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JTAの船津康次新会長に聞く、コールセンターの現状と今後の可能性

2011年 6月30日 18:20

071.jpg日本テレマーケティング協会(JTA)は6月7日に開催された第15回通常総会で、新会長にトランスコスモスの船津康次会長を選任した。震災後の取り組みや公益法人改革への対応など、さまざまな課題を抱える中、果たして今後、どのように舵取りをしていくのか。また、ツイッターなどの新たなコミュニケーションツールとはどう関わっていくのか。船津康次新会長に、今後の展望や業界の現状などについて聞いた。(聞き手は本紙記者・河鰭悠太郎)

「責任ある情報」重要に、ICTへの取り組みがカギ

―会長に就任した。今の心境は。
 「菱沼前会長がコールセンターの専門家としての視点で、協会を強化されてきた。自分はエージェンシー側の人間だが、協会はエージェンシー、インハウス、サポーターの方などよく知っている皆さんで構成されている。今後は、今まで以上に緊密な関係を維持しながら力を合わせていけば、新しい協会の姿が出てくるのかな、と思っている」

―協会の現状は。
 「協会は営利を追求する団体ではないが、団体の継続性という観点から会員拡大に向け努力し、経営基盤の確立に努めてきた。会員数も200社弱となり、ここ1年である程度のメドが立った」

――先の震災はテレマ業界にも影響を及ぼした。協会として今後どう取り組んでいくのか。
 「仙台はコールセンター集積地なので被害は当然あったが、駅近辺に拠点を構える企業が多く、津波による災害などはあまりなかった。もう8~9割は戻っているし、業界全体で大きなマイナスにはならないだろう。仙台で開催予定だったセミナーも、時期はずらすが予定通り開催する。多くの会員企業が震災を経験したので、その情報を今後に残すテーマも検討している。例えば震災が起きた後の安否確認や救援物資のノウハウなどだ」

――業界の現状をどうみているか。
 「リーマンショック後、経済全体が冷え込み、それに伴って縮小する動きはあった。ただ、昨年の後半から上向く感じはあった。震災でいったん停滞したが、復興というキーワードでいろいろなお仕事が出てきているのも事実。コールセンターが果たせる役割はたくさんある。復興だけに頼るわけではないが、カバーできる部分は多いし、もともと景気は回復基調だったので下半期に向けて緩やかに上昇するとは思う。コールセンターそのものは間違いなく拡大していくだろう。そのときに大事なのはICT、いわゆるITだ。企業とユーザーのコミュニケーションチャネルは複雑化しているので、そこの取り組みが重要だ」

―従来型の電話だけでは駄目だと。
 「電話は当然重要だ。ウェブだけで完結しても駄目で、電話のコミュニケーションをウェブが助けるという補完関係を押さえることが大事だ。今はコミュニケーションの仕方が変わってきている。先端的なものにフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアがあるが、そこで交わされる情報は気分的な、緩やかなもの。いわば『責任のない情報』だ。コールセンターの情報はその対極で、事実に基づいた『責任ある情報』。氾濫する情報を整理する意味でも、コールセンターはより重要になる」

―公益法人改革について。現状は。
 「もう手続きベースだ。相手があることなので審査状況がどうなるかは分からないが」

――一般社団法人への移行を選んだ。
 「一般社団化で会員が減少するのではと懸念されたが、今の会員構成を考慮すると影響は少ない。公益の縛りや協会の収支構造なども考え、フィット感があるのが一般社団法人だと判断した。活動の自由度を考えてもそれがベストだろう」

――名称も「日本コールセンター協会」になる。
 「一般の方により理解してもらうため、これを機会に変更する。今はドラマになり、CMでもコールセンターという言葉が使われる時代だ」

――通販業界との関わりについては。
 「もう少し通販の事業者の方に協会に入っていただければ(笑)。大きなコールセンターをお持ちの方々なので、協会も活性化するだろう。お互い切磋琢磨していけばよりいい協会になると思う。今はデバイスが拡大しており、『通販』と呼ばれるジャンルも拡大している。コールセンターが拡大している要因のひとつに、そうしたEコマースの拡大があると思っている」

―業界の今後のテーマは。
 「最大のテーマは、やはり人に関すること。コールセンターが扱う情報は責任ある情報で、それを担保するためには人のクオリティが重要になる。つまり教育や研修が重要なわけで、せっかくの業界団体なので、そうした部分を切磋琢磨して伸ばしていきたい。情報セキュリティの問題は非常に重要だが、そこを担保するのはシステムではなく人。協会としてもそこの部分のお手伝いができればいいと思っている」

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