“格ゲーのラスボス”は現実世界でも強すぎる！格闘ゲーム愛あふれる日常(？)が笑えて燃える【作者に聞いた】

壮大な野心に他を寄せ付けぬ風格を持ち、時には主人公をも凌駕する実力を備える「ラスボス」。そんな格ゲーのラスボスが現実世界に現れ、ひょんなことから普通の青年と日常をともにすることになってしまったら……？格ゲーあるあるな展開が散りばめられたコメディ漫画が笑えてアツいと人気を集めている。

格ゲーあるあるな理不尽なラスボスぶりの「ガイア様」が笑えるカッコよさ

コミックウォーカーで『 最後の竜騎士の英雄譚 ～パンジャール猟兵団戦記 』(原作：よしふみ)を連載中の漫画家、蒼木雅彦( @aokimasahiko )さんが、自身のTwitterや電子書籍で発表している漫画『ラスボスといっしょ』。ある日、格ゲーの世界から突如現れたボスキャラクター「ガイア・フリージア」が、ラスボスの威厳そのままに現実世界を謳歌するストーリーだ。

伝説のラスボス“ガイア様”は、出会った少年を秘書に選び、格闘大会を開催しようと画策。会場を探すべく少年とともに街へと繰り出す。

そんなガイア様は、街中で不良集団に絡まれたら“ノーゲージで多段ヒットの飛び道具技”やラスボスにありがちな全体攻撃で圧倒。銭湯でヤクザと揉めた時は濡れた床で滑ったと思いきや“6Kのスライディング”でダウンを奪い、凶弾に沈んだかと思えば“ゲージ自動消費で理不尽に復活”するなど、格闘ゲームあるあるな要素と遺憾なき実力でねじ伏せていく。

2021年にTwitterで第1話が公開され、ユーザーから2万件を超えるいいねを集めた本作。その後も断続的に続編が公開され、往年の格闘ゲームのオマージュが散りばめられたネタや展開が笑いを誘うとともに、魅力あふれるラスボスぶりに「ガイア様」と呼び慕う読者の声が多く寄せられている作品だ。シリーズはKindleインディーズで無料の電子書籍としても発表されており、2022年12月にはエピローグが公開され、いよいよ完結を迎えた。

「面白いと思ったものを自由に描けた」個人制作ならではの醍醐味

作者の蒼木さんに話を聞くと、本作が生まれたのは「ラスボスの漫画はたくさんありますが、格ゲーのラスボスを主人公にしてる漫画ってないな」と思い、試しに描いてみたのがきっかけだったという。

格ゲーファンなら思わずニヤリとするような展開の日常(？)コメディの第1話からはじまった本作だが、当初は続きの構想はなかったそう。「想像以上に反響があったので続きを描きましたが、ネタも切れてきたので強引に終わらせました(笑)」と蒼木さんは話すが、最終話ではガイア様の“絶対王者”たる所以を見せつける熱く感動のクライマックスが描かれている。

商業作品で絶えず活躍を続けている蒼木さん。個人制作として約1年半の間展開した「ラスボスといっしょ」シリーズを振り返り、「なんの制約もないので、自分が面白いと思ったものを全部自由に描けて楽しかったです。全てがお気に入りですが、特にムキムキおじさんのガイア様は楽しかったです。ただ、話を思いついても完成まで何カ月もかかってしまうのが苦労といえば苦労です」と振り返る。

最後に、本シリーズに集まった多くの反響への思いと、今後の制作の展望についてうかがった。

「『ラスボスといっしょ』は、想像以上に多くの方に読んでいただけたので描いてよかったなと思います。個人制作は隙があったらまた描きたいです。現在連載中の『最後の竜騎士の英雄譚 ～パンジャール猟兵団戦記』もよかったら読んでみて下さい。2月22日(水)に単行本1巻が発売です。よろしくお願いします！」

取材協力：蒼木雅彦(@aokimasahiko)