木原誠二氏、異例の厚遇 自民党幹事長代理と「政調会長特別補佐」を兼務

2023年9月22日 11時57分
 自民党は22日の総務会で、内閣改造に伴って官房副長官を退任した木原誠二衆院議員(53)を茂木敏充幹事長を支える幹事長代理に充てるなどの人事を決めた。木原氏は萩生田光一政調会長の下で「政調会長特別補佐」も兼務する。党三役の幹事長と政調会長に近い重要な役職を1人で担うのは極めて異例だ。(山口哲人)

官房副長官退任のあいさつをする木原誠二氏=9月14日、首相官邸で

 岸田文雄首相(党総裁)の政策立案を主導してきた木原氏は、首相の最側近として知られる。「ポスト岸田」をうかがう第3派閥領袖りょうしゅうの茂木氏と、党内最大派閥の安倍派の有力者「5人衆」に名を連ねる萩生田氏の近くに配置することで、官邸と党との意思疎通をより円滑にするとともに、首相が両氏へのにらみを利かせる狙いもありそうだ。

◆党内のやっかみ意識?「正式メンバーではない」と萩生田氏

 萩生田氏は記者団に、木原氏について「より官邸と緊密に連携を取っていきたいという思いから指名した」と強調した。その上で、木原氏が厚遇されることへの党内のやっかみを意識してか「政調の正式メンバーではない。(党の政策を議論する)政調審議会の決定事項に関わることもない。その都度、特命事項で私から指示したり、政府との連絡調整をしてもらったりすることをイメージしている」と述べた。
 木原氏は東大卒で、財務省官僚を経て2005年の衆院選で東京20区から初当選した。首相が率いる岸田派に所属し、21年の総裁選で公約づくりを担うなど首相からの信任が厚い。
 岸田政権の発足当初から官房副長官を任され、看板政策の「新しい資本主義」や「異次元の少子化対策」の立案にも携わった。自民党内からは「影の首相」とも呼ばれてきた。
 だが、妻が元夫の死亡を巡り警視庁から事情を聴かれたことなどが週刊文春に報じられ、家族への影響などを理由に官房副長官の退任を自ら申し出たという。政府の公職である官房副長官から党の役職に転じることで、国会や記者会見で疑惑を質問される機会を避けたとの見方もある。

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