ドラマ「白い巨塔」、バラエティー番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」(ともにフジテレビ系)などで知られた女優の生田悦子さんが、虚血性心不全により15日に亡くなっていたことが分かった。71歳だった。「欽ドン――」では「良いOL」役を演じてコメディエンヌとして活躍。その生みの親である欽ちゃんこと萩本欽一(77)が17日、生田さんの“ツッコミの才能”など思い出を語った。

 生田さんに異変が生じたのはは15日午前のことだった。生田さん夫妻と45年来の付き合いがある芸能リポーターの石川敏男氏によると「朝、旦那さんが先に起きて、生田さんが8時ごろ起きてきて『体調悪いので買い物には行けない。サンドイッチだけお願い』と会話して、旦那さんは買い物へ。11時半ごろ、起こしにいくと亡くなっていたそうです」と語る。

 救急搬送したが、そのまま帰らぬ人となった。前日も夫と夕食に出かけるなど、普段と変わらなかったという。

 生田さんは高校生だった1963年に「準ミス平凡」に選ばれ、モデルデビュー。66年に松竹に入社し、女優として「命果てる日まで」「夜明けの二人」などに出演した。転機となったのは81年、欽ちゃんに誘われ、バラエティー番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」に出演し、お茶の間でも親しまれたことだった。

 番組内で松居直美(50)、小柳みゆき(現・小柳友貴美=60)とともに「よせなべトリオ」を結成。「良いOL、悪いOL、普通のOL」で生田さんは良いOL役としてコントに挑戦した。

 欽ちゃんが振り返る。

「当時は声もかけられないくらいのすごい女優さんでしたが、コント55号(萩本と坂上二郎)の映画に出てもらったことがあって、その後、コントで実際の映画のシーンに本物の女優さんに出てもらおうと、生田さんに出てもらったんです」

 そこで欽ちゃんが「初めまして」と言うと、生田さんから「こらっ! 映画で恋人役までやったのよ。とんでもない」と、笑顔でツッコミが入ったという。

「その後、欽ドン(の出演)につい声をかけてしまったんですが、(当時は)笑い(の番組)で女優さんに声をかけるなんてとんでもないこと。しかも私はアドリブでやってたのに、生田さんは6時間くらい稽古していた。中途半端が嫌いな方でした」

「よせなべトリオ」では「大きな恋の物語」という楽曲でレコードデビューも果たし、オリコン8位を記録するなど、ヒットした。欽ちゃんは「生田さんは最初、踊ったこともないと言ってましたが、私の知らないところで練習されていた。相当つらい思いをさせたと思う」。

 だが約10年前、欽ドンのDVDをスタッフが生田さんに届けた際、生田さんから感謝の言葉が欽ちゃんに届けられたという。

「私は欽ドンが大好きでした」

 生田さんは83年に番組がリニューアルされるまで出演。それ以降、親交はなかったが、この言葉をスタッフから聞いた欽ちゃんは感激した。

「その言葉を聞いて、笑いって悪いヤツなのに、生田さんは『ちっとも悪くないよ』と言ってくれてるようで、萩本欽一の笑いを愛していただいた。欽ドンで『なんで私なんか呼んだの?』と言われ、私が『美しいので』と言うと『私は美しくなんかないわよ!』とカラッと笑顔でツッコミを入れてくださった。粋な女優さんでした。お会いして『ごめんね』と言いたかった。感謝だけです」

 生田さんのコメディエンヌとしての才能を開花させた欽ちゃんは恐縮しきりだったが、生田さんは楽しんでいたようだ。

 葬儀は近親者のみで営まれ、後日、お別れの会が開かれる予定という。