豊竹嶋太夫さん死去 文楽太夫 人間国宝

2020年8月25日 08時45分
 人形浄瑠璃文楽の太夫で、人間国宝の豊竹嶋太夫(とよたけしまたゆう)(本名村上五郎(むらかみごろう))さんが二十日午後七時十八分、腎不全のため東京都の病院で死去した。八十八歳。愛媛県出身。葬儀・告別式は近親者で営む。
 一九四八年、故三代目豊竹呂太夫さん(後の十代目豊竹若太夫)に入門し、同年、豊竹呂賀太夫の名で初舞台。五四年に四代目豊竹呂太夫を襲名したが、芸に悩み、翌年退座した。六八年に復帰し、八代目嶋太夫を襲名、その後、故四代目竹本越路太夫さんの門下となった。
 九四年には、重要な場面を任される「切場(きりば)語り」に。よく通る美声を生かした華麗な芸風、世話物や「酒屋」など女性の情を語る演目に定評があった。二〇〇二年公開の北野武監督の映画「Dolls(ドールズ)」にも出演した。
 九四年、芸術選奨文部大臣賞。九五年に紫綬褒章、〇八年に旭日小綬章を受け、一五年に人間国宝に認定された。一六年二月の公演で現役を退き、後進の指導に当たっていた。

関連キーワード


おすすめ情報