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アナグマとタヌキを見比べてみよう
 └─ 2023/09/26
 井の頭自然文化園では、日本産動物の展示に力を入れています。今回はその中からニホンアナグマとホンドタヌキを紹介します。

 ニホンアナグマはイタチ科で、本州、四国、九州に生息し、当園のある武蔵野市周辺でも確認されています。ホンドタヌキはイヌ科で、本州、四国、九州に生息し、東京23区内や横浜市などの都市部でも、数は少なくなりましたが出没することがあります。

 アナグマとタヌキは、もともとは里山でくらしていた動物で、昔から私たち人間に身近な存在ですが、ときどき両者を見比べて「あれ? どっちがどっち?」と迷う方をお見かけします。そこで、もっと親近感をもっていただくために、アナグマとタヌキの違いをいっしょにマスターしていきましょう。

ニホンアナグマ
ホンドタヌキ

 まずは見た目です。体形はどちらも似ています。が、アナグマの方が少しずんぐりとしています。

 顔を正面から見ると、アナグマの目の周りは縦長に黒色の模様があり、大きな鼻が目立ちます。一方、タヌキの目の周りの黒色の模様は横長で、鼻はアナグマほど大きくはありません。また、地中にトンネル状の巣穴を掘るアナグマは、足先に鋭い爪を持っていますが、タヌキの爪はほとんど目立ちません。

 さらに、飼育担当の私が感じたアナグマとタヌキの違いを紹介します。ふだん動物たちは意外に来園者の方をよく見ていて、ときにはようすを探るような素振りを見せることもあります。

 そんなとき、アナグマは鼻を突きだしてにおいを嗅ぐのに対し、タヌキは耳を立てて音を注意深く聞くようなしぐさをします。これはそれぞれの生態の特徴が現れているように思います。アナグマの耳は巣穴のトンネルを通りやすいように小さいのですが、優れた嗅覚を持っていて長い爪を使って土を掘りながらミミズや昆虫を見つけて食べています。一方タヌキは、大きな耳で音を集め、耳を左右に動かすことで小さな音でもしっかりとキャッチできるという能力に長けています。

 当園のアナグマとタヌキは隣り合った展示場で公開しています。今回ご紹介した以外にもさまざまな違いや特徴がありますので、来園した際にはぜひ発見してみてくださいね。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 内堀杏子〕

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