「等身大の役にやっと出会えた」田山涼成インタビュー:噂の女

BSジャパンで毎週土曜夜9時より放送中の連続ドラマJ「噂の女」。足立梨花さんが黒い噂の絶えない謎めいた美しいヒロイン・糸井美幸を熱演。そんな美幸に翻弄される人々の悲喜こもごもを描いた、ちょっとダークなエンターテイメント作品です。


話が進むにつれて、美幸(足立梨花)に関わった男性たちが謎の死を遂げていることが明らかに......。そんな噂の女を追うことになる鹿島刑事(中村俊介)とバディを組むベテラン刑事・村井浩二を演じるのは田山涼成さん。これまでニアミスばかりの美幸と鹿島が、今後どう絡んでいくのか? 鹿島とともに街を見回りながら繰り広げるほのぼのとしたやりとりが魅力的な村井について、また今後の展望について伺いました。


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俊ちゃんとの掛け合いは自然な会話を


――第1話の冒頭、田山さん演じる村井刑事が手錠をかけられるシーンは衝撃でした。


「ははは、そうでしたねぇ。原作では最後のほうに1ページ半くらい出て来る役なので、あんなシーンはもちろんないんです。でも、ドラマでは中村くん演じる鹿島刑事と1話から登場しているので、役としてここまで膨らんでいることがすごいなと思いながら演じています」


――直木賞作家・奥田英朗氏の同名小説をドラマ化。ご自身の役の存在を忘れるほど、没頭して原作を読まれたそうですね。


「本当に面白かったので、一気に読めちゃいました。奥田さんの小説って、本当に素晴らしいですよね。うちの親父が子どもの頃、『名作はもちろん読まなきゃいけない。けれど、大衆文学のほうが面白い』と話していたのが、この歳になってグッとわかるようになったというか。ファンになっちゃいました。あまりの面白さに役のことをすっかり忘れてしまって、読み終わったあとに『あれ、村井はどこに出てきたんだろう?』と探しちゃったくらいです。その原作に負けず劣らずドラマも面白いんですよね。どんな終わり方をするのかはまだわからないですけど、キャスティングの妙もあるし、台本も面白いし、映像もすごくいい......わくわくしながら撮影しています」


――村井刑事という人物を、田山さんはどう感じていらっしゃいますか?


「大きな事件のない田舎の刑事ですから、このまま無事に定年を迎えて老後は盆栽をやるのか俳句をやるのか知りませんけど、悠々自適な余生を思い描いているんじゃないですかね。村井の年齢設定は定年間際ということですから僕自身より若いんですけど、1話で鹿島に『こんな寿司屋、行ったことないよ』とぼやくところとか、すごくリアルですよね。脇役って、カッチカチに決められるより、人間の本性に近いというか、そういうことを感じられるほうが嬉しいんですよ。『33年やってきた実態だよ』とかポロッと口にするだけで、その人の背景を想像できるような行間の広いセリフが多い役だから演じていて非常に楽しい。等身大の役にやっと出会えたなと感じています」


――作中では、中村さん演じる鹿島刑事とのほのぼのとしたやりとりが、いいアクセントとなっていますね。


「あのやりとりは、話し合って決めている訳ではないんです。役作りってあんまりし過ぎると危険ですし、ましてや僕がこうしようああしようということは、相手の俳優さんにしてみれば『この芝居に付き合って』ということだとも思うので、そういうことはしないようにします。俊ちゃん(中村)とは別の刑事ものでご一緒していたり共演も多いので、現場での『大変だね、花の名前も憶えなきゃいけないし』『そうなんですよ~』みたいな自然な会話のまま演じればいいんじゃないかなと感じています。俊ちゃんも今回のようなホワッとした役はあまりおやりになってないと思うので、楽しまれているんじゃないですかね? コンビとしてのいい色合いは出せていると自負しています」


――飯塚健監督から、役作りについての具体的なお話はありましたか?


「特にないですね。僕、彼の映像の撮り方が好きで、インディーズでやっていた頃の作品にも出てるんです。その後、別のドラマで一緒にやらせてもらった時も『やっぱりいい。こういう人を好きになる自分もいいよね』って自画自賛したんですけど(笑)、今回もまたご一緒できて、非常に縁を感じています」


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村井を通して同年代の人達に頑張る姿を見せたい


――主演の足立梨花さんについては、どんな印象を持たれていますか?


「本当に明るくて、変なところが一切見えない方。美幸という役が、ある意味ピッタリだなと思います」


――記者会見では「美幸に騙されるのは嫌だけれど、足立さんならば騙されてもいい」と言われていましたね。


「足立さんを嫌いな人はいないと思いますよ。足立さんではなく役柄の美幸ということになると......原作の結末を知ってますから、ちょっと怖いなと。僕自身、女性に寄って来られるのが苦手なんですよね。そんな経験、あんまりないですけど(笑)。現場ではこういう歳ですし、共演者の方とコミュニケーションを取ることは大事なので、自ら話しかけることもありますけどね。例えば、スタジオの前室なんかでスマホを見ている人がいたら『それ楽しいの?』って話しかけたりはします。話すことによって打ち解けてくれたりしたことが作品にも活きるので、会話は大事にしたいですね」


――では、田山さんの中で今最も気になっている「噂の○○」は?


「競泳の池江璃花子選手。巣鴨でのロケ中に見かけて"池江くんだよね?"とお声がけしたら、写真を一緒に撮ってくれて。こんなおじさんに捕まって大変だったと思いますけど、許可をいただいて番組で写真も使わせてもらったんですよ。2020年の東京五輪で金メダルを獲るであろうと噂の方ですよね。制服を着てたんですけど、肩幅がガッチリしていてビックリしました。本当に将来が楽しみです」


――後半は鹿島刑事が事件を追うことになりますが、村井刑事としてはどんなことを期待されますか?


「いち役者としては、このまま街をブラブラぶらぶらして終わりたくないですよね。何かが真実味を帯びて怪しさを増した時、村井は鹿島と一緒に頑張れるのか。それとも逃げてしまうのか。どちらの設定だとしても楽しみですけれど、どこかで活躍できれば嬉しいですね。僕は定年退職後、契約社員で5年務めてその後どう過ごすのかを考えている人達と同じ世代ですから、同年代の友達に『今でも仕事ができてうらやましい』とよく言われるんですね。だから、そういう方々に対する応援というか、役を通して頑張る姿を見せられたらいいなとも思っています。もちろん、街中を走るとかは無理ですよ。それは中村くんにお任せしながら、頭脳を使うとか何かしらの活躍を見せられたら嬉しいですね」


4月28日(土)放送の第3話では、親子以上に年の離れた不動産会社社長・長谷川春夫(山田明郷)が美幸と再婚を決意。春夫の子どもたちから財産狙いだと疑われた美幸は......!?

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