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「成長できる作品にしか時間を使いたくない」──オーランド・ブルームの仕事論。【救うことばvol.1】

表舞台に立つ人の発言の中には、心に響いたり救われたりする言葉が多くある。例えばオーランド・ブルームは43歳となり成熟した今、「成長できる作品にしか時間を使いたくない」と断言している。人生の限られた時間の中では、何を基準にどう働くかを考えるタイミングがいつか訪れるものだ。休業を経てカムバックを遂げた彼が、大切にしている信念とは?

2019年、Amazon Primeで配信中のドラマ「カーニバル・ロウ」のスクリーニングにて。Photo: Mike Marsland/WireImage

「もうすぐ娘が生まれる今、時間はとても貴重なものになった。だから、チャレンジングで、成長できる機会を与えてくれる作品にしか時間を使いたくない。それが自分にとって大切なことで、俳優という仕事を愛している理由だから」

“Now that I'm almost about to have another baby, my time has become so precious that I only want to spend it on things that are going to challenge me and give me the opportunity to grow because that's really what it's about for me and that's why I love being an actor.”

婚約中のケイティ・ペリーとの間に、もうすぐ娘が誕生するオーランド・ブルーム。デビュー直後から立て続けに大作映画に出演し、ハリウッドスターとして輝かしいキャリアを築く一方、一時は燃え尽きる寸前になったこともあるという。父親となり、43歳を迎えた現在の、仕事との向き合い方について『ハリウッド・レポーター』に語った。

ロンドンの名門演劇学校を卒業後、すぐさま『ロード・オブ・ザ・リング』(01)に出演。続いて『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズと、デビューからの10年間は目まぐるしい日々の連続だった。世界中を飛び回るプロモーション活動に加え、絶えず人目にさらされていた当時は、あまりにも多忙で、異常な時期だったという。

2013年、当時住んでいたNYでよく幼いフリン君とともに外出する姿を目撃された。Photo: Alo Ceballos/FilmMagic

そんな彼が自分自身を取り戻すきっかけとなったのが、2011年、当時の妻ミランダ・カーとの間に授かったフリン君の誕生だ。

「今も親しく、共同で息子の子育てをしている元妻のミランダが、妊娠したとわかったとき。僕はもう『こうなるべきなんだ。僕たちはこれをやるんだ。さあやろう、これが次のチャプターだ』と思ったよ。自分自身の父親との関係から、僕にとって、息子のそばにいることはとても大切なことだったんだ」

“My now ex, Miranda [Kerr], who we're very close and we co-parent my son, when I found out she was pregnant, I was just like, "Wow, this is what has to happen. We're going to do this. Let's do this, and this is the next chapter." Because of my own story with my childhood and the relationship with my father, it was just really important to me that I was very present for [my son].”

フリン君の誕生と時を同じくして、俳優業を一時休業。息子や家族と向き合い、充電する期間を作ったことで、自身のクリエイティビティを再び高めることができたという。今年7月に全米公開となった主演作『復讐の十字架』(17)では、幼少期に性的虐待を受けた主人公を演じ、その演技が高い評価を受けている。これから誕生する娘と過ごす時間を経て、さらなる新境地を開拓していくことになりそうだ。

Text: Mirei Hirose