日英貿易協議、大半分野で実質合意 来年の協定発効目指す

2020年8月8日 09時43分
6日、ロンドンで会談する茂木外相(左手前から2人目)とトラス英国際貿易相(右手前から2人目)=外務省提供

6日、ロンドンで会談する茂木外相(左手前から2人目)とトラス英国際貿易相(右手前から2人目)=外務省提供

 【ロンドン=共同】訪英中の茂木敏充外相とトラス英国際貿易相は7日、ロンドン市内で貿易協議を開いた。茂木外相は終了後の記者会見で「大半の分野で実質合意した」と述べ、日英双方は8月末の大筋合意を目指す方針を確認。来年1月の貿易協定発効へ協議を急ぐ。

◆コロナ後初の閣僚外遊

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が今年3月に宣言されてから日本の閣僚の海外訪問は初めて。日本政府は外交の本格再開の足掛かりにしたい考えだ。
 日英の交渉は日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)をベースとしており、日本から輸出する自動車や関連部品の関税撤廃や、日本に輸入する英国の農産品の取り扱いが焦点だ。

◆EU離脱のメリットにしたい英

 英国は日本との協定をEU離脱によって可能となった独自の通商政策の柱の一つと位置付けている。ジョンソン政権は早期妥結によって、離脱のメリットを支持者らに訴えたい狙いもある。
 英国は最重要課題とする米国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉も行っており、日英間の大筋合意で弾みをつけたい意向とみられる。トラス氏も7日、今回の貿易協議について「前向きな交渉だった」とツイッターに投稿した。
 日本から輸出する自動車の関税は日欧EPAに準じて段階的に下げ、2026年に撤廃する見通し。日本政府関係者は、英国から輸入する農産品を優遇する新たな輸入枠の設定は認めない方針を強調した。投資サービスや電子商取引(EC)の分野では、日欧EPAの水準を超える内容とする方向だ。
 日英間には現在、日欧EPAにより、関税が低く抑えられるなどの恩恵がある。だが英国のEU離脱により、今年末までの移行期間を過ぎると優遇措置がなくなる。来年年初の協定発効に間に合わせるため、今年6月から協議してきた。

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