ダリの作品世界に没入 映像と音楽による展示 角川武蔵野ミュージアムで あすから開催

2023年12月19日 07時34分
 シュールレアリスム(超現実主義)を代表する画家サルバドール・ダリ(1904~89年)の作品世界を、代表作の映像と音楽で表現する「サルバドール・ダリ -エンドレス・エニグマ 永遠の謎-」が20日から、埼玉県所沢市の角川武蔵野ミュージアムで開かれる。来年5月31日まで。

ダリの作品世界が映像と音で表現される「体感型デジタルアート劇場」=所沢市で Creative Direction:Gianfranco Iannuzzi Created by Gianfranco Iannuzzi-Renato Gatto-Massimiliano Siccardi KCM Editing:Rino Tagliafierro Production:Culturespaces Digital®

 1階グランドギャラリーの巨大映像空間を使った360度体感型デジタルアート劇場(全12幕、35分)が展示の中心。「浮世絵劇場 from Paris」(2021年)、「ファン・ゴッホ-僕には世界がこう見える-」(22年)に続く第3弾となる。ゴッホの展示は来場者が24万人を突破。動く映像と音楽で、作品世界に包み込まれるような没入体験が人気を呼んだ。
 今回もゴッホ展に続き、ヨーロッパで活動するジャンフランコ・イアヌッツィ氏がクリエイティブディレクターを務める。チーズのように溶けた時計で知られる「記憶の固執」(1931年)など代表作や記録写真などで構成した映像と、全編に流れる英プログレッシブ・ロックグループ「ピンク・フロイド」の幻想的な音楽が没入感や今まで気付かなかった視点を提供する。
 第2、第3会場には「天才を演じつづけよ。そうすれば、おまえは天才となるのだ」「シュルレアリスムとは、つまり私のことだ!」といったダリが自身を天才として演出し続けた言葉や年表などが展示される。
 サブ・タイトルの永遠の謎とは「ダリの作品は誰にもわからない。ダリにもわからない」とのダリ自身の言葉から。同ミュージアムアート部門ディレクターの神野真吾・千葉大学准教授は「ダリがもし生きていたら、自分の絵を動かしたいと思ったかもしれない。オリジナル作品も大事だが、映像が入り口となってオリジナル(鑑賞)の方に行く可能性を感じている」と話している。一般2500円、中高生2千円、小学生1300円。第1・第3・第5火曜休館。来年1月15~19日は臨時休館。

<シュールレアリスム> 超現実主義。1920年代、作家アンドレ・ブルトンらがフランスで起こした文学・芸術運動で、現実の世界や理性の支配を脱して、作者の主観による自由な想像を表現する。


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