FASHION / NEWS

ジョルジオ アルマーニが魅せる、ミラノ建築との調和【2023-24秋冬 メンズ速報】

今シーズン、快進撃を見せる“モードの帝王”ことジョルジオ・アルマーニ。1月16日(現地時間)に発表されたジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)の2023-24年秋冬コレクションには、ミラノの建築からインスパイアされたというテクスチャーやパターンを見事に落とし込んだ。
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

スキーウェアライン「ネーヴェ」エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)、「EA7」に続いて披露されたジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)の2023-24年メンズ秋冬コレクション。今回、特に印象深かったブルーとブラックの2着のスリーピーススーツは、シルクのような素材で作られており、その美しくなめらかな動きから高い技術が用いられていることは間違いないようだ。そしてそれは、ブランドゆかりの地であるボルゴヌオーヴォ通りに設置された大理石のランウェイの色合いと見事に調和していた。

ミラノの建築がインスピレーション

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

今回のコレクションにインスピレーションを与えたのは、ミラノの建築。レザーバッグ、軽やかなパデッドジャケット、異素材のスウェットシャツ、さらにスキーウェアの一部には、戦前の石造建築に見られるルスティカ積み(継目を際立たせたり、凹凸を目立たせることによって、荒々しく力強い表情をもたせる古典主義建築の技法)を彷彿とさせるパネルが施されている。また、ジャカードニットに描かれた幾何学的な格子やジグザグ模様が映し出すのは、ミラノの街を彩る美しい大理石のようなパターン。オープニングを印象付けたグレーのウール、ベルベット、カシミアといったファブリックの豊かな質感も、このランウェイショーを見るために通り抜けた石造りの彫刻扉に通ずるものがある。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

確かに建築がコンセプトだが、過剰な演出はない。私たちはミラノ生まれのメンズウェアと呼ぶにふさわしいルックがランウェイに展開されるのをただ静観する。そしてそこには、1970年代からアルマーニが築いてきた基盤を軸にしながらも、フレッシュな喜びとユニークなタッチに満ちたコンテンポラリーなバージョンが繰り広げられていく。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

ビジネスでもカジュアルでも、イブニングでもデイでも、そしてアフタースキーでも、会場にいるほとんどすべての人々がアルマーニのスタイルを体現していた。フェイクファーのロングコートにサングラスを合わせたどこか似つかわしくない2つのルックさえも、アルマーニが作り上げた建築のスタイルの中にしっかりと組み込まれていたほどだ。

統一感の中にあるそれぞれの個性

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

コレクション全体に統一感はあるものの、一つ一つのルックに個性が宿っていることにも注目したい。絶妙なテーパードシルエットで仕立てられたベルベットのネールカラースーツや、プリーツを施したカフスパンツ、そしてそれらのルックを品よくカジュアルダウンするブラックまたはバーガンディのベルベットスニーカー。プリンス・オブ・ウェールズ柄のスーツパンツはメランジグレーのジップアップジャケットに、ジャケットはヘリンボーン柄のワイドパンツに合わせるなど、アルマーニならではの小粋な着崩しも見え隠れする。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

赤をアクセントにしたアフタースキールックを挟むと、ランウェイの後方部では5組のカップルの姿が。パーティーに向かう途中で偶然出会ったかのような演出を踏むと、艶やかなブラックのベルベットスーツやクリスタルを散りばめたイブニングウェアに身を包んだモデルたちがエレガントに歩を進める。バッグのデザインには、パーティーの招待者であるデザイナーのポートレートが刺繍であしらわれたものもあった。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

今回のショーでは“モードの帝王”は健在だと言わんばかりに、アルマーニの卓越した技術とスタイリングを見せつけた。快進撃を見せる今シーズンにおいて、トップを争うヒットとなったといっても過言ではないだろう。