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純真無垢。それが彼女の第一印象だ。しかし、そのイメージを、パワフルなラップで華麗に壊す。女が惚れる女──“ガールクラッシュ”の新しいかたちを体現する、新世代のアーティストが誕生した。その名は、レイ。世界を沸かせる韓国発6人組のガールズグループ、IVE(アイヴ)のメンバーだ。
「小さな頃から母がさまざまなジャンルの音楽を私に聴かせてくれて。赤ちゃんのときは、ラップのリズムに反応したそうです(笑)。母はK-POP、特に東方神起先輩の歌をよく聴いていました」。分け隔てなく音楽を楽しむライフスタイルから、彼女のストーリーは始まった。15歳で単身渡韓し、現在18歳。
中近東サウンドをベースにしたグルーヴィーなデビュー曲「ELEVEN」(2021)で魅せた、サビ前の変則的なリズムに切り替わる独特なラップ。レイはこのたったワンフレーズで、世の中に強烈なインパクトを残す。「このあどけない女の子が、こんなにかっこいいラップをするなんて!」と、瞬く間に注目を集めていく。
「90年代のヒップホップを聴いていくうちに自分でもラップがしたくなってきて、口ずさんだり、真似をするようになって。中学生の頃に明確に興味を持っていった記憶です。ラップをする時は、心から“楽しい!”と思える。トラックに身を任せ、詩に気持ちを込めて歌うと、音に酔っているような感覚になるんです。それが、本当に本当に心地いい」とはにかみながらも、強い眼差しで語る。
「さまざまなジャンルの音楽を聴いて、 吸収していくのが好きなのですが、 最近では海外のR&Bアーティストのケラーニなどが好きでよく聴いています。女性らしく、ちょっとかっこいい、そういう 音楽を作りたいですね。そして聴く人を エンパワーできたら。その歌詞は直接的な言葉ではなく、ウィットの効いたもので表現してみたいです」
2022年─今年は、過熱しまくる韓国ムーブメントの中、K-POP第4世代のアーティスト、アイドルたちが壮絶なショーレースを開催した年と言っても過言ではない。生半可なマインドと実力だけでは、スターにはなれない激戦区だ。しかしIVEはセカンドシングル「LOVE DIVE」(2022)が、さまざまな音楽サブスクリプションサービスのランキングで、1位をマーク。音楽番組10冠を達成し、その地位を確固たるものにした。
「『LOVE DIVE』では、本当に多くの方々に応援していただきました。初めての海外公演も経験し、ドイツでのライヴで皆さんの声援を聞いた瞬間、私たちは愛されている、と実感したんです。そして、今まで以上に洗練した姿を見せたい、と考えるようになったのを覚えています」
今作では、同じくラップ担当のガウルとともに、リリックメイキングに参加した。そこにはどんな苦労があったのだろうか。
「タイトル曲を担当するにあたりプレッシャーがありましたが、ステージで私たちが作ったラップを披露することを考えながら、それをモチベーションに制作に挑みました。デビュー曲の『ELEVEN』、今作に続く『After LIKE』(2022)と、3曲はすべて世界観がつながっています。そのストーリー性を意識し、歌詞をひとつひとつパズルのように組み合わせていき、リリックを完成させました」
メンバーのウォニョンとユジンはすでに知名度のあるアイドルだったこともあり、大先輩とともにデビューすることは、まだ幼い彼女にとって相当なプレッシャーだったに違いない。しかし、音楽を楽しむ“純粋性”をエンジンに、レイはレイなりのペースで突き進む。
「落ち込んだときは、自分たちの過去のステージ動画を見て、その時のときめきや前向きな感情を思い出すようにしています。そうすると、負の感情が薄らいでいくんです。もちろん、この仕事をしていれば悲しい気分になることだってありますが、私は心の中で一定の感情を保つ努力をしています。自分との戦いですね。そんな時、DIVE(IVEのファンダム名)の皆さんからいただいた手紙やコメントを読んだり、家族のことを考えたり、ハッピーになれることを探して試練を乗り越える努力をしています」
ハードスケジュールが続く時は、お互い声をかけ合い、励まし合ってここまでやってきた。「全員で仮眠をとって、起きなきゃいけないときは起こしてあげたり。試練を乗り越えて行く中で、家族のような関係になれました。メンバーからは癒し担当だと言われているので、みんなの役に立っていたらうれしいですね」
渡韓から数年にも関わらず、流暢な韓国語を話すレイ。そこにはどんな努力があるのだろうか。「15歳で韓国に来て、 語学って喋ることで上達するな、と日々ひしひしと感じています。メンバーと一緒に過ごし、高校に通い出してから語学力が向上していきました。 韓国では、日本でも話題になった『A-TEEN』といった短いウェブドラマがあるんです。そのほとんどが若い子向けのコンテンツなので、 そこで最近の同世代たちが使う言葉やカルチャーなどを勉強しました」。輝き続けるレイの原点には、常に新しいことを柔軟に吸収しようという ポジティブな軸があるようだ。
もともとは静かな性格だったというが、韓国に移住して異なる内面が開花した。「韓国に慣れてきたせいか、実はそこまで静かなタイプではないことに気づいて。隠れていた内面、もうひとつの自分に気づくことができて、たまに不思議な気持ちになります」
2000年代に日本でトレンドとなった“ギャルピース”を韓国でリバイバルさせたり、今はZ世代が共感するアンテナがチャームとなっていることも忘れてはならない。「私の個性は、ユニークであることかもしれない。ちょっとした言葉遊びやポーズ、聴いただけで『レイが作った音楽だな』とわかるような音楽を届けられる存在になっていきたい」
カバーの撮影。サンローランのジャケットを着た瞬間、レイの眼差しは強くもありどこまでも澄んでいた。私たちのハートを、これからもっと鼓舞する存在へと成長するであろう18歳の物語は、始まったばかりだ。
Profile
REI/レイ 15歳で単身渡韓し、約3年間の練習生を経て2021年12月、6人組ガールズグループのIVEのメンバーとしてデビューを果たす。この10月に「ELEVEN -Japanese ver.-」で日本デビュー。日本での活動が本格化する。
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Photos: Songyi Yoon Styling: Kihoh Sohn Talent: Rei from Ive Hair: Heungkwon Baek Makeup: Soyeon Jong Manicure: Jisook Choi Art Direction: Tomoyuki Yonezu Production: Taedoo Kang at Imagination Coordination: Taehun Kim, Jungeun Kim and Eunbin Gon at Medix Korea Casting: Mari Ochiai Special thanks to Shinhae Song and Hyojeong Choi at Tano International Text: Toru Mitani (interview), Akane Maekawa Editor: Yui Sugiyama