派閥への配慮しっかり 横滑りも過半数で安倍政権継承くっきり 【菅内閣一覧表あり】

2020年9月17日 05時58分
 菅義偉首相は組閣で、自民党総裁選で支持を受けた主要5派閥から漏れなく閣僚を起用し、党内の力関係への配慮が際立つ布陣となった。閣僚枠20人のうち、前内閣から引き続き務める再任と、ポストが代わる「横滑り」が合わせて11人と過半数を占め、人事にも「安倍政権の継承」が色濃く反映された。(生島章弘)

宮中での認証式を終え、記念撮影に並ぶ菅義偉首相(手前中央)と閣僚ら=皇居・宮殿北車寄せで


 主要5派閥別の閣僚数は、党内最大で安倍晋三前首相の出身派閥の細田派が最多の5人、麻生派は3人、竹下、二階の2派は各2人、石原派は1人。おおむね所属議員の規模に比例している。党4役と国対委員長を5派閥に割り振ったことを含め、派閥均衡型だ。
 同時に、総裁選に立候補した岸田文雄前政調会長が率いる岸田派からは2人、石破茂元幹事長の石破派からも1人を入閣させ、挙党態勢を演出した。
 菅首相は党内で無派閥を通し、総裁選でも「派閥に推されたわけではない」と主張。「首相が代わるから、思い切って私の政策の方向に合う人を登用したい」と人事方針を説明し、派閥の推薦を受け付けない考えを示していたものの、菅首相に近い若手は「かなり派閥に気を使った。(政権を)うまく回すための現実的な判断」と解説する。
 初入閣は、閣僚20人のうち5人にとどまった。再任、横滑りは11人。上川陽子法相ら他の4人は再入閣で、第2次安倍政権時代と同じポストに起用された。党内には「見たことのある顔ばかり。安全運転しようと手堅くまとめた」(中堅議員)との評価もある。
 安倍晋三前首相の盟友や側近が目立つのも特徴。麻生太郎副総理兼財務相、萩生田光一文部科学相らは続投となった。初入閣の岸信夫防衛相は安倍氏の実弟で、敵基地攻撃能力の保有に向けた検討など、安倍政権の安全保障政策を引き継ぐことになる。
 安倍氏が毎年のように打ち出した目玉政策の担当も、ほぼ踏襲。「1億総活躍」「女性活躍」「地方創生」「働き方改革」などの看板が各閣僚の肩書に並び、安倍政権と地続きであることを印象づけた。

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