2023年はどんな年?「怒」「汚」「税」…読者の漢字から見えてきたこと 個人的なニュースも<ニュースあなた発>

2023年12月27日 12時00分
2023年を漢字一文字で表すと何になりますか?
12月21~24日、東京新聞「ニュースあなた発」で、LINEでつながる読者の方々らにアンケートを行いました。10代~70歳以上の男女272人から回答が寄せられました。世相を映して重苦しい漢字が選ばれた一方で、一緒に聞いたあなたの個人的なニュースは?の質問には、ほほえましいエピソードも相次ぎました。
アンケートの結果を基に、今年1年を振り返ってみましょう。(デジタル編集部・小寺香菜子)

◆裏金疑惑への「怒」り続々

最も多かった漢字は「怒」で、8票でした。
「怒」を選んだ理由として多くの人が挙げていたのが、東京地検特捜部が19日に強制捜査に乗り出した自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑でした。
裏金疑惑は、「ニュースあなた発」でアンケートした今年の10大ニュースでも、最も票数が多く、皆さんの怒りとともに関心の高さがうかがえます。
裏金疑惑から「汚」「虚」「悪」といった漢字を挙げる人もいました。
 「政治資金パーティー裏金事件、原発回帰、ウクライナ・パレスチナでの民間人の犠牲、沖縄米軍基地問題、五輪・万博・新幹線・再開発、環境問題、等々…新聞やテレビに向かって毒づいている毎日でした」(東京都50代男性)、「自民党政治には怒りしかない」(東京都70歳以上女性)
 「様々な会社、政治家の汚れた部分が露呈した年だと感じる。ビッグモーターやこの年末にダイハツの不正が発覚したり、印象に残ったニュースも汚職やらが多かったイメージだ」(茨城県10代女性)、「自民党、金権汚職腐敗裏金疑惑が余りにも酷いから」(兵庫県60代男性)
 「政権与党、ビッグモーターやダイハツなどの大手企業、ジャニーズや宝塚などの大手芸能会社、日本大学などの有名大学…それぞれの実績、業績、成績などの虚構、虚像、虚偽が明らかに。同時にそれでも何も社会が変わらないことへの虚しさ」(静岡県50代男性)

◆ガザ危機やウクライナ侵攻への「戦」も

悲しいことに、今年も地球上から戦火が止むことはありませんでした。
「怒」に続いて多かったのが、7票を集めた「戦」です。
昨年から続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻に加え、今年はガザ地区を巡るイスラエルとパレスチナの軍事衝突が激化したことで、「戦」を挙げる人が多くいました。戦争から連想して、「乱」「悲」といった漢字を挙げる人もいました。
 「ウクライナへのロシアの進攻、イスラエルのガザへの進攻等、大きな争いが絶えなかった」(東京都70歳以上男性)、「ウクライナ戦争、イスラエル戦争などがニュースで毎日報道されていたから」(東京都60代男性)
 「国同士の争いは沢山の人々が犠牲になるので、決してやってはいけません!!」(東京都70歳以上女性)
 「シリア、ウクライナ、パレスチナなどの情勢が乱れているから」(東京都10代男性)
 「ウクライナの侵略のさなか、ガザでも悲惨な戦争が起きたから」(神奈川県60代男性)

◆記録的猛暑で「暑」

3番目に多かったのが「暑」(6票)です。今年の夏の記録的猛暑を反映した結果となりました。
今年の夏(6~8月)の平均気温は関東甲信地方で平年より1.8度高く、1946年の統計開始以降で最も高かったことが、気象庁のまとめで分かりました。都心の秋(9~11月)の平均気温も平年を2.1度上回り観測史上最高となっています。
 「9月になっても残暑が収まらず、10月、11月上旬と半袖日和が長引き、長袖への衣替えがなかなかできずじまいだった」(山口県40代男性)、「今年もとにかく暑かった。妻とお互い今年も乗りきったね、と言ってました」(神奈川県60代男性)、「沸騰化です!」(埼玉県60代女性)

◆インボイス、物価高、税金…生活が苦しい

京都・清水寺で発表された「今年の漢字」にもなった「税」を挙げる人もいました。インボイス制度の対応などから納税への意識が高まった1年でした。
値上げ、値上げと、物価高は家計を直撃しました。生活の苦しさから「苦」を挙げる人も。
 「生活が苦しい」(愛媛県30代その他)、「私は会社員だが、インボイス制度の導入には、社内経理システムの変更など、いろいろと手間が掛かった。ここまで手間を掛けて税を集めるのか、と思った。一方で、多くの政治家が裏金作り(=脱税)をしていたこともわかり、釈然としなかったため」(東京都30代男性)
 「物価高などで負担額多く苦しい!」(東京都40代女性)
 「インボイス制度など増税による増税で生活苦など死が近い」(神奈川県40代女性)

◆あの人の活躍を思い…

世相を反映してか、マイナスイメージの漢字が多く寄せられましたが、あの人の活躍から漢字を選んだという人もいました。今シーズン、大リーグで日本人初のホームラン王に輝いた大谷翔平選手です。
 「コロナを乗り越えた2023年、世界の壁を乗り越えた男子バスケ、記録の壁を越えた(超えた)大谷翔平、藤井八冠、個人的にもフリーランスとしてインボイス対応を乗り越えました」(神奈川県30代女性)

WBCの中国戦に先発し力投する日本・大谷翔平選手=東京ドームで(野村和宏撮影)


◆あなたにとっての今年の一大事は?

「ニュースあなた発」では、皆さんの2023年の個人的なニュースについても、アンケートで尋ねてみました。皆さんからいただいた声を紹介します。

「数年ぶりに孫に逢えたこと」(70歳以上新潟県男性)
「今年はコロナ禍でできなかったことを取り戻すかのように何度も旅行した。特にしまなみ海道はとても気に入り年明けにはまた行く計画を立てている」(千葉県50代女性)
「コロナ禍でできなかった海外旅行へ!地球一周で、色々な自然と人々と出会い、視野を広げることができたかな、と感じています」(60代東京都女性)
「上海に駐在中の娘一家が今年は2度も一時帰国できて嬉しかった。生で孫娘(3歳)がみられて良かった。娘はハイリスク妊婦ですが、上海で無事に2人目の子どもが産まれることを祈ってます」(東京都70歳以上女性)
「秋祭りが4年ぶりに盛大にできたこと」(東京都60代男性)

新型コロナが5類に移行し、大勢の観客が見守る中を進む浅草神社の宮みこし=5月21日、台東区で

今年5月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へ移行したことから「久しぶりに人に会えた」「旅行できた」という声が目立ちました。

◆娘が宇宙食を開発、保護犬が家に…

他にも、わが子の成長や保護犬のこと、2023年を懸命に生きてきた証もつづられていました。
「娘(特別支援学校在学中)が伝統工芸の技法を活かしたヘッドドレスを着け、ファッションショーに参加。障害がありながらも堂々としたウォーキングで、地元の伝統文化をアピールできたことに胸が熱くなりました」(埼玉県50代女性)
「中1の娘が宇宙食の開発をしており、それを支えるチームを一般社団法人にしたこと」(40代静岡県女性)
「不登校だった子供が、定時制高校に進学し毎日学校へ行けていること。自分も仕事の上で新しい目標ができたこと」(東京都50代女性)
「Twitterに投稿した写真が交通広告になりました」(神奈川県30代女性)
「保護犬(ブリーダー引退の6歳オス)が家にきてくれた事です。この子を機に、保護犬を調べたり犬猫に目がいくようになりました。今でも殺処分があるのが事実のようです」(東京都40代女性)
「こんなご時世でも、やるべき目の前の仕事があり、粛々と過ごせたことこそがニュース」(東京都50代女性)
   ◇
この記事を担当した記者の場合、今年の漢字は埼玉の「玉」です。昨年8月に6年ぶりに地元の埼玉に戻り、今年は県内の様々な場所に行くことができました。また、埼玉に関する映画の公開で、地元が脚光を浴びたことも、うれしく思っています。来年も東京新聞ウェブが皆様のお役に立てるよう、精進して参ります。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 「ニュースあなた発」は、読者の皆さんの投稿や情報提供をもとに、本紙記者が取材し、記事にする企画です。身の回りのモヤモヤや疑問から不正の告発まで、広く情報をお待ちしています。東京新聞ホームページの専用フォーム無料通信アプリLINE(ライン)から調査依頼を受け付けています。秘密は厳守します。詳しくはこちらから


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