6月18日〜23日(現地時間)にパリ2023年春夏メンズコレクションが開催される。数多くのブランドが初参加するなか、すでにウィメンズで人気を博すマリーン セル(MARINE SERRE)が初めてパリメンズで発表。さらに、新型コロナウイルスの影響で約2年間、パリコレを欠席していた日本勢が復帰予定だ。コム デ ギャルソン(COMME DES GARÇONS)、ジュンヤ ワタナベ コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARÇONS)、イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)、そしてカラー(KOLOR)が名を連ねる。一方、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)は今季、デジタルで発表する予定。
これまでパリウィメンズコレクションでユニセックスの服を展開してきたマリーン セルは、発表の場をメンズシーズンに移行したことを「6月に発表すれば、野外を含め予期せぬ場所でショーを開催することができる。夏の雰囲気の中で行うことで、活気や壊滅的なムードを完璧に反映できると思っています」と、プレスリリースで説明。また、関係者を除くゲストをオンラインで応募することを発表し、この試みは「ショーの境界線の実験」と続けた。
王道メゾン&注目株が大集結。
パリメンズを代表するビッグメゾンももちろん参加を表明している。エルメス(HERMÈS)やルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、ディオール(DIOR)などのおなじみのブランドに加え、2020-21年秋冬以来のメンズの発表となったジバンシィ(GIVENCHY)、さらにニューヨークで発表してきたトム ブラウン(THOM BROWNE)などがラインナップ。ルイ・ヴィトンは前クリエイティブ・ディレクターのヴァージル ・アブローの後任が発表されぬまま、どのようなショーが展開されるのか期待が高まる。
また、気鋭ブランドの活躍にも注目が。2019年にデビューしたルード(RHUDE)、パリで2回目のショーを発表するビアンカ サンダース(BIANCA SAUNDERS)、そしてキコ・コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)が初めてパリメンズに参加する。
現段階では、39ブランドがリアルショー、37ブランドがプレゼンテーションを予定。さらに、8ブランドはデジタルのみで発表し、合計84ブランドが今回のパリメンズに参加する。また、パレ・ド・トーキョーでは、7つの気鋭ブランドが参加するショールーム「Sphere」が設けられる。
ストリートが示す、業界の変化。
パリコレの主催団体、フランスオートクチュール・ プレタポルテ連合協会のパスカル・モラン現会長は、「世界中から最大50を超えるブランドが今季のスケジュールへの参加に応募した」と明らかにした。前回のコレクションの際、熱狂的なファッション好きたちが会場外に集まり、多くの人々がモードのパワーを必要としていることを実感したという。「ファッション関係者にとって、パリコレへの参加は、B to B(企業間取引)。しかし、熱狂的でオプティミズムに満ちた世間の反響はパリコレがイベント化し、いわばB to C(企業と一般消費者間の取引)にシフトしていることを示しています」と分析する。
実際、マリーン セル(MARINE SERRE)は今季のショーで、一般人をゲストに迎える。この変化は、より広いクリエイティブなエコシステムを築こうとしている。SNSの活用やデジタルプレゼンテーションなど、ブランドと一般人を繋ぐさまざまなイニシアチブとともに、ショー開催もメゾンの世界観を活性化する一種のツールであることを示す。モランはこの変化について、このように述べる。「ファッションウィーク全体の創造性を刺激し、世間からの関心を集められます。この動きは前シーズンで実感しました。これまでの業界の構図をポジティブに刺激し、エキサイティングな方向に向かっていると思います」
Text: Luke Leitch Adaptation: Sakurako Suzuki
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