貴景勝、なりふりかまわぬV4「番付的に負けられなかった」 八角理事長「体力不足、ちょっとがっかり」

2023年9月24日 20時58分
 大相撲秋場所千秋楽は24日、東京・両国国技館で行われ、大関かど番だった貴景勝が4場所ぶり4度目の優勝を逆転で飾った。
 本割で4敗同士の関脇大栄翔を送り出し、朝乃山に敗れて4敗となった熱海富士との優勝決定戦を制した。

優勝決定戦で、熱海富士㊨をはたき込みで下す貴景勝=両国国技館で

◆横綱不在場所で4敗同士、平幕との優勝決定戦で立ち合いで変化 

 大関貴景勝が4度目の賜杯を抱き、結果だけ見れば、体面は保たれたかもしれない。ただ、横綱不在の場所で11勝4敗。優勝決定戦では平幕の21歳に立ち合いで変化した。「番付的に負けるものかという気持ち。一生懸命やった。とにかく負けられなかった」。支度部屋でそう語ったが、物足りなさが色濃く残った。
 単独トップを走る熱海富士が敗れ、勝てば優勝決定戦に持ち込める大栄翔との本割。押しと当たりを繰り返した。徐々に圧力をかける。土俵際で左からいなして体勢を崩すと、最後は送り出し。望みをつないだ。
 ただ、支度部屋に引き揚げると、肩で息をする状態。すでに力を出し切っていた。気迫十分に準備をする熱海富士とは対照的。優勝決定戦。「右差しを徹底して封じたかった」。立ち合いで左に動き、前のめりになった相手をはたき込んだ。八角理事長(元横綱北勝海)は「体力がなかった。大関の責任は果たしたけど、ちょっとがっかりした」。評価は厳しかった。
 貴景勝にとって、熱海富士は目をかけてきた存在。熱海富士が新入幕ではね返された昨年九州場所直後の冬巡業、胸を出し、奮起を促した。「将来強くなる力士。なんとか壁にならないといけない」。だからこそ、混戦の場所を盛り上げた若者の挑戦は、正面から受けて立ってほしかった。

◆両膝けがからの復帰場所、夢へ向かって一歩

 両膝のけがで、先場所を全休。優勝後のインタビューで「つらい7月を過ごした。もう一回、夢の横綱に向かってどうしたらいいかを考えた」と心境を吐露した。
 横綱審議委員会の内規では横綱昇進の条件として「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」となっている。だが、番付編成を担う佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴乃若)は、「来場所の千秋楽まで見ないと。11勝ですから」と慎重な姿勢を示した。
 「相撲界に飛び込んだのが九州場所。もう一度夢に向かって頑張っていきたい」と貴景勝。夢をつかみ取りたいなら、内容と成績で納得させるしかない。(丸山耀平)

八角理事長㊨から賜杯を受け取る貴景勝

パレードでファンの歓声に応える貴景勝。左は隆の勝

祝勝会で大杯を手に笑顔の貴景勝。左は常盤山親方=帝国ホテルで

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