板谷由夏インタビュー/初舞台も「楽しまないともったいない!」

関西ウォーカー

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女優であり、キャスターや自分のファッションブランドのディレクターなど、多彩に活躍する板谷由夏が舞台に初挑戦する。

舞台「フォトグラフ51」で主演を務める板谷由夏撮影=西木義和


あの、ニコール・キッドマンがウェストエンドで主演し、高い評価を得た作品だ。演出は、ブロードウェイで注目の女性演出家サラナ・ラパイン。

時代は1950年代。まだ女性科学者がめずらしかった男性社会の中で、DNA研究にすべてを捧げ、その発展に多大な貢献をしながら37歳の若さで亡くなった実在の女性科学者ロザリンドと、彼女を取り巻く5人の男性の姿を描く。タイトルの「フォトグラフ51」とは、DNAの二重らせん構造の発見に重要なカギを握ったX線の回析写真のこと。世紀の大発見をしたのはロザリンドだったが、ノーベル賞を受賞したのは彼女ではなかった。

研究室を舞台に90分間ノンストップで繰り広げられるスリリングな人間ドラマ。この作品に主演する板谷由夏が稽古開始を控え、来阪。きちんと自分の考えを口にする。とてもクリアで親しみがあり、話していて楽しい。そんな彼女が初舞台への想いと意気込みを語った。

【オファーを受けて】

もともと舞台を観るのは好きですし、舞台経験のある友人たちもいました。今まで出演していないのは、たまたまタイミングが合わなかっただけなんです。なので、お話をいただいた時、ついに来た!と思いました。今よりも女性が自分の遺志を持って、やりたいことを貫き通すのは難しかったと思うのですが、あの時代に科学とストイックに向き合ったことも含め、同じ女性としてすごく惹かれたということがまずあります。かつ、37歳の若さで亡くなった彼女の人生の切なさやはかなさとか。でも、自分のやりたいことを徹底してやった、その生き方が素晴らしい女性だなと。その人物を是非演じたいと思いました。なので、自分のやりたいことを一生懸命やってる女性にはより、この作品が伝えたいメッセージが響くと思います。

【今の想い】

初めての舞台ということを意識し出すと、とてつもなく不安になるので、ネガティブなことを考えず、ポジティブにしようと思っています。どんなことが待っているのか、初めてのことを楽しめるようにしたいです。終わった時には、絶対に楽しかったと思いたいですし、絶対にやって良かったって思うところまで持って行きたい。

でも、ほんとに全部楽しみなんです。楽屋に掛けるのれんを誰に頼もうかとか、お客さんが来てくださった時のお土産は何にしようかなとか具体的なことも楽しみですし、このメンバーで芝居が出来るのもとても楽しみ。テレビや映画と違って、1か月かけてお稽古で作り上げたことを1か月近く演じることもすごく贅沢で、楽しみ。でも、舞台は観に来てくださったお客さんの脳裏と目にしか残らない。ワクワクしますよね。去年の夏ぐらいから基礎体力を作ろうと、プールとかウォーキングとか有酸素運動をし始めました。

「フォトグラフ51」は4/25日(水)・26日(木)に 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演


【物語について】

科学の研究が軸だけど、それを巡る人間関係、みんなとの駆け引きややりとりの話です。人と人のコミュニケーションの、難しさと切なさと悲しさと。人と人ってなんだろうということが、5人の男性との間で繰り広げられていきます。当人同士はわからないけど、取ったり取られたりというような背景があるので、おそらく、お客様の方がドキドキする瞬間もあると思います。

【6人芝居の紅1点】

その紅1点に、「みんな、ついて来い!」という感じです(笑)。共演者の方たちは、ほとんど初めてです。でも、私はどの現場もすぐにスーっと入り込むタイプで、まったく人見知りしませんし、スタッフの人たちも大好きです。連続ドラマにゲスト出演させていただく時でも、ヒュ~っと入ってスーっといなくなるタイプだと思います。相手の性別はあまり関係ない“壁なし”です。なので、初めて合う人には興味しかないです (笑)。

【実在の人物ロザリンドの存在】

知らなかったです。それに、まさか彼女が発見の発端で、男性3人がノーベル賞を受賞したなんて。でも彼女は、自分の研究が男性に取られたという意識はないんですよね。多分、自分のやりたいことに向かっていただけ。でも、叶わなかったことが魅力のある話になり、だからこそ人間を掘り下げられるお話だねって演出家のサラナと話していました。

ロザリンド・フランクリンの生き方って、ストイックで骨太。自分のやりたいことをやって、周りになんと言われようとそれを貫いた。その生き方に勇気づけられることがあると思います。ただのわがまま、ではないんですよね。

【演出家サラナについて】

彼女とは、ほとんど同じ年齢です。初めて会った時、この人に付いて行こうって思いました。この題材をものすごく愛していて舞台化したい気持ちが強かったことと、演出家として人間がすごく好きなんだろうなと思ったんです。私も人を知りたくてこの仕事をしているところがあるので、なんとなく周波数、価値観というか、表現したい言葉が似てる気がしています。でもサラナに、好奇心が旺盛なところと物事ひとつに没頭してしまうところは、由夏とロザリンドはちょっと似ている、と言われました(笑)。

【ブランドやキャスターも好奇心?】

根っこは好奇心だと思います。色々いろんなことをさせていただいていますが、40代になって思うのは、結局すべて芝居に返したいということ。「NEWS ZERO」も10年になるのですが、普段お会い出来ない人たちに会うことも結局芝居に戻したいんだなと思います。自分の役作りに関しても、やっぱり芝居に戻したいという欲がある。そこの軸はブレないんだなと、最近すごく感じています。

【意気込みとメッセージ】

科学って難しいように取られがちなのですが、すべて人間ドラマなんです。なので、ある程度自分のやりたいことやって、仕事をして、自分の足で立ってる大人の人に観ていただきたいです。大人だときっとグッと来る気がします。特に大人の女性に観てほしいですね。東京公演を終えて、気持ちも新たに大阪へ。練ったものを持ってきます(笑)。

【関西に来ること】

なかなかないのですが、プロデュースしている洋服のブランドの販売会、半年に1回は来ています。買ってくださる方と直接お会いしたいので。作っているのはジーンズとシャツで、定番の普遍的なものが好き。お洋服が大好きなので、違う脳でたまに考えつつ、ロザリンドも考えつつ、たまにドラマのこと、「NEWS ZERO」と、いろんな脳が個々に波打ってる感じです。

【一番楽しいこと】

いつも何でも楽しいんですよね。その時その時が、あ、楽しい!って思うタイプなんです。でも、楽しいことも続かないから、楽しまないと損だと思っちゃいます。せっかく出会ったり体験することを、躊躇したりネガティブに考えるより、できれば笑って、楽しかったねって終わりにしたい。それを積み重ねる方が楽しいですよね。楽観主義者ですね。そうしないと、もったいないと思っちゃう(笑)。

だから初舞台も楽しみます。楽しむためにはどんなことでもします。今から3か月の長距離、ロザリンドの人生を背中に背負っていかなければいけないので。千秋楽の大阪で、美味しいお酒が飲めるように。今日は串揚げが食べたいです(笑)。

※とっておき情報!※

大千秋楽直後には、別スペースで限られた人だけに贈るトークイベントを開催。公演を終えての感想や稽古場での秘話、ライフスタイルなどについて、板谷さん本人が語る貴重な機会。公演料金でイベントも一緒に楽しめる。チケットなど詳細は劇場HPへ。

高橋晴代

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