賀来賢人が苦労した「何もしない美学をとことん貫く」役作り、プロデューサーとしても参加した主演作を語る

東京ウォーカー(全国版)

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2024年2月15日より、Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」の世界独占配信がスタートする。過去の任務をきっかけに忍を捨て酒造を生業としている俵家が、とあることから再び秘密裏の任務を請け負い、国家を揺るがす危機に対峙することになっていく…というストーリーの本作。

「忍びの家 House of Ninjas」で主人公の晴(ハル)を演じた賀来賢人さん


もし、“今もなお、現代日本で忍びが暗躍していたらー”という、この企画の原案を生み出した賀来賢人さんが、トラウマを抱える俵家の次男で主人公の晴(ハル)を演じる。そして、主演のみならず精力的に作品作りに関わった賀来さんに、制作の裏側や本作にかける想いを語ってもらった。


完全オリジナル作品ができることにワクワク

――賀来さんが原案をNetflixに持ち込んだことが本作のスタートとのことですが、まずどういった経緯があったのか伺いたいです。

【賀来賢人】Netflixでオリジナル作品の制作に携わっているNetflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本(和隆)さんにお会いする機会があり、その時にストーリーラインとキャラクターラインを書いた20ページくらいの企画書を持っていきました。

それを預けたら、しばらくしてデイヴ(・ボイル監督)が作った120ページくらいの膨大な企画書が戻ってきたんです。原案をもとに世界観を広げて、僕たちには絶対思いつかなかったストーリーを彼が作ってくれました。


――今回、共同エグゼクティブプロデューサーとしても参加されていますが、具体的にはどういった業務を担当されたんですか?

【賀来賢人】監督と方向性について話したり、台本の手直しや編集をしたりとクリエイティブ方面で主に関わりました。キャスティングは関わったところとそうでない部分がありますが、僕から連絡した方もいらっしゃいます。現場に入ってからは、自分の撮影がない日にも毎日現場に行くというようなことはできなかったんですが、裏で台本を直したりはしていましたね。

――俳優とは違う業務をこなした、プロデューサー業のやりがいはどういったところにありましたか?

【賀来賢人】やっぱり完全オリジナル作品を作れるということですね。今の日本の業界で、この規模のオリジナルストーリーを作るのはすごく難しい。でも、Netflixのような世界配信作品だったら、それが可能なんです。原作がなく誰も知らないストーリーだから、どこまで世界で通用するんだろうとワクワクする気持ちもあります。


忍者は外国人にも愛される日本の素晴らしいカルチャー

――では、原案として出された忍者というテーマは、どういったところから着想を得たのでしょうか。

【賀来賢人】そもそも企画のきっかけが、コロナ禍で仕事がストップしたことでした。ドラマ「死にたい夜にかぎって」のチームでオンライン飲み会をしていて、待っているだけじゃなく自分たちで作ってみようと、本作の原案に一緒に名を連ねている村尾(嘉昭)さんや今井(隆文)さんと話していたんです。

その時に浮かんだのが、忍者。家族で忍者村に行ったときに、うちの子どもが楽しんでいて、それに負けないくらい海外からの観光客が熱狂している姿を思い出したんです。日本にはこんなに素晴らしいカルチャーがあるのに、それを活かしきれていないなと感じていたので、もともと作ってみたかった家族の話と掛け合わせた作品はどうか、という流れで原案ができました。家族の話をちゃんと描きたかったので、映画ではなく全8話のドラマのスタイルがいいなという構想もありましたね。


――原案の段階で、特に苦労したことや悩んだ部分などがあれば教えてください。

【賀来賢人】現代に忍者がいるという設定だと、スパイものになりがちなんです。でも忍者とスパイは違うものだし、新しいガジェットを使って…となってくると忍者のよさがどんどん消えてしまう。だから、忍者のあるべき姿というのを常に考えていたし、撮影中も忍者は忍者、スパイはスパイ、ということを常に確認しながら進めていた記憶があります。デイヴが僕たちよりも忍者に詳しくて、それに助けられた部分が大きいです。

何もしない美学を貫いて演じた晴は、難しいけれどやりがいのある役

――デイヴ・ボイル監督は日本の作品も手がけられている方ではありますが、海外の方ということで忍者観に違いを感じることはなかったのでしょうか。

【賀来賢人】それはあったと思います。彼がフォーカスした忍者観の一番のおもしろさって、我慢とか忍耐というところ。史実にも、酒飲んじゃいけない、肉食べちゃいけない、セックスしちゃいけないっていうのがあるんですが、そういう縛りの中でずっと生きてきた彼らは、常に影に隠れて誰かに仕えて、歴史の中で記録に残らない動きをしていた。そこが、やっぱりほかのヒーローにない部分というか、ヒーローなのかもわからないわけですよ。仕えている人が悪なのか正義なのかすら知る余地もない、すごく悲しい存在でもあるんですよね。

僕にはないその着眼点がすごいな、おもしろく描かれているなと思いました。善と悪という世界に共通する普遍的なテーマを忍びでやったことや、宗教とか家柄というニッチなエッセンスも入っているのが、忍者モノというジャンルに収まらない切り口になっていると思います。


――逆に、デイヴ・ボイル監督と「ここは違うんじゃないか」みたいに、意見がぶつかったことはないですか?

【賀来賢人】もちろん話し合いはありましたけど、基本的に趣味がすごく合ったので、お互いにおもしろいアイデアを出し合って膨らんでいく、みたいなことの方が多かったかな。

8話のラストシーンで、「こうしたらどうだ」というデイヴに、重要な役どころで登場する山田孝之さんが「じゃあ、こうしようぜ」って、3人で台本とは全然真逆の方向のシーンを作ったりとかして。台本上では淡白だった僕と山田孝之さんのシーンがどんどん広がっていきましたね。出来上がったものを見たときに笑っちゃったくらい、いい映像に仕上がっているので、ぜひ注目していただきたいです。

――賀来さんが演じた晴は、家族の中でも一番いろいろと考えて、背負ってしまっているように感じたのですが、どういう風に役を作り上げたんでしょうか。

【賀来賢人】彼は過去のトラウマを引きずって、溜め込んで、人に言えない…優しいから、ずっと葛藤してるんだけど、常に受け身なんですよね。忍びの活動にしても、気になる存在の可憐(吉岡里帆)を守ることも、常に誰かに引っ張られてアクションを起こす人物だったので、とことん引いた表現をやろう、何もしない美学をとことん貫こうって考えていました。僕としてはそれがすごく難しくて、セリフもわざとめちゃめちゃ少なくしたんです。でも、それがハマれば、おもしろい魅力的な主役になるだろうと思ったので、難しいけれど、すごくやりがいのある役でした。


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