神奈川県の観光施策 回復基調維持と課題解決目指す

2024年1月1日 07時27分
横浜、みなとみらい地区

横浜、みなとみらい地区

 2017年から3年連続で2億人を突破した神奈川県内への観光客数は20年、新型コロナウイルスの影響で半減した。22年に1億6406万人まで戻し、昨年はさらに伸びたとみられるが、全国旅行支援などの観光振興策で押し上げられた側面もあり、回復基調を維持できるかは不透明だ。物価高が暮らしを直撃する中、今年は真の実力が試される。
 県は昨年、向こう4年間の観光振興計画を策定。観光客数と観光消費額は24年にコロナ禍前の19年の水準を上回らせ、26年に2億1千万人、1兆1700億円へ到達させる目標を掲げた。
 ただ、横浜市や鎌倉市、箱根町などは既に観光客であふれ、オーバーツーリズム(観光公害)も問題になっている。そのため、携帯電話の位置情報データで移動経路や混雑具合を分析し、比較的空いている「穴場」に観光客を誘導する対策を検討中だ。県の重田健太郎観光課長は「観光拠点の点と点を結ぶ取り組みが重要だ。県内を周遊する形の観光政策を目指し、付加価値も上げていきたい」と話す。あわせて、県央・県西地域などの観光資源の掘り起こしにも注力する。
 移動手段も充実させようと、湘南エリアではシェアサイクルの実証実験に取り組んでいる。一般ドライバーが自家用車を使って有償で客を運ぶ「神奈川版ライドシェア」は今年、タクシーが不足する三浦市内限定で本格実施をにらんだ試行に着手する方向だ。まずは地域の足を補完する有用性を確かめるが、政府の規制緩和の動向も見極め、観光地への導入も視野に検討を進める。(志村彰太)

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