仏文学研究の礎・鈴木信太郎記念館5周年 小林秀雄らとの交流紹介 豊島区で企画展

2023年7月2日 11時18分

鈴木信太郎と親交のあった仏文学者の著作や写真などが並ぶ=いずれも豊島区の区立鈴木信太郎記念館で

 東京都豊島区ゆかりの仏文学者鈴木信太郎(一八九五~一九七〇年)の旧宅を改修した同区立鈴木信太郎記念館(東池袋五)が開館五周年を迎え、来年四月まで記念の企画展を開いている。区指定有形文化財でもある同館のたたずまいと、仏文学者たちの在りし日の交流などを感じられる。(長竹祐子)
 鈴木信太郎は、大正~昭和にかけて国内で仏文学研究の礎を築いた文学者。仏近代詩人ステファヌ・マラルメの研究で知られる。母校の東京大教授を定年退官後、中央大や東洋大などで仏文学を教えた。
 同館は昭和初期に個人宅としては珍しい鉄筋コンクリート造の「書斎棟」と、戦後増築した「茶の間・ホール棟」、埼玉県春日部市の本家から移築した明治時代築の「座敷棟」からなる。二〇一〇年遺族が区に寄贈。一八年、記念館として開館した。

記念館の外観

 一九四五年の城北大空襲では、書斎棟の二階部分が焼失したが「蔵書があった一階部分は無事残り、本人がとても喜んだそうです」と学芸員の永嶋里佳さんは話す。今も昭和初期の書棚や机、ステンドグラスなど、こだわりの内装が見られる。
 企画展は「5cinq(サンク)~5人のフランス文学者たち~」として、生前親交のあった仏文学者の小林秀雄、山内義雄、岸田国士(くにお)、辰野隆(ゆたか)の著作や、交流のエピソードを紹介。フランスの人気戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」を鈴木信太郎と辰野隆が共訳した著書に、文豪・森鷗外が寄せた序文の自筆原稿など、三十五点が並ぶ。
 東京メトロ丸ノ内線新大塚駅から徒歩約三分、入館無料。午前九時~午後四時半。休館は月曜、第三日曜、祝日、年末年始。問い合わせは同館=電03(5950)1737=へ。

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