<コラム 筆洗>今年、話題になった言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行…

2023年12月3日 07時11分
 今年、話題になった言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞にプロ野球、阪神タイガースのスローガン「アレ(A・R・E・)」が選ばれた。日本シリーズ制覇に流行語大賞。虎党は忘年会のお酒がうまかろう▼それはそれとして今年の流行語に「悪口部門」があれば、やはり「あれ」が選ばれるのか。まことに言いにくいのだが、岸田首相を当てこすった「増税メガネ」▼人さまの容姿をからかうような表現は正直、気分が悪いのだが、この言葉が世間の空気を反映しているのは本当だろう。実際、その言葉が広まりだした頃から内閣支持率を落とした印象がある。所得税減税を打ち出すあたり、岸田さん自身、この言葉を気にしていたフシもある▼<見よ東海の空あけて>。戦争中に内閣情報部が制定した、「愛国行進曲」。戦況が悪化すると替え歌が広まった。<見よ東条のはげ頭>▼歌ったのは子どもたちで息苦しい日々に東条英機首相をからかわずにはいられなかったか。子ども時分に歌った歴史研究家の半藤一利さんが書いていた。「いま思えばこんな反戦的な歌を、よく歌っていたものよ、とびっくりする」▼子どもっぽく、無礼な「増税メガネ」だが、その遠慮のない子どもっぽさは頼りにならぬ政治への恨みの大きさを語っているのだろう。今年のドラマの題名ならば「どうする文雄」となる。

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