「一日も早く抱きしめたい」 山梨の小倉美咲ちゃん不明から1年で母が語った思い

2020年9月19日 11時54分

小倉美咲さん=家族提供

 昨年九月に山梨県道志村のキャンプ場で、小学一年生だった千葉県成田市の小倉美咲さんが行方不明になり、二十一日で一年となる。三月のひな祭り、五月の八歳の誕生日。イベントや記念日のたびに、母とも子さん(37)は娘がいない現実を痛感する。「大切な時期に、親と一緒にいられずにかわいそう。一日も早く抱きしめたい」と、思いを募らせる。
 キャンプから戻った翌日の運動会で使うはずだった体操服が、自宅のランドセルにそのまま残る。美咲さんはリレーの選手に選ばれ「一位になりたい、男の子にも負けたくない」と、家の周りで練習に励んでいた。
 自衛隊を含め延べ約千七百人が参加した大規模捜索の後も、とも子さんはすがるような思いで現場に通い、ネット上で情報発信を続けた。「年越しまでに」。「一年生のうちに」。目標が過ぎるたびに落ち込み、また新たな期限を定め、自身を鼓舞した。

娘が運動会で使うはずだった体操服を見つめる小倉とも子さん=14日、千葉県成田市で

 三月には、評価が付かずに斜線が引かれた成績表を渡され、涙が止まらなかった。夏休み前に参加した保護者会では、二年生になったクラスメートの様子を聞き「何とも言えない複雑な気持ちで帰った」。普段の生活で笑顔が浮かぶと「美咲はどこかで耐えて苦しんでいるのに、今笑った」との罪悪感に襲われる。
 心の支えは、五年生になった姉(11)の成長だ。美咲さんが不明になった後の不登校を乗り越え、今では「ママ、ご飯をちゃんと食べないと、体に悪いよ」と、疲れ気味のとも子さんを気遣ってくれる。
 新型コロナウイルスの感染拡大で情報提供が減り、焦りも募る。「これだけ捜して何もない。現場ではないどこかに絶対いる」との思いが強くなった。「不自然な親子、急に女の子の声が聞こえるようになった家。どんなにわずかなことでも、確信がなくても、連絡してほしい」と、とも子さんは呼び掛けた。
 情報提供は山梨県警大月署=電0554(22)0110=へ。(
共同)

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