「中国はミャンマーと共にある」秦剛外相が総司令官と初会談、国軍支持を鮮明に

2023年5月3日 20時54分
会談し握手を交わした中国の秦剛外相(左)とミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官=2日、ミャンマー・ネピドーで(新華社通信=AP)

会談し握手を交わした中国の秦剛外相(左)とミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官=2日、ミャンマー・ネピドーで(新華社通信=AP)

 【バンコク=藤川大樹】中国の秦剛しんごう国務委員兼外相は2日、ミャンマーの首都ネピドーを訪れ、同国軍のミンアウンフライン総司令官と会談した。中国外相が総司令官と会談するのは2021年2月のクーデター後、初めて。
 国軍の発表や現地からの情報によると、両氏は会談で、ミャンマーの政治情勢や経済協力などを協議。国境地帯の安定と貿易の促進、エネルギーに関する協力などについて意見を交わした。秦氏は今回の訪問について「中国がミャンマーとともにあることを国際社会に示すためだ」と述べ、国軍への支持を鮮明にした。
 また、秦氏は2日、旧軍事政権トップのタンシュエ氏とも会談。タンシュエ氏は「ミャンマーは『1つの中国』政策を厳粛に受け入れ、中国を信頼できる良き隣人として認識している」などと述べたという。ミンアウンフライン氏はタンシュエ氏から助言を受けているとみられる。
 秦氏は4日にミャンマーを離れる予定。今回の訪問に先立ち、北京で国連のヘイザー事務総長特使(ミャンマー担当)とも会談し、秦氏は「ミャンマー問題は複雑で、早急な解決策はない」などと述べていた。
 中国はクーデター以降、国軍への非難や軍関係者との面会拒否を避ける一方で、国軍とは一定の距離を置いていた。秦氏の前任の王毅おうき共産党政治局員は昨年7月、メコン川流域国の外相会議に出席するため中部バガンを訪れたが、ミンアウンフライン氏とは面会しなかった。
 だが、中国は、米国が昨年12月にミャンマーの民主化を支援する「ビルマの軍事的責任の厳格化法(ビルマ法)」を成立させたのを機に、ミャンマーへの関与を強めている。

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