<芸人 今昔ものがたり 西条昇>加藤茶編(4) ドラマにバンド… 幅広げ

2023年7月5日 07時14分

「こぶ茶バンド」のレコーディング。中央が加藤茶=1999年

 「8時だョ!全員集合」(TBS系)と同じ土曜午後8時台で、1981(昭和56)年に始まった「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)は若い世代に支持され、強力な裏番組に成長する。「全員集合」は82年10月以降に視聴率競争で「ひょうきん族」に敗れることが増え始め、ついに85年9月28日の803回目で16年間の歴史に幕を閉じた。
 TBSはドリフの笑いを支えてきた加藤茶と志村けんが中心の新番組「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」を86年1月にスタートさせた。加藤と志村の2人は、いかに公開生放送の「全員集合」と違う見せ方ができるかに心を砕き、番組前半には2人が探偵に扮(ふん)したロケとスタジオセットによるコメディードラマを放送した。息の合った2人のかけ合いが人気を集め、視聴率が「ひょうきん族」を上回り始めた。
 88年の春、私は同番組のプロデューサーにコント台本を送ったことがきっかけで、構成作家の一人として台本作りの会議に参加させてもらった。毎週木曜の午後3時からリハーサル室で作家の書いた台本に目を通した加藤と志村は、テレビのイメージとは正反対の真剣な表情でギャグを一から考え出し、1時間以上の沈黙が続くこともしばしばで、深夜遅くまで会議が続いたものだ。
 一方で、加藤は番組の司会、俳優としてのドラマ出演など仕事の幅を広げていく。90年代以降は小野ヤスシらとの「加トちゃんBAND」、仲本工事や高木ブーとの「こぶ茶バンド」でステージに立つ機会が増えた。ドラムを叩(たた)き、音楽コントを披露する加藤は実に生き生きとしてカッコ良かった。

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