コロナ禍で消えた留学という選択肢。国際交流が盛んな那覇高校の生徒とOBが見出した活路とは?

名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く密着ヒューマンドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。


今回の主人公は、沖縄県立那覇高等学校(以下、那覇高校)に通う米田妃利さんと平良吉志登くん(ともに2年生)。2人とも夢の実現に向けて高校在学中に海外留学するつもりでいたが、コロナ禍で中止に。それでも決してあきらめず、立ち止まらない。海外にも同窓会支部があるほど国際的な繋がりが強い那覇高校で、OBの支援も受けながら、夢を追いかける2人の青春に密着した。

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沖縄県那覇市内の中心部にある那覇高校。創立は1910年、当初は首里城内に校舎があった111年の歴史をもつ名門校だ。

2021年の春は121人が国公立大学へ、GMARCHへは6人が進学。沖縄県知事、芥川賞作家、政治学者など、多岐にわたる人材を輩出してきた。そんな那覇高校のモットーは、「世界に羽ばたく人を育てること」。国際交流に力を入れ、アメリカ合衆国ワシントン州にあるネイサン・ヘイル高校との交換留学もその一環で、姉妹校として40年以上交流してきた。

校長の石原啓先生によると、毎年10人以上の生徒がネイサン・ヘイル高校へ留学。その他にも自費でヨーロッパや東南アジア方面などへ留学する生徒もいるという。

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2年生の妃利さんは、姉妹校への留学を目指して入学した生徒の1人。友人から見た妃利さんの印象は、「優しすぎて真面目すぎ」だそう。しかしそれは、入学時の強い決意を持っているからこそ。中学生の時は「部活も勉強もそこそこだった」という妃利さん。高校で海外留学を経験することで自分を大きく成長させたいと考え、那覇高校に入学した。そんな妃利さんを、家族も応援。特に単身赴任中のお父さんは留学を手放しで賛成してくれたそうだ。

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本来なら、1年生の時に留学し、自分を変える第一歩を踏み出しているはずだった。しかし、コロナ禍で断念せざるを得ない状況に。一度は目標を見失いかけたが、「自分から情報を探しに行かないと、チャンスは巡ってこない」と、学校行事などに積極的に参加。持ち前の頑張りで、英語の先生が主催するカラオケコンテストへの挑戦や、インターアクト部(ボランティア活動を行う部活動)で沖縄県副会長を務め、清掃や募金活動をするなど、今できることに前向きに取り組んでいる。

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単身赴任中のお父さんが久しぶりに帰ってきた日。妃利さんは得意の英語で夢を語った。

「『自分を変えるためには、たくさん挑戦することが大事』と、お父さんから学んだ」という妃利さんに、「チャレンジすると失敗もする。だけど、失敗しないと人間は成長しない。チャレンジすることが素晴らしいし、もっと頑張ろうと前向きな気持ちになってほしい。応援したいと思う」と背中を押すお父さん。世界へ羽ばたいてほしいというお父さんの願いを、妃利さんはしっかりと胸に刻んだようだ。

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妃利さんと同じクラスの吉志登くんも、留学を希望していた1人。将来の夢は、日本の農業技術で発展途上国に国際貢献すること。祖父が沖縄で長年農業に携わってきた影響もあり、夢への第一歩として南の島の高校に留学するつもりだった。「沖縄と気候風土が似ているので、パプアニューギニアに行きたい。地元と似ている地域の発展を手伝えたら」と夢見ていたが、コロナ禍により留学が断たれてしまった。「悔しかったですね。青春が全部潰れた感じ。その悔しさを、今は勉強や学校の活動に注ぎ込んでいる」と語る。

2年生になった吉志登くんは、自ら立候補して生徒会長に就任、次々と新しいイベントを企画してきた。昨年10月にはハロウィンの仮装大会、12月には全校生徒から動画を募集して"校内動画コンクール"を開催。生徒会メンバーは「実行力に溢れている」「発想力があって、みんなの楽しいことをいっぱい考えられる人なので、すごいと思う」と、吉志登くんに尊敬の眼差しを送る。

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さらに、2021年を締めくくる大イベントも発案。コロナ禍で、体育祭の中止など学校生活も多くの制限を受けてきた那覇高校。最後は明るく締めくくろうと、生徒会は初のクリスマスイベントを企画した。1つはクリスマス気分を盛り上げるイルミネーション。そしてもう1つは2学期最後の登校日となるクリスマスイブに、野外ライブを開催する計画だ。初めてのイベントのため、開催時間や場所については生徒会がイチから交渉。学校側は快く許可してくれた。

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授業以外の時間をフルに使って準備を進める生徒会メンバーたち。そしていよいよイベント前日、突然大雨が降り出し...はたして野外ライブは無事開催できるのか? ぜひ番組で確認を!

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コロナ禍で留学は中止になったものの、「長年かけて紡いできた国際交流の歴史を絶やしてはいけない」と、那覇高校の卒業生が運営する「城岳同窓会」が手を差し伸べた。同窓会では、毎年ハワイのイオラニ高校へ短期留学生を派遣。今年は留学できない代わりに、オンライン交流会を開くことになった。

事務局長の與儀幸英さんは「ハワイも沖縄も観光業で成り立っていて、観光業が難しくなっているのも同じ。ぜひ状況を交流の中で知りたい」という。オンライン交流会に選ばれた生徒の中には、妃利さんと吉志登くんも含まれていた。メンバーに課されたのは、「沖縄の魅力を徹底的に探ること」。今年3月のオンライン交流会で、ハワイの高校生に沖縄の魅力を英語でプレゼンする予定だ。

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最後に妃利さんは「世界の人と交流するのは、とても大事。日本だけではなく世界の人と意見を交わして、お互いを認め合うことが大切かな」と、国際交流の重要性について力強く語ってくれた。また、吉志登くんは「将来的には日本のために役に立って、海外の人にも『日本の人ありがとう』と言われるような人生にしたい」と、熱い思いを明かしてくれた。世界に羽ばたく日に向かって、若者たちの挑戦はまだ始まったばかりだ。

番組では他にも、英語カラオケコンテストの模様、インターアクト部の活動などを紹介する。



1月17日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「都立戸山高校...進学校の演劇ヒロイン5人!1年ぶりの発表会」と題して送る。

今回の主人公は、今年で創立134年目を迎える東京都立戸山高等学校の演劇部部長、川島有彩さん高校2年生。女子生徒5人の演劇部をまとめる川島さんが挑むのは8校合同の発表会。コロナ禍のため人前での舞台は1年ぶり。ところが進学校のため、勉強との両立がうまくできずにセリフが覚えられない1年生部員や、本番前日に突然調子を崩してしまう2年生部員が出るなど、トラブルが続出。

それでも部員たちを信じて励まし続ける有彩さん。無事1年ぶりの発表会を成功に導くことはできるのか...? 演劇に青春を賭ける女子生徒たち5人の奮闘を追った。

どうぞお楽しみに!

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