<東京人>大人がハマる!Eテレ 「できるかな」の舞台裏

2019年9月22日 02時00分

枝常弘さんと2代目ゴン太くん(撮影・藤原江理奈)

 フリージャズ風の軽快なテーマ曲に乗って、ノッポさんとゴン太くんが段ボールや廃物を使った工作をスタジオいっぱいに展開する主に幼児向け番組「できるかな」。ノッポさん役の高見映さんは、この番組の前身となった「なにしてあそぼう」から通算して二十年以上も演じ続け、芸名まで「高見のっぽ」に。「できるかな」が子どもたちの心に強烈な印象を残したのはなぜなのでしょう。
 「どんな動物にも似せない」よう造形されたゴン太くんの鳴き声は、音声の関晶夫さんが操るブラジルの楽器「クイーカ」で、実況中継風に番組を進行する「おしゃべり」役のつかせのりこさんとともに、録音ブースの中。だから、収録中のスタジオではスタッフの声が飛び交いました。
 「ノッポさん、そこ違う!」
 材料や道具、使う長さに切られたテープが用意されているものの、ダンスをしながらの工作なのでリハーサルと異なることもしばしば。番組の構想、ゴン太くんのデザインから毎週の工作・仕込みを行う造形部隊のチーフまでを担った枝常弘さんは、「ノッポさんは決して器用ではなかったなあ」と述懐します。
 でも、何が起きてもカメラは一切止めず、番組の長さの十五分間回しっぱなし。「即興性が一番大切だから」と枝常さん。ノッポさんのアドリブや、つかせさんの一瞬の機転のフォローによる絶妙な緊張感が、子どもたち、そして大人になった私たちをいまも惹(ひ)きつけるのです。 (高瀬文人)
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