トレたび JRグループ協力

2022.11.21鉄道中川家 礼二 鉄道の愛と夢を語る

熱烈な鉄道ファンとして知られる芸人 中川家 礼二さん。鉄道開業150年を機に語る鉄道の魅力と未来への夢とは…?

『JR時刻表』2022年12月号(11月21日発売)「十人十鉄」にて鉄道好きの原点や、今後の鉄道ファンとしての夢を語った中川家 礼二さん。誌面に載せきることができなかったエピソードをフルバージョンとしてお届けします。

『JR時刻表』×トレたび 連動企画です。

鉄道好きの原点は、先頭車両からの景色

こどもの時に見た先頭車両からの景色。
そのインパクトがかなり強かったんかなぁ。
車窓への興味は、その時まで全くなかったんです。
でもある日突然、前で見た時に、ワッとなったんですよね。ずっと見とけるなって。
で、運転士さんの所作を見たり、それに飽きてくると、後ろの車掌さんがおるところで動きを見たり。
で、次は駅降りてみよか。そういう感じになりました。

「JRといえば東京」のイメージ。時間を見つけて乗りに行く

関西の場合、鉄道って私鉄の方がイメージ強くって、次にJRってなるんですよね。
でも、東京出てきた時に最初に見たJRの駅の運賃表、あのスケールのデカさ!
やっぱすごいって、圧巻でしたね。
関西にしかいませんでしたから、そこで視野がすごく広がりました。
それが、28歳ぐらいの時。他の人は東京の鉄道は迷うからイヤやってなる人もおるんですけど、僕は好きなんで「わぁ知らんとこ、いっぱいあるぅ」ってなってました。

まずやっぱり山手線に乗ろうと、ぐるっと一周回って、次に中央線やったり、総武線やったりと、だんだんと違う路線に乗っていきました。
もちろん今でも、乗りに行きますよ。
鉄道博物館で買ったJRの路線図のタオルケットをこどもに掛けてるんですけど、それ見て、この辺に行ってみようかなぁって。
行くんなら、ちょっと遠回りして、東京駅の京葉線の地下から行って、西船橋に行って武蔵野線でぐるっと回って、府中本町から南武線に乗って、武蔵溝ノ口まで行って。
もう乗るのが目的ですわ。僕の中での遊びの目的。

ちょっと気になった駅で降りてみるとかもします。
府中本町って、ずっと気になってて。
武蔵野線とか南武線とか、なんとも言えない乗り換えの駅っていうのが気になるんですわ。
その辺に営業に行くとよくいじらせてもらうんですよ。必ずお客さんには笑うていただける。
実際、降りてみないとわからないことっていっぱいあるじゃないですか。
西武池袋線でいったら秋津駅から武蔵野線の新秋津駅。路線図を見ると単なる乗り換えって書かれてるんですけど実際歩いたら、全然ちゃうとこ来たっていうとこ。
こどもがまだ小さい頃、ベビーカーで、なんでこんな……こんなって言うたら怒られますけど、こんなややこしい道を通るんだっていう乗り換えなんです。大移動ですよね。
でも、それも含めて、実際やってみると楽しいんです。

ついつい乗りたくなる常磐線。駅も街も人も気になる

行きたくなるのは、北千住なんです。常磐線の。
一つにまとまっているターミナルって好きなんですよ。
新宿もデカいし、すごいなぁって思うから好きなんですけど、北千住ってのはコンパクトにまとまってて、下にはメトロ、JRの横にはつくばエクスプレス、東武線と日比谷線があって。2階構造になっているとことか好きで、路線図見て行きます。
ターミナルのよさってのはやっぱり、いっぺんに電車が見れるってのがあるんですよね。
見やすいし、移動しやすい。駅ナカにごはん屋さんがいっぱいあるし、駅を出てもいっぱいあるし。1日中いられますね。
用事があったら半日ぐらいで帰りますけど。

常磐線の綾瀬とか金町とかは、下町やし、雰囲気がなんか大阪に似てるなっていう感じがあって、あくまでも個人的に、濃い〜なって思うんです。
そういうとこ見て回んのが好きなんですよね。新しくない、でも古くもない。
今と昔が混ざりあってるような駅が多いかなって。駅前の雰囲気もまた好きなんです。

コントで不動産屋のネタってあるんですけど、不動産のこと言わんと、駅とか街の特徴とかばっかし。
どういう街なんやろうって。好きなんですよね、街まちが。
例えば、都会でもちっちゃい駅あるじゃないですか。
なんでこんなにちっちゃいんやろう、なんでここに駅造ったんやろう、この周りに一体、誰がおるんやろうとか、そういうのを考えるのが楽しいんですよ。

沿線のお客さんの雰囲気も見ます。
目がいくのは人の格好、でしょうね、やっぱり。
山手線と常磐線で見ると、山手線は至って普通な感じで、常磐線とかはやっぱくだけてるなっていうのが僕の印象。
スウェット履いたおっちゃんとかね、そういう方がいるのでね。
お客さんの雰囲気でみると、違うなぁって思います。

関西人ってあんま、北千住とか常磐線とか、行かないんですよ。
僕らの周りでも、東京の西側に住むことが多いんです。
東側って、関西の人間ってそんなに知らない。そういうとこにちょっと踏み入れてみたくなるんです。
あと、僕は武蔵野線がね、もうちょっとチヤホヤしてあげてもいいなって思うんです。
結構な距離走ってるのに、あれだけの数の人が乗ってるのに、新しい車両は先に相模線に入ったりとか、なんで武蔵野線には新しい車両入らへんねやろって。
武蔵野線も結構気になって、乗りに行ったりしてるんですよ。
車窓、見えなくなるとこもありますけど、あれもいいんです。暗いトンネル、いつ抜けるんやろって思って乗ってます。
もっとチヤホヤしてあげてもいいですよね。


礼二さんが最近気になるという、武蔵野線府中本町駅(安全に配慮してご本人が撮影しています)。

車両デザインから歴史を見て、今を知り、未来を思い描く

僕ね、名古屋から行く特急〔ひだ〕、あれに乗ってみたいんです。
新型になってどれぐらい揺れへんのやろうとか、どれだけ新しくなってんねやろとか知りたいです。

新型が出ると前のデザインを本見て振り返ってみたりして、あ、こんなふうに時代で変わっていくんやとか、この当時はこういう顔になるとは思えへんよなとか、またこの先これが古くなって、次どんなデザインになんのやろうとか、考えたりしますよね。
山手線だって、誰が今のね、言うたら壁みたいな顔になると思うかって感じっすよね。こうくんのかって。顔を見たりするのは好きです。

新しいから好きとか、古いから好きではなく、新型、旧型のどっちがいいとかじゃなくて、歴史を見ていくとか、あ、こういう時代が来たんだなっていうのを見るのが好きなんです。
山手線にはJR東日本の今一番、絶対におすすめの車両が真っ先に投入されて、で、ちょっと前に走ってたヤツは総武線に、みたいに走る車両が異動していくのもね、いわば人事異動みたいなもんですよ。

今、車両を見るなら、高輪ゲートウェイ駅です。
京浜東北線と山手線がずーっと一緒に入っていくとこを、こどもと一緒にホームの端っこに見に行ったりします。
あんま、おっさんが一人で腕組んで見てるのも恥ずかしいんで、ベビーカーさえ引いとりゃ、まぁこの子が好きでね、ってなるんですよ。こどもには悪いですけど。
下の子がまだ3歳で、動くものが好きですしね。電車にまだ食い付きますから。


2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅のコンコース(写真提供=JR東日本)

携帯で調べるよりも重宝。こどもの頃から時刻表派

今、便利なんでね、携帯でなんでも調べられますけど、僕は時刻表を見た方が早いです。
いちいち入力するより、ページをめくる方が、なんとなく、だいたいどこに何線が書かれているかわかってるんで、家族で旅行行く時とか僕が時刻表見て調べます。

こどもん時は、東京の電車とか乗りたくても乗りに行けないんで、かなりやっぱり重宝しましたね。
山手線はこんな間隔で走ってんねやとか、1時間にこんだけ走ってる電車って大阪にはあんまないんで。そういうのを見てましたね。

時刻表は一番身近なんですよね。図鑑とかよりも近いんです。
今現在、これが走ってるってのが全国、見られるじゃないですか。
図鑑見るよりも、時刻表見てた方が、今14時なら、14時にはどれが走ってるっていうのがリアルで、実際にそこに行かなくても自分で勝手に近づいたってみたいな感じになるんですね、感覚的に。
それはこどもの頃からで、いまだにその感覚はあります。そんな気ぃするんですよね、ほんまに。当時からよく妄想してました。

駅の移り変わりもわかる時刻表は、構内図も見逃せない

こどもの時は、寝台特急の時刻表を見るのも好きでしたし、あと駅の構内図!
僕、大好きなんですよ、構内図。
こっからやとこんなに早いんかとか、駅も変わっていってますし、街的にはこっちの方が有名やのに、こっちの駅の方がでかいなとか。
見ていくと、面白かったりするんですよ。
これは、昔からありがたかったですよ。

大阪駅もすごいです。
来年春にはうめきた地下駅ができて地下がすごいことになるって聞いてて、どうなるんやろうとか、大阪駅の11番ホームだけ特別な感じで特急が出入りするとこやな、今んとこ新しくなっているんで上から降りていくとかあって、昔は下から上がるしかなかったなぁとか、そういうのを感じたりとか。
シンプルな高松駅も好きなんですよ、終着駅の感じが。
ターミナルももちろん好きで、結構、細かいとこ見てます。

鉄道の未来は、もっと鉄道自体が主役になる!?

鉄道はスピード勝負に変わってきましたけど、今またクルーズトレインとかもあるじゃないですか。
そういう豪華な寝台列車が出てきたってことは、もっと時間を大切にするような、移動もそういう考え方になるのかな。
鉄道が主役、で、次に移動。で、クルーズトレインになるって感じ。
スピード勝負や言うてんのに、ゆったりいくし、せやけど人気もあったりするじゃないですか。
移動手段じゃなくて、時間にゆとりをみたいな感じで、ほんまに鉄道自体が主役になるような時代がやってくるんちゃうかなって思うんです。

リニアの登場で新幹線も変わってくるんかな。この先、東海道新幹線はバイパス代わりになるんでしょうけど、停まる駅も変わってくるやろうし、のぞみとかいうてる名称も変わるんかなぁとか、新幹線の今後は、だいぶん変わってくるんちゃうんかなぁ。
でも、地味にはなってほしくはないんです。
時間を大切にする人は今まで通り、東海道新幹線に乗ってくださいみたいな、そんな感じにはなってほしいんですけど、座席を減らしてサービス増やすんかなとか、新幹線がどんなふうに変わっていくんかなっていうのはありますよね。


「深遊 探訪」がコンセプトのクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」(写真提供=交通新聞クリエイト)

夢は、在来線だけを乗り継いでのひとり旅

いつか、在来線だけで遠いとこ行ってみたい。
それをね、やったことないんです。なかなかできないんですよね。
最初にやってみなあかんのは、東京~大阪間を乗り継いでJRで行くっていうね。
やってる人はおるんで、そういう人の動画を見たりして、僕やったらもうちょっと手前で降りるな、もうちょっと奥まで行くな、とか考えてます。
なんぼ時間かかってもいいんで、やりたい。

その時は、時刻表じゃないと、ペラペラめくる時刻表じゃないと、行きづらい!
どこで降りるかは好みがありますからね、計画したとしても乗ってる時に気持ちがコロっと変わったりしてね、そんな時でも時刻表は対応できるんです。
いちいち携帯で調べんでいい、こっちの方が早いんです。

これは完全プライベートでやってみたいんです、一人で。
鉄道好きと行ってもダメなんです、好みが違いますから。
完全に一人で、自分のペースで動きたい。みんなそうなんですよね、鉄道好きって。
降りてなんもないとか、それもまたいいんです。
降りてなんかあればいいって、そういうもんでもないですから。
なんかその時の状況や風景で、笑うてしまうんでしょうね。


中川家 礼二(なかがわけ れいじ)

1972年大阪府生まれ。兄の剛と兄弟漫才コンビ「中川家」を結成し、ツッコミを担当。また、熱烈な鉄道ファンとして知られ、電車の車内放送、JR車掌のモノマネなどでも人気を博す。テレビ番組『友近・礼二の妄想トレイン』(BS日テレ)をはじめ、鉄道番組への出演、鉄道に関する著作も多数。


著者紹介

佐藤さゆり

東京都在住。首都圏を軸に、各地をさまよう街歩きライター。郷土が誇る味、温泉、文化に目がない。

『JR時刻表』2022年12月号 リレーエッセイ「十人十鉄」もあわせてチェック!


JR時刻表2022年12月号

12月号は冬の臨時列車を掲載!
巻頭カラー特集では、全国の星空を楽しめるスポットや「星」を テーマにした列車を紹介します。夜空の美しい冬だからこそ、星空を満喫する旅へ出かけませんか。
 

【JR時刻表とは】
JR線の全線全駅を掲載。主要駅の構内図、私鉄、国内線航空ダイヤも収録。駅の旅行センター・みどりの窓口でも使われている時刻表です。
見やすい2色刷り/JR6社共同編集/JR6社の主要ニュースを掲載

●本記事はJR時刻表2022年12月号との共同企画です。


JR時刻表2022年12月号をもっと見る

  • 取材・文=佐藤さゆり
  • 掲載されているデータは2022年11月1日現在のものです。
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