CELEBRITY / VOICE

城田優のエンタメ人生を掛けた挑戦。【僕の初体験1・2・3】

新しいスタートを切ったときの気持ちを振り返る不定期連載。第四回のゲストは、映像のほか、舞台やミュージカルで活躍する俳優・城田優だ。思い入れのある私物アイテムや、実は泣き虫だったというエピソードまで、ユーモラスに語る姿とは裏腹に、一世一代の初挑戦が始まっていた。

【城田優の初めて年表】
1985年  東京に生まれる。2歳でスペイン・バルセロナへ。
1991年 7歳で日本に帰国。初めて日本の小学校に登校して、カルチャーショックを受ける。
1996年 12歳の頃に初めてのCD、映画「タイタニック」のサウンドトラックを買う。同時期にミュージカル『アニー』を初観劇。
2003年 17歳でミュージカル『美少女戦士セーラームーン』で俳優デビュー。その後、ミュージカル『テニスの王子様』で大人気に。
2009年 大河ドラマ『天地人』で時代劇デビュー。
2010年 ミュージカル『エリザベート』トート役で平成22年度文化庁芸術祭新人賞受賞。
2011年 『四つ葉神社ウラ稼業 失恋保険〜告らせ屋〜』で連続ドラマ初主演。アーティスト「U」としてCDデビュー。作詞作曲も手掛ける。
2014年 舞台『ファントム』で初めてのミュージカル単独主演。
2016年 ミュージカル『アップルツリー』で演出家デビュー。
2019年 ユニットIMY(あいまい)を尾上松也、山崎育三郎と結成。初コンサートを行う。

【Q1. 初公開の愛用品、見せてください!】

ミュージカルをやりきった記念にもらった腕時計。

「2014年に、『ファントム』で初めてミュージカル単独主演したんです。完走したとき、事務所の社長から、慰労を兼ねて食事に誘われたんですね。行ってみると、スーツ姿の男性二人が立っていて手にはアタッシュケースが。開けると、中にロレックスなどの腕時計が10本ほど並んでいて、社長が『一本、好きなの選びなさい』と! マジか!やったぜ!と一本ずつじっくりチェックして(笑)。それで、思い出深い『ファントム』の雰囲気に合っていて、シンプルに可愛いと思ったフランク・ミュラーのコンキスタドールを選びました。値段をこっそり見たら、実は一番高かった(笑)。時計は好きで20本くらい持っていますが、これはファッションに合わせて割とよくつけています。

そしてこの秋、再び『ファントム』に挑みます。今年芸能生活20周年を迎えた僕にとって、最大の山場。この『ファントム』が終わったら、時計もう一個もらえないかなぁ?(笑)」

【Q2. 記憶に残る初体験エピソードはありますか】

久しぶりに号泣した千秋楽。

「演技が好きだと意識し始めたのは、小学生の頃。小5のときに学芸会でネズミたちの冒険譚『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』で船長のヨイショを演じた記憶があります。積極的に良い役を掴み取り、頑張って演じました。その頃から、演じることが楽しかったですね。今の自分の原体験というのかな?

心に残る舞台といえば…最近ですが、今夏に出演したミュージカル『ピピン』は、やりきった感が半端じゃなかったです。僕は13歳でデビューして、当時はとにかく泣き虫でした。うれしくて泣く、悲しくて泣く、何でも泣いていました。でも耐える力を鍛えた結果、今はあまり泣かないでいられるように。大人になったこともありますが(笑)」

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「あまり泣かなくなった僕ですが、久しぶりに『ピピン』は大千秋楽の挨拶で大泣きしました。実は通し稽古でも怖くて泣いていたんですよ。今までやった役の中で、圧倒的にやるべきことが多かったんですね。歌、ダンス、アクロバット、イリュージョン、お芝居。とにかく舞台に出ずっぱりで、裏にはけても着替えなどで一息つく暇がない。稽古時には、到底理想のクオリティには到達しそうもないなと思い。パニックで、不安と恐怖心に慄いていました。

そんな状態で幕が開き、日々、できる限りのことをやって自分を追い込んでいきました。初舞台の『美少女戦士セーラームーン』のとき、人生で初めて精神的なものでご飯が食べられなくなったことがあったのですが、それに匹敵する厳しさでした。乗り越えられて本当に良かった!」

【Q3. 今、初挑戦していることは?】

エンターテイナーとして、人生を左右するチャレンジが始まる。

「11月に始まる『ファントム』では主演だけでなく、演出にも挑戦します。僕に演出のチャンスをくれたプロデューサーの方が、『城田さんにとって、この演出をすることはエンターテイメント人生を左右することになると思います』とおっしゃっていて。僕もその通りだと思っています。

今回の『ファントム』が試金石になることは間違いないでしょう。特に演出については、自分が目指す作品がお客様を魅了することができて、かつ評価につながればまたできるかもしれない。でも、独りよがりで自己満足な作品になったら潔く手を引きます。エンターテインメントという正解がない世界で、どのような形で勝負するか。エンターテイナー兼クリエイターの極みを、『ファントム』でやらせていただきます」

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「他にもこの舞台のために、たくさんチャレンジしているんですよ。例えば次の『ファントム』には、世界初の新曲が入ります。僕の発想でこういう曲を作って欲しいと、作曲家のモーリー・イエストン氏に頼みました。他にも、アイディアを盛り込んでいっています。

もちろん予算の問題はありますし、やりたいことと折り合いをつけながら、プロフェッショナルとして納得のいく形にしなければならない。僕、大人だなぁって(笑)。俳優で演じているときは、お金なんて関係ないですが、作り手になると、そうもいかない。やりたいことは無限に出てきますから。

未知との戦いほど面白いことはないですし、その分可能性が無限大です。“ケ・セラ・セラ”、なるようになると思って、多少の不安や壁を希望や光に変えられるように前向きにやっていきたい。ベストを尽くして、城田優にしかできない、城田優だからできる『ファントム』をお届けしたいです」

ミュージカル「ファントム〜もうひとつのオペラ座の怪人〜」
フランスの小説家ガストン・ルルーによるベストセラー小説「オペラ座の怪人」を原作にしたミュージカル作品。仮面を被り、オペラ座の地下室で亡霊のように生きていく運命を背負った主人公ファントムことエリックが、愛を知り、心を取り戻すストーリー。2014年の日本公演でファントムを演じた城田優がダブルキャストで主演。さらに史上初となる主演・演出を手掛ける。

<東京公演>2019年11月9日(土)〜12月1日(日)TBS赤坂ACTシアター
<大阪公演>2019年12月7日(土)〜16日 梅田劇場芸術メインホール
脚本/アーサー・コピット
作詞・作曲/モーリー・イェストン
演出/城田優
出演/加藤和樹・城田優(Wキャスト)、愛希れいか・木下晴香(Wキャスト)

Photos: Masato Moriyama Styling: Tatsuya Shimada Hair&Make-up: Katsuyoshi Kojima Interview & Text: Maki Miura Editor: Saori Asaka