妊娠中の性生活 ~性行為はしてもいいの?~

妊娠中の性行為 基本的には避けて

夫婦のコミュニケーションにおいて性行為(セックス)は大切なスキンシップの1つで、中には『妊娠中に性行為をしても大丈夫』と書かれた記事を見たこともあるかもしれません。たしかに性行為が直接的にお腹の赤ちゃんの成長に影響を及ぼすことはほとんどありませんが、妊娠中のお母さんの身体は妊娠前と大きく異なっており、性行為によって流産や早産などさまざま危険があるのも確かです。夫婦関係にも関わるデリケートな問題ですが、1番大切なのはお母さんと赤ちゃんの安全を優先すること。妊娠による身体の変化や性行為によるリスクをしっかり理解し、ご自身とパートナーにとって心地よいコミュニケーションの取り方を話し合いましょう。

性行為によるリスク

● 性感染症にかかる危険がある
妊娠中の身体は免疫力が低下していて、妊娠していない時に比べ感染症にかかりやすくなっています。クラミジア・梅毒・淋菌感染症などの性感染症も例外ではありません。感染症の中には、お母さんが感染することでお腹の赤ちゃんに障害や奇形を起こしたり、命に関わる危険なものもあります。感染のきっかけとなる性行為を避けることで、感染のリスクを抑えることにつながります。

● 性行為の刺激が流産・早産を誘発
ペニスの挿入やピストン運動は、膣や子宮頸部・赤ちゃんの通り道(産道)に刺激を与えます。その結果、子宮筋を収縮させる働きが作用し、切迫流産や切迫早産になるリスクが上がるといわれています。乳頭への刺激も子宮を収縮させる働きがあるので、注意が必要です。

● 精液が及ぼす影響
精液にはさまざまな細菌が含まれており、精子にも細菌を頸管のなかへ運び込んでしまう働きがあります。これらの細菌の中には、早産や破水の原因となる絨毛膜羊膜炎を引き起こす作用を持つもの、子宮を収縮させる作用をもつもの、卵膜をもろくして破水の原因となる炎症を起こす作用をもつものなど、妊娠中の身体にとって良くないものが多くあります。これら細菌や化学物質を含む精液を腟内にいれることは避けましょう。

妊娠時期ごとの危険性

● 妊娠初期(~4カ月)
妊娠初期は妊娠期間の中でも性行為が特に危険な時期です。もともと妊娠初期は流産のリスクが高く、そこに性行為によって子宮を刺激することで、お腹の張りや出血が起こる可能性があります。また、もしも感染症にかかってしまった場合は、流産や早産の原因になる恐れもあります。赤ちゃんとお母さんの安全を考え、この時期に性行為をすることは避けましょう。

● 妊娠中期(5~7カ月)
安定期に入ると、体調も良くなり流産のリスクも初期よりは落ち着きます。少しずつお腹が大きくなってくるので、お腹を圧迫しないよう注意してください。もしも性行為中におなかが張ってきたら、その時点で性行為を中断しましょう。

● 妊娠後期(8~10カ月)
お腹が大きくなっているため、体位によっては胃や肺が圧迫されて苦しくなることがあります。また、分娩に備えて徐々に子宮口や腟がやわらかくなり、これまで特に異常がなかった人でも出血しやすくなったり、破水や早産につながったりするリスクがあります。

性行為をするなら守って欲しい4つのこと

妊娠中の性行為の危険因子をお伝えしてきましたが、過度の禁欲は反対にストレスとなり妊娠経過に影響を及ぼすこともあります。性行為をする場合は、上で述べたリスクなどを予防するため気をつけて欲しいポイントがあります。パートナーと一緒に気をつけてください。

● コンドームを必ず着用する
● 激しい行為は避け、ソフトな接触を心がける
● お腹に負担のかからない体位を心がける
● 無理はしない

こんなときは厳禁!!

・医師から安静を指示されている
・お腹が張っている、または張り止めを飲んでいる
・不正出血がある
・お腹が張っている
・コンドームがない

他にも、多胎(双子や三つ子の妊娠)や前置胎盤などが指摘されている場合や、つわりがひどいときなども性行為を行うことは避けてください。お母さんと赤ちゃんと守るため、また、心地よいと思える性行為をするため、少しでも性行為に対して不安があれば医者や助産師に相談してみましょう。

性行為以外のスキンシップをすることも大切

妊娠中は体や心にさまざまな変化が起こり、それは妊婦さんだけでなくパートナーの方にも起こりうるものです。なかには赤ちゃんや母体のことを考えると怖くて性行為しづらいという方もいらっしゃるでしょう。例えばハグやキス、手をつなぐなど、性行為以外の方法でスキンシップをとることも1つの方法です。お互いを思い合ってスキンシップすることで愛情を高められるでしょう。パートナーとよく話し合い、安全で楽しい妊娠・夫婦生活を送ってください。

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