジャー「ヤマタイム」では、簡単にコースタイムを計算でき、ペースを考慮して倍率の調整もできるので、登山計画の参考にしていただきたい。

那須岳(栃木) ロープウェイ利用でらくらく登山

那須岳は茶臼岳、朝日岳、三本槍岳などの連山であるが、もっともよく登られているのが茶臼岳(1915m)。ロープウェイ山頂駅から山頂まで1時間弱なので、初心者や子どもでも登りやすい。紅葉の時期は観光客・登山者で大にぎわいとなる。

茶臼岳への登り(写真= 山が好き! さん

ロープウェイで一気に山頂駅まで。すでに標高1684mなので、空気も違う。山麓方面の展望を見下ろしながら、砂れき混じりの道をなだらかに進む。牛ヶ首への分岐から茶臼岳方面に、山頂を見上げながら登っていく。岩がちな道となり、大きな岩があるあたりから傾斜が強くなる。晴れているとひたすら炎天下なので、こまめに水分補給をしよう。さらにもうひと頑張りでようやく山頂に到着。三六〇度の展望が待っている。時間と体力に余裕がありそうなら、お鉢めぐりへ行ってみよう。

火口の縁を歩くお鉢めぐり(写真= 山が好き! さん

帰路は山肌が荒々しい朝日岳を眺めながら峰の茶屋跡に下っていく。岩がちな砂れきの道の下りは、慣れていないと滑りやすいので慎重に。なだらかになれば、避難小屋のある峰の茶屋跡に到着する。峰の茶屋跡からは茶臼岳の斜面につけられた道を峠の茶屋まで下り、あと少し頑張って歩いてロープウェイ山麓駅まで戻る。

子どもがまだ小さかったり、登山も初めてという場合は、ロープウェイ山頂駅から茶臼岳の往復でも、登山気分を味わうには充分だろう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 2時間0分
総歩行距離:  4,090m  上り標高: 260m  下り標高: 561m
山頂駅・・・茶臼岳・・・峰ノ茶屋跡・・・県営駐車場・・・山麓駅

高低図

関連する登山記録

赤城山・地蔵岳(群馬) 眺めのよい山頂と沼をめぐる

群馬県の赤城山は、誰もが一度は耳にしたことがあるはず。山頂部にいくつものピークを連ね、大沼、小沼などの火山湖もあるので、四季を通じて観光客も多く訪れる。最高地点は標高1827mの黒檜山(くろびやま)だが、岩場の急な道があり子どもには少々厳しい。今回は歩きやすい地蔵岳(1674m)を紹介しよう。

新坂平からスタート。駐車場の奥から山道に入り、樹林帯の歩きやすいを登っていく。少し急で石が転がる箇所もあるが、ゆっくり足を運んで登ればとくに問題はない。電波塔が見えてくれば、山頂部に到着する。山頂にはその名の通り地蔵が立ち並び、眼下には大沼や黒檜山など周囲の景色が一望のもとだ。

地蔵岳から黒檜山と大沼(写真= クニョム さん

展望を楽しんだ後は、八丁峠方面へ小沼を見ながら下る。ところどころ木道が整備されていて歩きやすいが、雨後など濡れている場合は滑らないよう注意。地蔵岳登山口に出てからは、車の通行に注意しながら車道を歩き小沼へ。観光客でにぎわう小沼からは、鳥居峠、覚満淵を経て赤城高原ビジターセンターに向かう。

山に囲まれた小沼(写真= クニョム さん

赤城山には観光スポットが点在しているので、下山後に立ち寄るのも楽しい。また本コースが長いという場合は、八丁峠や新坂平からの往復でもよいだろう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 2時間20分
総歩行距離:  4,339m  上り標高: 313m  下り標高: 382m
行程: 新地平・・・新坂平分岐・・・小沼平・・・小沼平分岐・・・覚満淵・・赤城公園ビジターセンター

高低図

宝永山 (富士山) 非日常感あふれるダイナミックな風景

日本一の富士山に登ってみたいけど、親子で登れるとは思えない・・・そんなファミリーにおすすめなのが、富士山の山腹にあるピーク・宝永山(2693m)だ。

富士山が江戸時代に大噴火を起こしたのをご存じだろうか。1707年の宝永噴火では、軽石やスコリア(気泡を含む火山礫)が飛散する噴火が約半月も続いた。火山灰は江戸にも降り続き、昼間でもろうそくの明かりが必要なほどだったという。この大噴火で形成されたのが富士山の南東斜面の宝永火口で、その北東側に位置するのが宝永山だ。この山は宝永噴火の火山弾や火山礫が積もってできたものではなく、1万年以上前の古い噴火によって降り積もった地層が、宝永噴火に伴う変形で持ち上げられたと考えられている。

美しい宝永山(写真= 次郎 さん

宝永山へは、富士宮口五合目が起点となる。富士宮ルートを六合目まで登り、山頂への登山道と分かれて宝永火口方面へ。まるで別の惑星を歩いているかのような荒涼とした風景を見ながら宝永第一火口縁からいったん下り、さらに東側の火口縁へ登り返すと、宝永山の馬の背に出る。ここから宝永山頂へは往復20分。山頂からは富士山の頂上部のほか、箱根や駿河湾、眼下に山中湖などを展望できる。

宝永山からの富士山頂(写真= バンブルビー さん

帰路はもと来た道を戻るが、御殿場ルートに抜ける「プリンスルート」も選択できる。ただし、所要時間と距離はかなり長くなるので計画は慎重に。

 

行程・コース

最適日数:  日帰り 4時間0分
総歩行距離:  5,171m  上り標高: 524m  下り標高: 524m
行程: 富士宮口五合目・・・第二火口縁・・・宝永山・・・六合目・・・富士宮口五合目

高低図

霧ヶ峰(長野)なだらかな高原ハイキング

諏訪湖の東側に持ち上がる、なだらかで大きな山が霧ヶ峰(車山・1925m)だ。車山から鷲ヶ峰にかけては、高原らしいゆったりとした起伏が連なる。広大な草原や点在する湿原には高山植物が咲き乱れ、親子で歩くのにぴったりだ。

霧ヶ峰は火山だが、火山活動が落ち着いた12000年ほど前から長い時間をかけて、溶岩台地に湿原が発達した。文字通り、諏訪湖から水蒸気が運ばれることで霧が発生しやすいこともあってミズゴケがよく生育し、現在の高層湿原を形成した。

縦横に車道が拓かれたためアクセスしやすく、湿原を巡るさまざまなコースを設定できるのが霧ヶ峰ハイキングの魅力だ。

ここでは、親子で一日かけてゆっくり歩ける八島ヶ原湿原から車山への周回コースを紹介しよう。八島ヶ池から湿原に咲く花を楽しみながら木道を歩き、ヒュッテ御射山の前に出る。平安〜鎌倉時代に諏訪信仰の祭祀が行われたという旧御射山遺跡のそばを通って沢渡へ。

八島ヶ原湿原(写真= ジョージ・トッポ さん

ビーナスの丘に登って車山肩から霧ヶ峰最高地点の車山に登り着く。天気がよければ富士山や八ヶ岳、日本アルプスを眺められる。八島ヶ原湿原へは蝶々深山や物見岩経由で戻る。

車山山頂からの展望(写真= マサヒタ さん
蝶々深山への木道(写真= ダイスケ さん

本コースはなだらかな高原ハイキングとはいえ、歩行距離は10km。子どもが小さい場合は少々長いかもしれない。時間や体力に合わせて短縮コースにする場合は、車山に登った後は車山肩からバスに乗り、上諏訪駅へ下山するか、八島ヶ原湿原に戻るのもよい。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間50分
総歩行距離:  10,648m  上り標高: 489m  下り標高: 489m
行程: 八島湿原・・・諏訪神社・奥社・・・沢渡・・・車山肩・・・車山・・・車山乗越・・・蝶々深山・・・物見岩・・・奥霧小屋跡・・・八島湿原

高低図

乗鞍岳(北アルプス) 3000m級の雲上トレッキング

北アルプスの最南端に位置する乗鞍岳(3025m)は、標高3000mを超える高峰にもかかわらず、山頂部まで道路が延びており、登山初心者でも気軽に山歩きが楽しめる山。遅くまで雪渓が残り、高山植物の宝庫でもある。

2023年8月現在、岐阜側からの乗鞍スカイラインは通行できないため、長野側の乗鞍高原からのアクセスとなる。バスまたはタクシーを利用して畳平まで。畳平からは整備された歩きやすい道を進む。周辺には雄大な景観が広がる。肩ノ小屋からは、いよいよ登山道となる。岩と砂れきが混じり傾斜も出てくるが、振り返れば肩ノ小屋と摩利支天岳の眺めがよい。

めざす最高地点・剣ヶ峰への登りから肩ノ小屋を見下ろす(写真= ジュンパク さん

やがて稜線に飛び出せば、右下に美しい権現池が眼下に見下ろせる。売店のみの頂上小屋を過ぎれば、乗鞍本宮神社のある山頂、剣ヶ峰に到着する。南北アルプス、御嶽山など、三六〇度の展望だ。展望を満喫したら、砂と岩混じりの道を滑らないよう慎重に足を運び、畳平に戻る。

山頂部の美しい権現池(写真= マルシア さん

歩きやすい山とはいえ標高は3000mを超える高山。日差しをさえぎる木々もないので、高山病や熱中症には充分注意しよう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 2時間55分
総歩行距離:  5,130m  上り標高: 450m  下り標高: 450m
行程: 畳平(08:00)・・・富士見岳分岐(08:10)・・・肩ノ小屋(08:45)・・・乗鞍岳(09:35)・・・肩ノ小屋(10:15)・・・富士見岳分岐(10:45)・・・畳平(10:55)

高低図