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ダフト・パンクが終止符を打った先には? 28年の歴史を名曲とともに振り返る。

2月22日、フレンチ・エレクトロ界のレジェンド、ダフト・パンク(Daft Punk)が解散を表明した。誰も予想しなかったこの衝撃は世界を駆け巡り、解散理由は未だ謎に包まれたままだ。93年の結成から28年間に渡り、シーンの最前線で輝き続けた功績は計り知れない。不朽の名作「One More Time」からファレル・ウィリアムスやザ・ウィークエンドとのコラボ曲まで、メガヒットチューンとともに彼らの軌跡を追う。
BRISBANE AUSTRALIA  DECEMBER 20  Daft Punk performs at the City Botanic Gardens December 20 2007 in Brisbane Australia.
BRISBANE, AUSTRALIA - DECEMBER 20: Daft Punk performs at the City Botanic Gardens December 20, 2007 in Brisbane, Australia. (Photo by Marc Grimwade/WireImage)Marc Grimwade/Getty images
1. 「One More Time」(2000)

ダフト・パンクと言えば、この曲! 松本零士のアニメも話題に。

この曲なくしてダフト・パンクは語れない。ファンならずとも誰もが一度は聴いたことがあるであろう「One More Time」。2000年リリースながら未だに絶大な支持を得ている殿堂入りシングルは、二人が大ファンだったという松本零士が手掛けたアニメーションクリップも話題となった。

同曲は、エディー・ジョーンズの「More spell on you」をサンプリングしたことでも有名だが、絶妙なテンポのエレクトロポップに生まれ変わり、オープニングから繰り返される“ワン・モア・タイム”というフレーズは、思わず口ずさみたくなる中毒性を持つ。同曲も収録されている名曲揃いの名盤『Discovery』とともに聴いて欲しい不朽の名作だ。

2. 「Harder Better Faster Stronger」(2001)

絶対に押さえておくべき、グラミー受賞の名曲。

2001年にリリースされた9枚目のシングル「Harder Better Faster Stronger」は、「One More Time」同様に『Discovery』に収録されており、第51回グラミー賞にてベストシングル賞を受賞した。日本語で“仕事が終わらない”という意味を持つ同曲は、エドウィン・バードソングの「Cola Bottle Baby」をサンプリングしており、これでもか!というほどヴォコーダーを駆使した変形型ロボットボイスに、エフェクト効果が秀逸。まさにダフト・パンクマジックが光る楽曲と言える。

カニエ・ウェストが自身の楽曲「Stronger」でサンプリングしていることでも有名だが、“サンプリングによるサンプリング”によって名曲が誕生するのもダフト・パンクならではだろう。

3. 「Lose Yourself to Dance」 (2013)

80sディスコチューンをファレル・ウィリアムスとナイル・ロジャースとともに。

多くのミュージシャンとコラボレーションしているダフト・パンクだが、特に話題となったのが、ファレル・ウィリアムスとナイル・ロジャースとの共作「Lose Yourself to Dance」だ。ナイルが見せる熟練のギターテクニックとファレルのセクシーなファルセットボイスが際立つノスタルジックなディスコチューンが最高に心地良い。

同じメンバーによる別コラボ曲「Get Lucky」とともに、2013年にリリースされたアルバム『Random Access Memories』に収録されている。このアルバムは第56回グラミー賞で主要部門となる「最優秀アルバム」を含む、ノミネートされた5部門すべてを受賞するという快挙を果たしている。

4. 「I Feel It Coming」(2016)

 R&Bでも向かう敵なし! ザ・ウィークエンドとのコラボ。

ザ・ウィークエンドThe Weeknd)の楽曲にダフト・パンクがフィーチャリングした形でのコラボ2作目。2016年にリリースされたザ・ウィークエンドのアルバム『Starboy』に収録されている。

マイケル・ジャクソンを彷彿させるエイベル・マッコネン・テスファイによる完璧なまでの高音ボイスに、ダフト・パンクらしい宇宙感漂うエレクトロサウンドが程よく混じり合ったメロウで美しい楽曲。水原希子が登場したことでも話題のMVにも注目!

5. 「Epilogue」(2021) / 「Touch」(2013)

ダフト・パンクらしい最後のパフォーマンスに世界が涙。

2月22日オフィシャルのYouTubeチャンネルで突如流れた映像が「Epilogue」であり、これが事実上の解散宣言となった。8分間もの映像には、無音の中で、トーマ・バンガルテルとギ=マニュエル・ド・オメン=クリストが砂漠の中を並んで歩く姿が映し出され、徐々にトーマが離れていき、歩くのを止める。それに気付いて歩み寄ったギ=マニュエルが催促されるままに背中の自爆スイッチを押し、爆発するというショッキングなエンディングを迎える。これには、思わず涙するファンも多いことだろう。

28年にも渡る活動に終止符を打ったダフト・パンクらしい演出。映像の後半に流れる楽曲は、2013年にリリースされたアルバム『Random Access Memories』に収録されている「Touch」だった。これはメンバー2人の今後の活動を意味するのか? いろいろな憶測が飛び交っている。

Text: Kana Miyazawa