日米同盟強化で合意 首脳会談 首相、安保発言問わず

2019年6月29日 02時00分

トランプ米大統領(左)との会談で握手する安倍首相=28日午前、大阪市で(代表撮影)

 安倍晋三首相は二十八日、二十カ国・地域首脳会議(G20サミット)の開幕に先立ち、トランプ米大統領と大阪市内で会談した。日米同盟の強化や貿易交渉の加速化に合意した。トランプ氏は訪日前、日米安全保障条約に基づく米国の日本防衛義務は一方的と表明していた。日本政府によると、会談では、トランプ氏は日米安保条約への不満に触れず、首相も真意をたださなかった。 (妹尾聡太、白石亘=トランプ大統領同行)
 会談での日米安保条約に関するやりとりについて、日本政府関係者は「大統領からその趣旨の発言、日米安保見直しの発言、こうした議論は一切なかった」と記者団に強調した。トランプ氏に真意を聞かなかった理由については「日ごろから、安保条約を前提とする日米同盟が、アジア太平洋地域の平和と安定の基礎だと確認している。あえてそういうことをする必要もない」と説明した。
 首相は、トランプ氏との個人的な関係に基づく強固な日米同盟を最大の外交成果と自負する。参院選では自民党公約で外交・防衛をトップ項目に掲げ、同盟をより強固にすると訴える。会談では、日米間の見解のずれを示しかねないテーマを避けたとみられる。
 トランプ氏は会談冒頭で「貿易、軍事、多くの防衛装備品の購入について話をする」と発言した。日本政府によると、会談で防衛装備品の購入は議題にならなかった。
 ただ、米国との貿易で黒字を得る同盟国が防衛上でも恩恵を受けているというのがトランプ氏の持論。来年の大統領選に向けて日本との貿易交渉での成果を急ぐトランプ氏が、今後、安保をてこに譲歩を迫る可能性がある。
 トランプ氏は会談で、対日貿易赤字に言及した。米政府高官によると、首相はトランプ氏に、最近一カ月間に米国内で日本企業による五件の投資が決まったことを地図で示す資料を手渡し、米国内での投資や雇用への貢献ぶりを強調した。
 会談では北朝鮮による核開発や拉致問題、米国とイランの対立が深刻化する中東情勢について、日米が連携して対応することも申し合わせた。

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