箱根駅伝予選会、関東以外から11校参加も壁厚く…最高27位で本大会進めず 理由は距離か 東農大1年前田和摩が日本人トップ

2023年10月14日 19時48分
 第100回東京箱根間往復大学駅伝(2024年1月2、3日)の予選会が14日、東京都の陸上自衛隊立川駐屯地をスタートして国営昭和記念公園にゴールする21.0975キロ(ハーフマラソン)のコースで行われた。57チームが参加し2年連続のトップとなった大東大など13校が本大会出場を決めた。
 今大会のみ全国から参加可能で、本大会出場枠を例年より3校増やした。関東以外では27位の京産大が最高。
 各校上位10人の合計タイムで争い、大東大、明大、帝京大、日体大、日大、立大、神奈川大、国士舘大、中央学院大、東海大、東農大、駿河台大、山梨学院大の順に通過した。14位は東京国際大で、13位と3秒差だった。
 今年1月の箱根駅伝で上位に入った駒大、中大、青学大、国学院大、順大、早大、法大、創価大、城西大、東洋大の10校はシード校として本大会出場を決めている。敗退した大学の選手による関東学生連合は編成されない。

予選会で力走する各大学の選手たち=陸上自衛隊立川駐屯地で

◆慣れないハーフでも完敗以上に手応え

 関東以外から11校が参加したが、本大会へは進めなかった。最上位の京産大は27位。34位の立命大は予選通過ラインから約30分離され、田中裕介コーチは「すべて出し切っての惨敗だった。でも挑戦してよかった」。箱根を目指した過程に、チームが強くなる可能性を感じていた。
 関東勢にとって、予選会のハーフマラソンは慣れた距離だ。だが10キロ程度の区間が多い出雲、全日本大学駅伝などが主戦場の11校は経験が少ない。立命大は走行距離を増やし、月間で通常より50キロも距離を伸ばした選手もいた。

力走する立命大の選手たち(中央)

 この日は上位10人の合計タイムを縮めるため、複数人で集団をつくる戦略で臨んだ。主将で4年の北辻巴樹はスタート直後は「焦るな」、前方の集団をとらえると「行くぞ」と適切な声かけで集団が崩れるのを防いだ。関東勢の壁は高かったが、北辻は「距離への対応がきついのも分かっていて参加した。その結果、何人もベストかそれに近い記録を出せた。簡単な道より困難な道を選んでよかった」とすがすがしい表情で語った。
 田中コーチは「強くなるためには走行距離を伸ばす必要があった。箱根のため自然と伸びた。新たな練習方法も探るきっかけになった」。
 35位だった皇学館の寺田夏生監督も「ハーフに苦手意識があった選手が変わった。箱根という言葉が殻を破るきっかけになった」と喜ぶ。選手も指導者も完敗以上の手応えを感じていた。(渡辺陽太郎)

◆スーパー1年生前田がけん引、東農大10大会ぶり本大会

 悲願の箱根路復帰だ。東農大は11位で10大会ぶりとなる本大会出場を決めた。1年の前田和摩かずまが、ハーフマラソン初挑戦ながら日本選手トップの1時間1分42秒でけん引し、「最後は気持ちで押し切った。先輩や卒業生がずっと願い続けてきたことなので、うれしい」と喜んだ。

日本人トップでゴールする東農大の前田和摩=国営昭和記念公園で

 「まずは無理に仕掛けず集団の中で走る」というレースプランを着実に遂行した。15キロ地点で、チームが突破ライン付近にいると確認。「余力はある。タイムを稼ぎたい」。意を決し、ギアを上げる。20キロまでの5キロは全体2位で走り抜けた。先行する中央学院大3年の吉田礼志をかわしてフィニッシュ。「日本選手トップを目標にやってきた。思いが実った」と笑顔を見せた。
 高校駅伝の強豪、兵庫・報徳学園出身。「じっくりじっくり練習する」という東農大の気風が気に入り入学した。6月、全日本大学駅伝地区選考会の1万メートルで28分3秒51をたたきだし、チームを14年ぶりに本大会に導いた。
 周囲から「スーパールーキー」と呼ばれても、本人は力を誇示せず、屈指の走力を持つ4年の高槻芳照らと高め合える環境に感謝する。その思いは箱根にもつながる。「4年生は今日までいろんな思いを背負ってきた。先輩たちが頑張ってきて良かったと思えるレースをしたい」。各校のエースがそろう「花の2区」で、それを実現するつもりでいる。(高橋淳)

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