新日本観光グループを率いる糸山英太郎氏(81)が4日、総長を務める湘南工科大学の創立60周年記念イベントで講演し、外交通を自任する岸田文雄首相(65)に「外交下手」「退陣すべき」と怒りのゲキを飛ばした。

 この日、81歳の誕生日を迎えた糸山氏は教育論から政治社会、リーダーシップ論まで熱く語った。中でも岸田政権には怒り心頭だ。ロシアのウクライナ侵攻から1年以上たっても終結どころか、停戦の糸口も見えない状況にある。

「戦争の悲惨さから目を背けずに、犠牲者あっての今の平和があることを感謝しながら、次世代の子供たちを戦場に送り込まないようにするのが私たちの使命」と糸山氏は戦争はあってはならないとの思いで長年、活動を続けてきた。

 それだけに日本の果たすべき役割はあるとの観点から、“外交の岸田”を自任する岸田首相には手厳しい。

 先月、広島で行われたG7サミットにはウクライナのゼレンスキー大統領が緊急来日し、欧米諸国は連帯をアピールした。「歴史に残るサミットを」と意気込んでいた岸田首相も大成功との評価を受けたが、糸山氏は「大失敗」との見方を示す。「ウクライナのみをG7サミットに招いても戦争は終わらない。招くのであれば、ロシアのプーチン大統領も招くべきだった。岸田首相は外交が下手すぎるんですよ。ウクライナの威勢の良い掛け声に単純に乗っかって米国の武器在庫一掃セールに協力している」と嘆いた。

 さらに岸田首相が就任から約2年になろうとしている中で、米中の台湾問題や北朝鮮の相次ぐミサイル発射と、東アジア情勢が緊迫化している事態も問題視する。

「どんなに嫌いでもロシア、中国、北朝鮮と硬軟織り交ぜて渡り合うのが外交なんですよ。政治家は国民の生命と財産を真剣に守らなければいけません。私が(衆院)外務委員長の時は実質的な国益を本当に守るために相手国と直接話をしてきました」とし、岸田首相の外交は米国一辺倒でしかないと指摘する。

 さらに岸田首相を巡っては、長男の翔太郎氏が昨年12月に首相公邸で忘年会を開催した不適切行動で、首相秘書官を事実上更迭となる騒動もあった。岸田首相は一度は厳重注意で済ませようとしたものの世論の反発を受け、更迭せざるを得ない状況に陥った。

 自身も国会議員として、長年多くの首相を支えてきた糸山氏は「息子すらコントロールができない親バカの岸田首相に日本のかじ取りは難しい。今まさに日本の国益を逸している岸田首相は辞めるべきです。総辞職を求める」と引導を渡した。