監督と共に育てた役 映画「パラダイス・ネクスト」妻夫木聡

2019年7月18日 02時00分
 妻夫木聡と豊川悦司が主演し、台湾を舞台にしたサスペンス映画「パラダイス・ネクスト」が27日公開される。半野喜弘監督と構想段階から意見を交わしながら作り上げたという妻夫木=写真=は「苦労して完成できた作品で、自分の子のように思える」と感慨深げに話す。 (竹島勇)
 半野監督は、脚本のほか音楽も担当。台湾の巨匠ホウ・シャオシェン監督らの作品などの音楽も手掛けていて、実績豊富な音楽家でもある。2年前にプライベートで初めて会い、食事をした際に半野監督が本作の構想を語り、出演を要請されたという。妻夫木は「作品と僕が演じた牧野のにおいのようなものが合ってると思われたみたい」と振り返る。
 やくざの島(豊川)はボディーガードをしていた女性が不審死したのをきっかけに日本から台湾に渡り、台北で孤独な日々を送っていた。ある日、島のもとに牧野という妙に軽い男が現れ、女性の死の真相を知っていることをほのめかす。自然豊かな街、花蓮に移動した二人は死んだ女性そっくりなシャオエン(ニッキー・シエ)と出会う。この運命的な偶然を機に過去が明らかになっていくという物語。ミステリアスな心理劇で、全編を台湾で撮影。前半の猥雑(わいざつ)で喧噪(けんそう)の台北と、後半の静かで美しい風景が広がる花蓮が対照的だ。
 妻夫木と半野監督は作品のイメージや脚本について意見交換を重ねた。「『やりたい仕事があるからホン(脚本)読んでみて』と事務所のマネジャーにお願いしました。ふだんとは逆の流れで、自分でも初めてのこと」と妻夫木。
 「『牧野にこんな過去があったことにすれば、膨らむのでは』などと具体的な提案もして脚本に反映してもらった。最初の段階から意見を出しているからクランクインした時には役が自分になじんでいた」
 相手役の豊川については「共演もありますが、お酒の席で会ったのが先で、先輩ですが失礼なことを言っても甘えさせてくれる人。豊川さんだからうまくいったと思う」と話す。
 「実は予算やスケジュールの問題などで2回、製作が頓挫する局面があった。それを思うと今、完成した作品について語れるのが信じられず、うれしい」と明かす。「自分では客観的に見られないので、お客さんがどうこの作品を受けとめてくれるのかが気になります」。音楽には坂本龍一も参加した。半野監督の依頼で実現したという。

「パラダイス・ネクスト」から。島(豊川悦司(左))と牧野(妻夫木聡)

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