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大きなフジツボ、ピコロコ
 └─2009/04/17

 急に暖かくなり、磯遊びにいい季節となりました。潮が引いた磯に行くと、岩の表面にびっしりついているフジツボのなかまが見られます。フジツボは、潮が引いて水の外に出ているときは、殻の口をふたで閉じてじっとしています。私たちが磯遊びのときに見るのは、この状態だと思います。

 潮が満ちてくると、殻の口から「脚」を出し、さかんに餌を捕り始めます。しかし、波あたりのよいところでくらすフジツボのなかまで、このようすを観察するのはちょっとむずかしいかもしれません。

 そこでおすすめなのが、葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「チリ沿岸」水槽で展示しているピコロコです。水槽の中で「脚」を使って餌を捕っているピコロコを観察することができます。また、このピコロコはとても大きくなる種で、殻の高さが10センチ以上もあるため、観察しやすいのが特徴です。

 水槽の中は、餌となるプランクトンや魚の卵が常に流れているようにしています。ピコロコは、餌を捕らえようと殻の口から熊手のような脚を大きく広げています。この脚には細かい毛がびっしりと生えており、小さなプランクトンなどが引っかかりやすくなっています。また、水の流れの向きに合わせて脚を広げる向きも変えます。そして、脚に餌が引っかかると、素早く巻き込むようにして殻の中にある口へと運びます。

 ところで、フジツボは何のなかまでしょうか。じょうぶな殻をもち、岩にしっかりとくっついていることから、貝のなかまと思われるかもしれませんが、エビやカニと同じ甲殻類です。エビやカニが歩くときに使う脚が、フジツボでは餌を捕るために使われています。エビのような生き物(かたちはだいぶちがいます)が殻の中で仰向けになって、脚を上に向けて大きく広げて餌を捕っている、というイメージが近いかもしれません。

 海岸でふつうに目にする、ふたを閉じた小さなフジツボからは想像もできない、大きなピコロコが餌を捕るようすをご覧ください。

・東京ズーネットBBより動画「ピコロコ」(2006年9月)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 児玉雅章〕

(2009年04月17日)



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