統一地方選茨城 市町村議選の党公認 自民なのに「無所属」ナゼ? 「自民」か「自分」か メリット見極め

2023年4月20日 07時49分

水戸市議選のポスター掲示場。立候補者34人のうち4人が自民党公認だ=同市で

 統一地方選の後半戦で、茨城県内では十二市二町一村の議員選が行われている。自民党が強く「保守王国」とされる本県だが、市町村議選の場合は自民党員でも党の公認を得ず、無所属で立候補するのが主流だ。ただ、二〇一五年の統一選からは自民公認候補が増加。変化の背景を探った。(竹島勇)
 後半戦は二十三日投開票。水戸、日立、土浦、古河、石岡、結城、龍ケ崎、常総、牛久、鹿嶋、筑西、行方の十二市議選は、計二百六十六議席を三百二十六人が争っている。だが、このうち自民公認は、筑西市の五人、水戸市の四人、古河市と石岡市の各二人など、計十八人だ。
 美浦、五霞、利根の三町村議選では、計三十三議席に三十七人が立候補した。同日に投開票される茨城町議補選(被選挙数一)の候補者三人も含め、いずれも自民公認はいない。
 県西地域の議員選を無所属で戦う自民党員の男性は「小さい地域だと自民の名前は要らない。昔からの知り合いとの人間関係で選挙に出てっから、当選ラインくらいは取れる」と話す。県南地域の議員選の男性候補は「自民だからじゃなく、おれを支持して投票してくれる。団体職員の仕事で地域を回ってたから、もともと浸透してんだよ」と、自民の看板に頼る必要がないことを強調した。
 これに対し、昨年十二月の県議選(定数六二)では自民公認で四十五人が出馬し、無投票を含め三十五人が当選した。市町村議選との戦い方の違いは歴然としている。
 県内の市町村議選の当選ラインは、自治体の規模にもよるが数百票から二千票程度。一万ほどの得票が必要な県議選と異なり、血縁や地縁を固めればバッジに届くというわけだ。
 他方、ある市議選に自民公認で立候補した現職の男性。初当選時は無所属だったが、途中から自民公認に「くら替え」した。男性は「最初は、自民支持じゃない人からも投票してもらえるとのアドバイスで無所属で出たけど、党員だから自民で出てみたくなった」と説明。無所属の頃より票が増えたため、それ以降は公認を得るようになった。
 「選挙ポスターには自民党公認って書いてるけど、ビラには書いてない。集会でも自民公認と言う時と言わない時がある。より幅広い層に食い込みたいから使い分けてる。戦略だよ」と率直に明かす。
 県内の選挙事情に詳しいベテラン自民党員は「自民として出るか無所属にするかは、どっちが選挙に勝つために有利かを考えた結果」と断言。その上で、自民の選挙にとっての県議と市町村議の役割分担をこう解説する。「県議会は、自民議員として他の政党などと戦って党勢を強め、今後の国政選挙を支えたり、県議自身が将来国政に転じる機会をうかがったりする場でもある。一方、市町村議は普段は無所属でも、いざ国政選挙や県議選となれば自民の票集めを担う実動部隊として活動する」

◆「安倍一強」影響か 公認急増の背景は・・・

 過去五回の統一地方選で行われた県内の市町村議選で、自民党公認候補は二〇〇七年が四人、二〇一一年が三人。いずれも水戸市議選(一一年は東日本大震災の影響で同年五月に延期)の候補者だった。
 だが、一五年は水戸市議選以外にも拡大して計十三人に。一九年には十一人、今回も十八人と、急激に増えた。
 自民県連関係者は、かつては例外的だった自民公認を得る動きが広まっている理由について「(一二年に発足した)第二次安倍政権以降、『安倍一強』『自民一強』などと言われ、自民は強いとの印象が広まったからだと受け止めている」と話す。

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