8歳で「百名山」を制覇、谷沢綾恵さん「まだ通過点」 山男のパパの影響で3歳から荷物背負い、自らの足で

2023年12月18日 16時00分
 埼玉県桶川市の桶川小2年谷沢綾恵(あやめ)さん(8)が10月、登山愛好家の目標で知られる「日本百名山」の登頂を成し遂げた。3歳から自力で山に登り始め、山の魅力に取りつかれて両親と週末中心に各地の山を歩いてきた。「達成はうれしかったけど、百名山はまだ通過点」。さらなる高みを目指す。(藤原哲也)

◆山で食べるお菓子は、もっとおいしい

 綾恵さんにとって、山は身近な存在だった。北アルプスが周囲に広がる岐阜県高山市出身の父・悠輔さん(40)に1歳の頃から連れられ、手助けされながら歩けるようになると、自然と親子で山を目指した。「疲れた時に『もうちょっと頑張ったらラムネあげる』とママにつられて歩いていた感じ。今より駄目だった」と笑う。

自宅でリュックの整理をしながら次の登山への準備をする谷沢綾恵さん(右)と見守る父・悠輔さん=埼玉県桶川市で(藤原哲也撮影)

 3歳11カ月だった2019年夏、自分で荷物を背負い登り切った蔵王山(1841メートル)を皮切りに、実質的な百名山への挑戦がスタートした。
 「4歳のころはまだきついから嫌だったけど、景色もきれいだし、お菓子も下で食べるよりおいしいから『山はいいな』と…」
 あどけなく笑う綾恵さんだが、低い山から徐々に高い山を目指し、21年に一つの目標だった富士山(3776メートル)の登頂を果たすと、本格的に登山に没頭した。

◆18歳ぐらいになってもパパと一緒に

 悠輔さんと母・千尋さん(38)も、毎週末のように休みを調整して同行した。「特に登れてうれしかった」という愛好家に人気の北アルプス・槍ケ岳(3180メートル)に昨年登ってからは一気に加速し、昨年までに80座以上を達成。晴れの日を狙った10月7日、南アルプスの塩見岳の東峰(3052メートル)と西峰(3047メートル)で百名山を達成し、横断幕を掲げて家族で記念撮影して祝った。

塩見岳で日本百名山の登頂を達成し、記念撮影した谷沢さん一家=家族提供

 綾恵さんにとって山の魅力とはー。「お菓子がおいしくて景色がきれいなところ」と相変わらずだが、「(北アルプスで出合った)ライチョウはずって見ていて飽きないし、花も好き。帰ってきて疲れて脚が痛くても一日寝たら大丈夫」と笑顔で語る。
 登り始めた当初は小2で百名山達成など想像していなかったという悠輔さん。「『よく頑張った』という思いはある。自分も高山市出身で山好きなので、できる限り一緒に登り続けたい。毎週きつい思いをして付き合ってくれた妻には感謝しかない」と目を細める。
 綾恵さんも「パパがいなかったら絶対山が好きにならなかった」と感謝しつつ、今後の目標については「まだまだ他に二百名山、三百名山などたくさんある。18歳ぐらいになっても一緒に登りたいし、日本の山全部に登りたい」と、無邪気に宣言した。

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