メットガラといえば、多くの男性はクラシカルなスーツを選ぶ。それが最もエキサイティングな選択肢とは言えないかもしれないが、慣例を打ち破るのが難しいことも十分理解できる。しかし、リル・ナズ・Xは、常に新たなスタイルに挑戦し、議論を巻き起こすファッションのエキスパートだ。
当然ながら、彼は普通のスーツでは満足できない。だから今年のメットガラには、カール・ラガーフェルドがこよなく愛したパールを全身にあしらい、9時間かかったというひときわ異彩を放つボディメイクやヘッドピースをまとって登場した。
“生まれたままの姿”が語源となっているバースデースーツ。グラミー賞受賞者であるリル・ナズ・Xは、シルバーのTバックショーツだけを履き、リビング・スカルプチャーとも呼べる美しいボディを大胆不敵に披露した。カールの愛猫シュペットにオマージュを捧げたという首と顔のほとんどを覆うきらびやかなアイマスクや、『ル・ポールのドラァグ・レース』シーズン2の優勝者であるタイラ・サンチェスを彷彿させるシルバーのボディペイント、そして肌に直接施したクリスタルや真珠のメイクは圧巻だ。
レッドカーペットを歩く際には、パールを同じくふんだんに配したネイルが見えるように両手を胸におき、ギリシア神話に登場する美少年アドニスのようなポーズをとっていた。
Text: Michael Cuby
From: THEM.US