富士山5合目「レストハウス建て替えを」 焼失で富士宮市、県に要望へ

2021年4月9日 07時20分

全焼したレストハウスの2階部分=富士宮市提供

 富士山富士宮口五合目にある民間のレストハウスが先月、放火され、二階部分が全焼したとされる事件で、富士宮市の須藤秀忠市長は八日の会見で、県に建て替えを検討するよう要望する考えを示した。
 須藤市長は「まずは所有者の考え方を聞いてから」とした上で、「建物として使える状況ではない。富士登山になくてはならない施設。地元市として放置はできない」と強調。公共性も高いことから、県と協力して事業費を捻出する選択肢もあり得るとした。
 市や富士宮署によると、レストハウスは鉄筋コンクリート造二階建て。売店やトイレがある二階部分が全焼した。焼失面積は約五百平方メートル。富士宮口は県内三つの富士登山道で登山者が最も多く、五合目には他に登山者が休憩で立ち寄れる場所はない。
 レストハウスがあるのは標高二四〇〇メートルの地点。現施設を撤去して建て替えるにしても、冬場は降雪で作業ができず、高地に重機や資機材を運ぶのも一苦労だ。市担当者は「数年で片が付くような案件ではないだろう」と推測する。
 県も問題意識を共有しており、担当者は「登山者の安全や快適性を考えると、何らかの対応が必要だと思う。事業主体や費用負担をどうするかなど課題はあるが、お互いに知恵を出し合っていきたい」と話した。
 富士宮署は、東京都内の派遣社員の男(27)が三月十六日ごろにレストハウスに侵入し、放火したとして同月二十五日、非現住建造物等放火などの疑いで逮捕した。
 署によると、男は暖を取るために侵入。冬季閉山中で、施錠されていたとみられる。 (佐野周平)

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