FASHION / EDITORS

BIGBANG テヤン(SOL)にサマーソニックで歌って欲しい“神曲7”(Toru Mitani)

いよいよBIGBANG、SOLことテヤンが日本でライブを開催する。8月20日のサマソニのタイムテーブルをイメージしつつ、歌って欲しい神な楽曲やパフォーマンスをプレイバック。
sol サマソニ

「Only Look At Me」2008

国民的センチメンタルソングとなった初期のソロ曲

BIGBANGとしてすでにバズを起こしていた最中に発表したソロ楽曲で、ミニアルバム「HOT」(2008)に収録。インタビュー等で恋愛経験がないことをほのめかしていた彼が、ある種のマッチョイズムな思想の独占愛を歌い上げ、衝撃的なギャップがエンジンとなりスマッシュヒット。「僕が浮気しても、あなたは浮気しないで」という自己中な愛情と、相反する切ないメロディラインがアンビバレントな物語が作り上げている。当時は自身のピアノの弾き語りも織り交ぜていたが、今回はピアノは登場するのだろうか?

「Vibe feat. Jimin」2023

ふたりのグルーヴが美しくシンクロする、2023年のホットソング

今年、2023年のカムバックは衝撃的なニュースだった。しかも、テヤンを敬愛していたジミンコラボレーションを果たすなんて(このこと自体が)あまりに美しすぎて言葉を失うほどだ。しかし言葉を失っている場合ではないので気持ちを綴るが、ジミンさんは昔からいつもいつもテヤンの楽曲をピアノで弾きまくり(2014年リリースの「Wedding Dress 」など)、歌いまくってきており、彼を尊敬しているという気持ちがほとばしっていた。そんな彼がBIGBANG以上にグローバルな人気を誇るグループ、BTSのメンバーとして飛躍し、こうして一緒にひとつの曲を奏でるという奇跡。テヤンらしいグルーヴィなトラックにシンプルなメロディライン。ふたりのスイートな声、それぞれの個性が美しくシンクロする楽曲は、ぜひともサマソニでも堪能したい。ジミンの金浦空港目撃情報が出たら、期待は高まる。

「Body」(2014)

どこか品行方正でクラシックなパーティアンセム

テヤンの優しくささやくようなボーカルと人柄のせいか、どんなにブチアゲなEDMトラックでも上品な印象が漂う。それも彼の壮大な魅力のひとつ。CLのコーラスをアクセントに入れたアップテンポな楽曲は今聴き直しても古くなく、きっとその理由は、サビ以外に“70sソウル”を意識したようなグルーヴがベースになっているから。ブラックミュージックに敬意があるテヤンならではのEDMだったなあ、と改めて気づかされる。プロデュースを手掛けたのはBLACKPINKの数々のヒット曲を作るTEDDY。彼との相性は抜群だった。この曲が収録されたアルバム『RISE』(2014)はUSのビルボードで1位に輝いている。

「Eyes, Nose, Lips」(2014)

多くの韓国国民が認める、王道のラヴ・バラード

テヤンのトーン&マナーとするR&Bをベースとした、非常に素直で直球のバラードだ。自らのそばから遠く離れてしまった女性への切実な想いを丁寧に丁寧に紡んでいく歌声、表現力、オーラは唯一無二の力強さだと思う。テヤンはこのソロ曲で、その目、鼻、口……と大切な人の“当たり前”に見られていた表情が見られなくなる辛さ、切なさを奇を衒わずに表現し、とてつもなく大きな共感を得た。韓国でもこの曲を歌える人は本当にたくさんおり、国民的に認められたキーとなる存在だと感じる。泣ける。

「Baby I'm Sorry」(2008)

テヤンの魅力がギュッとつまった“隠れ”スロウジャム

初期作の隠れた名曲。テヤンの甘く繊細な歌声が存分すぎるほどに活かされているスローテンポのR&Bで、作詞はG-DRAGONが手がけている。とにかく、ゴリっとしていないこの頃のさらりと洒脱なムードが本当にかっこいい。サビ前のブリッジの流れなんて本当に神がかっている。別れた後のかつて愛した人への切実で真摯な気持ちが丁寧に綴られており、聴き込むほどに染みる楽曲となっていると言えるだろう。歌う可能性はすこぶる低いが、個人的には「歌って欲しい!」と切に願うばかり。

「I Need A Girl feat. G-Dragon」(2010)

500回は聴いてきた、ピアノと小刻みなパーカッションが心地いいR&B

当時の現行トレンドを意識したいたってまっとうなR&Bなのだけれど、ピアノとさりげないパーカッションが織りなすクリーンなトラックと、テヤンが新たに打ち出した「恋愛をしていきます感」が斬新だった。無垢なテヤンが恋愛の理想を思い描くような世界観とミッドテンポの洒落た楽曲のバランスが、なんともいい波動を生み出していたのである。また、この頃日本ではこのようなまっとうでクリーンなR&Bを歌うシンガーが皆無になっていた。その侘しさを埋めてくれたという意味でも記憶に刻まれた曲だ。「キムチチャーハンは僕が作る。それをおいしそうに食べてくれる女性(が俺には必要)」というリリックは伝説。等身大の恋する男を見事に体現したかのようだ。

「Tonight feat Zico」(2017)

聞き始めて3年後、急にハートを打たれたエモすぎる楽曲

アルバム『White Night』(2017)収録のZicoがラップパートで参加した、まさに隠れた名曲。当時からいい曲だと思っていたのだけれど、コロナ禍に改めて聴き直した際にハートをさらに射抜かれてしまったテヤンのお家芸、スローテンポのメロウな楽曲である。現在の妻、ミン・ヒョリンとは初めての恋で、そのまま運命にまかせ結ばれた。そんな彼女への熱い恋心が込められていると気づき、なんて美しくエモーショナルな曲なんだろう! と感動が高まっていたのである。透き通った高音パートはいつも以上にパワフルで、ロッキッシュな印象を受けるほど。表現のトーンをあれこれ変えずに、その時の素直な気持ちを実直に込めていくテヤンの歌い手としてのスタイルが、僕は大好きだ。いつ聴き直してもずっと色あせず、いつだって優しく耳に響いてゆく。

これらの楽曲を何曲歌ってくれるかはわからないけれど、数年ぶりにライブでテヤンのパフォーマンスを堪能できるだけでも感謝。ケンドリック・ラマーとテヤンのステージだけで胸いっぱいを超えて混乱しそうである意味怖いが、当日までプレイリストをエンドレスループしていこうと思う。

Editor: Toru Mitani

2015年、香港公演にて。Photo by TPG/Getty Images

TPG