教えて!乳がんのこと
麻木久仁子さん質疑応答(回答者)
2013/11/01
麻木久仁子さん
質問/麻木さんのようにいつも前向きで輝いていられる秘訣を教えてください。(豊橋市牧野町、M・Tさんほか多数より)
回答/私、こう見えてもけっこう「後ろ向き」なんです。ただ、去年乳がんになって、しばらく確定診断が出されず、約2カ月間あれこれ考えたのですが、くよくよしたところでどうしようもない。人間、いつ何が起こるかわからない。それが忙しく生きている人も、のんびり過ごしている人も、病気はそれぞれの生き方に関係なくふってくる。「なんで私が?」と思うけれど、理由なんてない―そのことに思い至って、ここ1年はあまりくよくよしたり、あれこれ考えたりしないようになってきたかなと思います。
今まで細々と計画通りにやれないと、悩んだりイライラするタイプだったのが、病気をきっかけに、「まあだいたいのことで世の中まわるんじゃない?」と気持ちがおおらかになったような気がします。
また、以前にもお答えしましたが、病気を機に思いきった断捨離(必要のないものを処分する)をやったりして、ネガティブにならないように、まわりの環境を整えていくことも必要ではないでしょうか。ときには自分で自分にごほうびをあげるとかね。
私の場合、明るく前向きに生きていく、というのは自分が暗いことを認めるということ。そんな年がら年中明るい人なんてそうそういないし、持って生まれた性格もそう簡単に変えられるものじゃない!「自分はくよくよするヤツなのだな」と知っていると、ひどく救いようのないくらいに落ち込む前に、「やばいぞ、今、私の中に悪い虫が出ているぞ」と自分で気付けるじゃないですか。
気持ちを前向きにしようと思っても、どうがんばってもなれない時もあるものです。だからと言って前向きになれない自分を自分で責めるようなことだけはやめてください。
前向きでいる秘訣と言われても、「そうそうポジティブにはなれないよ」と思うと、ポジティブになれるような感じ、という言い方しかできませんが…。
もし乳がんと告知されて落ち込んでいる方がいらっしゃるとすれば、それは当然のことだと思います。誰だって、いきなりがんと宣告されれば落ち込むものですよ。でも、そこで無理にがんばったり、すぐに立ち直って医者からほめられるような模範的な患者になろうとする必要はないと思います。
あれこれひとりで悩んでいたら、ぜひ正しい知識を持ったプロフェッショナルな方から適切なアドバイスを受けてくださいね。
私も、時には落ち込むこともあるかもしれないけれど、明日は明日の風が吹く、「今日1日楽しかった」と思えるような日々を、これからも積み重ねていけたらと思っています。