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2015年4月9日 放送
280円均一で絶好調!
焼き鳥チェーンの"ぶれない経営"
- 鳥貴族社長 大倉 忠司(おおくら ただし)
居酒屋大手の不振が続く中、絶好調のチェーンがある。大阪発の焼き鳥専門店「鳥貴族」だ。食べ物も飲み物も全て280円(税別)という料金設定と国産鶏肉を使用し加工は各店舗で毎日行う"こだわり"が人気で、「入店まで1時間待ち」も珍しくない。現在は毎週のように新店舗をオープンさせている。他店が価格を上げ下げする中、鳥貴族は18年間、280円均一を続けてきた。そのからくりと大倉忠司社長の「ぶれない経営」に迫る。
社長の金言
- 最後の瞬間まで
夢を追い求めて生きたいTweet
-
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
飲み物も焼き鳥も!驚きの280円の秘密
全国で400店舗を展開する鳥貴族。通常の3倍近くのサイズの焼き鳥から高級ウィスキーまで、全品一律280円(税込302円)で、若者を中心に大人気の店だ。しかし、人気の秘密は安さだけではない。鶏肉は国産を使い、ネギやキャベツなどの野菜もなるべく国産を使用する“国産国消”を目指している。そのこだわりは店内の厨房にも。通常、数百店舗も展開する飲食チェーンでは、食材を一括して工場で加工し、各店舗へ配送するセントラルキッチン方式が一般的だが、鳥貴族では、国産鶏肉を部位のまま各店へ配送する。そして店舗でカット、串打ちを行い、その日のうちに客に提供する。鶏肉は豚肉や牛肉と比べ劣化が早く、一度手を加えると味が急激に落ちてしまう。そこで、鳥貴族では味にこだわり、各店舗で加工作業を行うのだ。 一見、非効率でコストがかかってしまい、とても280円均一では成り立ちそうにないが、これを実現するために、鶏肉などの大量仕入れや家賃が安い地下や2階以上への出店によってコストを抑えている。居酒屋不況が続く中、消費増税後も鳥貴族の既存店売上高はプラスが続く。
ぶれない経営で1000店を目指す!
大倉は若い頃230円均一の炉端焼き店で経験したメニュー選びの楽しさから、1985年に25歳で創業した鳥貴族でも均一価格を導入。さらに、お通しなし、酒も料理も均一価格、業態は焼き鳥一筋という「ぶれない経営」で、今は月に5店のペースで出店攻勢をかけている。目指すは、1000店舗だ。そんな大量出店ができる秘密が、徹底した店舗の効率化にある。炭火を使わずに電気グリルを採用した焼き台を独自開発するなど、短時間で誰でも調理ができる仕組みを作って、どの店でも均一のサービスと商品を提供できるようにしている。
取締役は‥全員が元アルバイト!
創業以来鳥貴族を支えてきたのは、アルバイト出身者だという。4人の取締役は全員が元アルバイト。さらに全社員450人のうち、アルバイト出身者は125人に上る。大倉の理念に共鳴して、入社したアルバイトたちだ。チェーン店は通常、直営店のほかにオーナーを募集してフランチャイズ店を展開するが、鳥貴族では外部からの募集を一切していない。社員から独立する「のれん分け」しか認めていない。大倉は「これからも志を一緒にする仲間と仕事がしたい」と話す。昨年、ジャスダックに上場したのも、創業メンバーに報いたかったからだという。
居酒屋は、手軽な料金、メニューが豊富、女性客もOK、というようなコンセプトでチェーン店化が進み、いつしか「縄のれん」のイメージが消えた。だが、過当競争、若者の酒離れ、家飲みの普及などにより、市場は縮小している。鳥貴族は、その中で見事な成功を果たしたが、鍵は、効率性の戦略的な追求だった。「炭は使わない」「必ず店舗で串打ちする」「路面店にこだわらない」「タレは自社で製造」居酒屋、焼き鳥屋経営の常識にとらわれず、独自の効率性を獲得した。「必要不可欠な非効率」はどの世界にも存在する。だが気づくのは簡単ではない。