同性婚認めない規定は「違憲状態」 東京地裁判決、今の制度は「同性カップルから人格的利益を剝奪する」

2024年3月14日 20時45分
 同性カップルの結婚を認めない民法などの規定は憲法に違反すると訴えた集団訴訟の判決で、東京地裁は14日、「法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定しなければならない」とした憲法24条2項に照らし「違憲状態」と判断した。
 
 判決は、法律婚と同様の法的利益を受ける法制度がないことは「同性カップルらから人格的利益を剝奪するもの」と認めた。

◆現状は「重要な人格的利益を一切受けられない」

 飛沢知行裁判長は判決理由で、異性婚しか認めない現行制度では、同性カップルは▽税や社会保障の優遇措置など法律上の利益▽2人の関係を社会的に公証され、医療機関でパートナーの診察状況を当然に知る利益—など「重要な人格的利益を一切受けられない状況にある」と認定した。

判決を受け、取材に応じる原告ら=東京地裁前で

 国民の意識は変わり、法律婚は男女間に限られるという「伝統的価値観は揺らいでいる」と指摘。同性カップルらのための制度がないのは「性自認と性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を同性カップルらから剝奪するもの」で違憲状態と判断した。
 しかし、具体的な制度の構築は「国会の立法裁量に委ねられている」とし、現段階で違憲とは言えないと結論付けた。「今後、国会で適切な法制度化がされるよう強く期待される」と国会に対応を求めた。
 原告は東京都在住の同性カップルら8人。国に計800万円の損害賠償を求めて2021年3月に提訴していた。
 この日は札幌高裁の判決もあり、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定めた憲法24条1項は「同性婚も保障すると理解できる」との初判断を示し、民法や戸籍法の関連規定を違憲とした。計7つの地裁・高裁で示された判決は、「違憲」3件、「違憲状態」3件、「合憲」1件となった。

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