トランプ氏が共和党の指名争い初戦を制す アメリカ大統領選 アイオワ州で得票率ぶっちぎりの51.0%

2024年1月16日 20時08分

15日、米中西部アイオワ州の共和党員集会で勝利したトランプ前米大統領=デモインで、AP

 【デモイン(米アイオワ州)=浅井俊典】11月の米大統領選に向けた野党共和党の候補指名争いの初戦となる中西部アイオワ州の党員集会が15日、州内各地で開かれ、返り咲きを狙うトランプ前大統領(77)が大差で勝利した。事前の世論調査通りの圧勝で、候補指名獲得に向け順調な滑り出しをみせた。

◆集会後にラマスワミ氏が撤退表明

 トランプ氏は15日夜、州都デモインで支持者を前に「米国を再び偉大な国にする」と勝利宣言した。バイデン大統領(81)との再対決が濃厚な本選も見据え、「今こそ米国が団結するときだ」と述べた。
 公式集計によると、トランプ氏の得票率は51.0%。苦戦が伝えられていたデサンティス・フロリダ州知事(45)が21.2%で2位に食い込み、ヘイリー元国連大使(51)が19.1%で続いた。若手実業家のラマスワミ氏(38)は7.7%で、党員集会後に撤退を表明した。

◆デサンティス、ヘイリー氏は次で巻き返せるか

 共和党の候補者選びの第2戦となる東部ニューハンプシャー州の予備選は今月23日に行われる。トランプ氏優位は揺るがないとみられるが、同州で重点的に選挙活動を進めるヘイリー氏ら2位以下の候補がどこまで巻き返せるかが焦点となる。
 11月5日投開票の大統領選は、民主、共和両党の大統領候補を決める指名争い、両党が指名した候補が争う本選の2段階方式で、10カ月に及ぶ長期戦となる。共和党の指名争いは2月に南部サウスカロライナ州などでも行われ、3月5日に10州以上で集中的に行われるスーパーチューズデーでヤマ場を迎える。
 民主党は、再選を目指すバイデン氏以外の有力候補がおらず、同氏の党候補指名が確実視されている。
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◆アイオワの結果が大統領選を左右する?

 米大統領選のスタートを飾るアイオワ州の党員集会は、多くの国内外メディアが報じる全米注目の一戦だ。過去にはアイオワを制した候補が勢いに乗って大統領選に勝利した歴史もあり、米国の真ん中に位置する農業州が4年に1度、脚光を浴びる舞台でもある。

15日、アイオワ州の党員集会で演説を聞く聴衆=AP

1972年以降、大統領選最初の党員集会はアイオワで開催されてきた。民主党の第39代大統領カーター氏や第44代のオバマ氏はアイオワでの勝利で弾みをつけた。
 
 初戦に向け、各陣営は多大な資金と運動員を投じる。ただ、アイオワ州での結果が必ずしも候補指名に結び付かないことも多い。2020年の前回は、民主党のバイデン大統領がアイオワをはじめ序盤州で連敗したが、第4戦の南部サウスカロライナ州予備選で初勝利して最終的に指名にこぎ着けた。民主党は今回、党候補選びの初戦を2月3日のサウスカロライナ州に変更する。
 人口推計約320万人で白人の比率が高く保守的とされるアイオワ州は、米国有数のトウモロコシ生産地。養豚も「人より豚の数が多い」と言われるほど盛ん。1959年の伊勢湾台風などで山梨県の養豚が被害を受けた際、アイオワが豚を贈って支援した。映画「フィールド・オブ・ドリームス」や「マディソン郡の橋」の舞台にもなった。(デモイン・浅井俊典)

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