富士山、静岡側も山開き 県警「弾丸登山は控えて」 初日に遭難2件

2023年7月11日 07時59分

静岡県側の冬季閉鎖のゲートが撤去され、早速山頂を目指す登山者ら=10日午前8時56分、富士山の富士宮口6合目で

 富士山の静岡県側が十日に山開きを迎え、富士宮、須走、御殿場の三ルートが山頂まで開通した。今年はコロナ禍も落ち着き、県は登山者の大幅増を見込んでいる。山梨県側は一日に山開きしており、開山期間は九月十日までの予定。
 県内で最も登山者が多い富士宮口の六合目では、午前九時の開通前からゲート前に人だかりができた。今年は外国人の姿も目立った。昨年には五合目で検温や体調チェックなど新型コロナの水際対策を実施していたが、今年は廃止された。
 夫婦で初めて登るという静岡市葵区の百瀬友幸さん(39)は「いつもは眺める山というイメージだが、近くだと山肌の見え方が全く違う。体力に自信がないので、無理せず頂上を目指したい」と声を弾ませた。
 県によると、今年は各山小屋に宿泊予約が殺到し、予約が取りにくくなっている。ご来光目的で夜通し登る「弾丸登山」による事故の増加が懸念され、県は啓発動画などで弾丸登山を控えるよう呼びかけている。県警によると、昨年に富士山の静岡県側で救助された遭難者は五十九人。
 富士宮口の山小屋でつくる富士山表富士宮口登山組合の山口芳正組合長が営む山小屋では、約二カ月間の営業期間のうち週末はほぼ満室で、平日も満室の日が目立つ。山口さんは「弾丸登山が一番心配。山を知らない人がたくさん登るので、大きな事故が起きなければいいが…」と不安を口にした。(佐野周平)

◆遭難2件相次ぐ 足首負傷体調不良

 富士山の県側ルートが山頂まで開山した十日、登山客の遭難が二件相次いだ。いずれも救助され、命に別条はないが、県警は「体調が悪い時は無理せず、足元には十分気をつけて歩いてほしい」などと呼びかけている。
 同日午後零時半ごろ、富士宮口八合目付近で川崎市麻生区の会社員瀬川智勝さん(50)が下山中にバランスを崩して転倒し、左足首を負傷。瀬川さんは一人では歩けない状態で、同行者が署に通報した。富士宮署によると、署員が救助し、五合目口で消防に引き継ぎ、病院に搬送された。
 同日午後一時十五分ごろ、須走口六合目付近を下山中だった米国人女性(26)が体調不良を訴え、近くにいた別の登山者が一一〇番通報した。御殿場署によると、女性は仲間と九日に入山し、本七合目の山小屋に宿泊。十日に山頂を目指したが体調不良で引き返し、下山中だった。(今坂直暉)

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