トヨタが新たなBEV戦略を発表 2030年には年産350万台に

2021.12.14 自動車ニュース webCG 編集部
全16車種のBEVを前に、これからのBEV戦略について語る、豊田章男 トヨタ自動車社長(写真中央)。
全16車種のBEVを前に、これからのBEV戦略について語る、豊田章男 トヨタ自動車社長(写真中央)。拡大

トヨタ自動車は2021年12月14日、将来的な電気自動車(BEV)戦略についての説明会を開催した。

会場に並んだ、「bZ」シリーズ5モデル。写真左手前から順に、「bZ4X」「bZ COMPACT SUV」「bZ SMALL CROSSOVER」「bZ SDN」「bZ LARGE SUV」。なお、トヨタは2025年をめどに、全国の販売店に充電器を設置する計画を立てている。
会場に並んだ、「bZ」シリーズ5モデル。写真左手前から順に、「bZ4X」「bZ COMPACT SUV」「bZ SMALL CROSSOVER」「bZ SDN」「bZ LARGE SUV」。なお、トヨタは2025年をめどに、全国の販売店に充電器を設置する計画を立てている。拡大
「bZ SMALL CROSSOVER」は最もコンパクトなBEVでありながら快適な車内空間を実現しているという。
「bZ SMALL CROSSOVER」は最もコンパクトなBEVでありながら快適な車内空間を実現しているという。拡大
「bZ LARGE SUV」。「bZ」シリーズには、3列シートのラージサイズSUVもラインナップされる。
「bZ LARGE SUV」。「bZ」シリーズには、3列シートのラージサイズSUVもラインナップされる。拡大
スポーツカータイプのBEV「SPORTS EV」。こうしたモデルもフルラインナップ化戦略のなかに含まれている。
スポーツカータイプのBEV「SPORTS EV」。こうしたモデルもフルラインナップ化戦略のなかに含まれている。拡大
トヨタは2022年から2030年までの9年間で、4兆円にもおよぶBEV関連投資を計画している。
トヨタは2022年から2030年までの9年間で、4兆円にもおよぶBEV関連投資を計画している。拡大
「100%BEV化を目標に掲げるメーカーもあるが、トヨタはなぜそうしないのか」という質問に対して、豊田社長は「われわれが目標とする“30車種・年産350万台”というのは、大変な数字。パーセンテージ(割合)ではなく、絶対数で評価していただきたい」などと返答した。
 
「100%BEV化を目標に掲げるメーカーもあるが、トヨタはなぜそうしないのか」という質問に対して、豊田社長は「われわれが目標とする“30車種・年産350万台”というのは、大変な数字。パーセンテージ(割合)ではなく、絶対数で評価していただきたい」などと返答した。
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30車種をリリース、レクサスはBEV100%に

今回の発表会場は、東京・江東区にある“クルマのテーマパーク”「MEGA WEB」。あいさつに立った豊田章男社長は、1999年のオープン以来延べ1億2700万人が来場し、2021年末での閉館が決まっているこの施設を、BEV戦略を語るにふさわしい“未来へのショールーム”だと力説した。

ショールームという言葉の通り、会のオープニングとともに、トヨタのBEV専用車である「bZ」シリーズが披露された。うち1台は、2021年10月に発表され、2022年年央の発売に向けて元町工場で生産準備中というシリーズ第1弾「bZ4X」。その横に、クーペライクなシルエットのSUV「bZ COMPACT SUV」、最もコンパクトな都市型SUV「bZ SMALL CROSSOVER」、セダンタイプの「bZ SDN」、3列7人乗りのラージサイズSUV「bZ LARGE SUV」という4台が並べられた。

これらをはじめ、同社は2030年までに、グローバルで30車種のBEVをリリース。フルラインナップでの展開とすることで、世のさまざまなニーズに応えつつ、BEVならではの走りとBEVのある暮らしを世界中の人に届けるという。

さらに豊田社長の合図でbZシリーズ後方の幕が下りると、11台のBEVが出現。総勢16モデルのBEVが並び、前述のBEVフルライン化が決して絵空事でないことがアピールされた。「(これらが実際に量産されるのは)そんな先の未来ではありません。ほとんどはここ数年で、世の中に出てきます」などと、豊田社長はその実現可能性の高さを強調した。

またトヨタは新たに、「2030年には、グローバルなBEVの年間販売台数を(全体の3割ほどにあたる)350万台にする」ことを宣言。今後はトヨタブランドだけでなく、SUVの「レクサスRZ」やBEVスポーツカーを販売するなど、レクサスブランドでもBEVのラインナップを強化。2030年までにはレクサスブランドの全カテゴリーにBEVを配置しグローバルで100万台を生産すること、さらに2035年には、レクサスの新車を100%BEVとすることがアナウンスされた。

これに伴う投資の強化についても説明された。トヨタは2022年から2030年までの9年間で、BEV関連の領域において4兆円の投資を行い、ハイブリッド車と燃料電池車(FCV)の4兆円と合わせて、計8兆円規模の投資を行う予定。併せて、電池関連の新規投資も2021年9月に発表した1.5兆円から、2兆円に増額。これまで以上に先進的で良品廉価な電池の開発を目指すという。

そうしたなかで、BEVの整理や集約を行わずフルラインナップ化を目指す理由について、豊田社長は「将来の不確実性があり、その未来を予測するよりも、変化にすぐ対応できることが大事だから」と説明。「正解への道筋がはっきりするまでは、ユーザーに対して幅広い選択肢を残し続け」、そうすることで「人と社会の幸せを量産する会社になりたい」と、会を締めくくった。

(webCG)

◆フォトギャラリー:トヨタとレクサスの新開発BEV

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