「私の音声かと…」菅首相長男と会食時の録音、総務省幹部が一部認めるが衛星放送の話題は「記憶にない」

2021年2月18日 21時20分
 総務省は18日の衆院予算委員会理事会で、秋本芳徳情報流通行政局長が放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男と会食した際のやりとりだとして週刊文春(電子版)が公開した音声について、一部が事実とみられると認めた。ただ衛星放送の許認可にかかわる言及があったかどうかは、秋本氏が「記憶にない」としているとして、明らかにしなかった。野党は「組織ぐるみの隠蔽いんぺいだ」と反発。首相の長男の参考人招致を求めた。

◆22日までに結果報告を

 同日発売の週刊文春は、秋本氏が昨年12月の会食時、首相の長男らと衛星放送事業を巡って意見を交わし、自民党の小林史明元総務政務官を揶揄やゆするような発言をしたと報じた。これに先立つ電子版では、当日の会話を録音したとする音声を公開した。秋本氏は国会審議で、会食では「放送業界全般の話題が出た記憶はない」と答弁していた。
 総務省は理事会に提出した文書で、秋本氏が小林氏に関する発言を「私の音声かと思われる」と認めたと回答。東北新社の子会社が手掛ける「スターチャンネル」などの話題が出たことは「記憶にない」と証言したと記した。報道を受け、秋本氏ら会食の事実が判明している幹部4人を中心に改めて事情を聴き、22日午前までに結果を報告する方針も示した。

◆野党反発「一部ではなく全部だ」

 野党は「スターチャンネルのところだけ記憶になく、小林氏の話だけは覚えているという説明は誰が考えても認められない」と指摘。秋本氏が虚偽の答弁をした可能性があるとの見方を強めている。この日の予算委は議論は成り立たないとして、質疑を拒否した。
 国家公務員倫理規程は、許認可事業を行う利害関係者からの接待などを禁じている。ただ武田良太総務相は一連の会食について、放送行政に影響を与えたとの見方を否定している。
 立憲民主党の安住淳国対委員長は18日、秋本氏が音声の一部を自身の発言と認めたことを受け「(総務省は)全部事実と認定せざるを得ない。許認可に関わることをずばり議論している」と記者団に指摘。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「放送行政がゆがめられたという疑惑がいよいよ深刻になった」と強調した。(山口哲人、井上峻輔)

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